地方公共団体-NPO連携による個別施策層を含めたHIV対策に関する研究

文献情報

文献番号
200932031A
報告書区分
総括
研究課題名
地方公共団体-NPO連携による個別施策層を含めたHIV対策に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
嶋田 憲司(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会 研究部門)
研究分担者(所属機関)
  • 菊池 嘉(国立国際医療研究センター病院 エイズ治療・研究開発センター)
  • 河口 和也(広島修道大学人文学部)
  • 鳩貝 啓美(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、個別施策層対策及びHIV検査事業において地方公共団体-NPO連携を進め、HIV対策を推進することを目標とし、①地方公共団体-NPO連携の課題の把握と解決策の策定、②地域の状況に応じた連携の事例化とNPOの能力の向上、③連携による検査事業の評価と質的充実、の3つの目的を掲げる。
研究方法
研究1「地方公共団体-NPO連携によるHIV対策の事業化に関する実態調査」では、地方公共団体に対するHIV対策の実施状況やNPOとの連携等について質問票調査を行った。
研究2「地方公共団体-NPO連携によるHIV対策に対する地域の実情に応じた支援手法の開発」では、地方公共団体-NPO連携によるMSM向け普及啓発事業と一般層向けHIV検査事業を実施した。
研究3「地方公共団体-NPO連携によるHIV検査事業の評価と質的充実に関する調査」では、連携による検査事業の効果評価及び質的充実に向けた調査と介入を行った。
結果と考察
研究1:エイズ対策は一般層では啓発普及活動(90.4%)等が実施されているが、青少年以外の個別施策層ではあまり実施されていない。NPOとの連携については、53.8%の自治体に連携経験があったが、中核市(36.1%)等では連携経験が少ない。NPOには、行政ではできない活動を担う役割が最も期待されている。
研究2:MSM向け普及啓発事業では、「LIFEGUARD」の実施により参加者(N=319)の行動変容(性行動及び受検行動)等で有意な効果が確認された。一般層向け検査事業では、2地域で即日検査を実施した。
研究3:さいたま市・中野区の検査事業にて、NPO連携による検査数の増加により総受検者数を増加させた。8割が受検動機に性的接触を挙げ、受検が必要な層に検査機会を提供できた。説明・相談は90%水準で評価された。
結論
地方公共団体では個別施策層に特化した対策は進んでいない状況が明らかになり、個別施策層対策の充実が求められている。また、エイズNPOの存在や連携の意義については周知されておらず、NPO連携の意義を普及する必要がある。
地方公共団体-NPO連携の事業において、MSM向けでは行動変容等の効果を確認し、一般層向け検査事業では2地域(さいたま市・中野区)での連携を達成した。複数地域での事業比較を通して、NPO連携による事業の効果や意義をさらに深める必要がある。HIV検査の受検ニーズは高く、受検しやすい検査所の提供が依然として求められている。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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