HIV検査相談体制の充実と活用に関する研究

文献情報

文献番号
200932029A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV検査相談体制の充実と活用に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 真吾(慶應義塾大学医学部 微生物学・免疫学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 光信(田園調布大学人間福祉学部)
  • 武部 豊(国立感染症研究所 ウイルス部)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 長野 秀樹(北海道立衛生研究所 微生物部ウイルス科)
  • 貞升 健志(東京都健康安全研究センター 微生物部ウイルス課)
  • 川畑 拓也(大阪府立公衆衛生研究所 感染症部ウイルス課)
  • 小島 弘敬(東京都南新宿検査・相談室)
  • 松浦 基夫(特定非営利活動法人CHARM)
  • 日野 学(日本赤十字社 血液事業部)
  • 前田 憲昭(医療法人社団皓歯会)
  • 玉城 英彦(北海道大学大学院 医学研究科国際保健医学分野)
  • 木村 和子(金沢大学 医薬保健研究域薬学系国際保健薬学研究室)
  • 矢永 由里子(エイズ予防財団 研究研究部)
  • 嶋 貴子(神奈川県衛生研究所 微生物部)
  • 井戸田 一朗(しらかば診療所)
  • 杉浦 亙(国立病院機構名古屋医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、HIV検査相談体制を充実させ、その機会を活用することにより、HIV感染者の早期発見・早期治療と感染予防・まん延防止を図ることを目的に、(1) HIV検査相談をより受けやすくするための研究、(2) HIV検査相談に繋げるための働きかけに関する研究、(3) HIV検査技術の向上に関する研究の3課題について研究を行った。
研究方法
上記三課題を研究するため、保健所等HIV検査相談実施機関へのアンケート調査、研修実施機関での研修資料の開発と作成、検査実施機関における情報収集と状況把握、研究機関における新規検査技術開発と技術研修会開催などを実施した。
結果と考察
(1) 保健所等のアンケート調査の結果、利便性の高い即日、夜間、土日検査がほぼ行き渡ったこと、新型インフルエンザ流行により検査相談事業の中止、検査数の減少などの影響があったことなどが分かった。新型インフルエンザ流行の影響は高リスク自認者で比較的軽微であった。民間クリニックにおける即日HIV検査は陽性率が格段に高く、その推進のための方策を検討した。検査相談の研修ガイドラインについては、実践基礎編を研修に活用するとともに、新たに実践応用編を完成させた。HIV自己検査キットについては、購入者にHIV感染の知識不足、製品に関する認識不足などが認められた。HIV郵送検査は利用者の拡大が続いているが、検査陽性者を医療機関に繋げるための努力が今後必要である。
(2) HP「HIV検査・相談マップ」のニューアルを行い、内容の充実を図った。献血者におけるHIV陽性数は東京都、大阪府ともに昨年より減少した。歯科受診者に対する検査相談機会の提供を図るため、歯科医療従事者に口腔症状とHIV感染に関する知識を啓蒙するための冊子を作成した。
(3) BED法とPA法が感染後5月以内と2ヶ月以内の感染時期を推定する指標として有効であることが示唆された。従来の市販キットの販売中止に対処するため独自に開発したHIV RNA測定法の有効性を確認した。HIV-1検査技術研修会を衛生研究所等の担当者を対象に実施した。
結論
平成21年は、新型インフルエンザ流行が大きな要因となり、保健所等でのHIV検査相談の利用者数及び陽性者数が大きく減少した。今後、HIV検査相談の普及啓発活動を積極的に行って社会の関心を高めるとともに、感染リスクの高い人々がより検査を受けやすい体制を構築することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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