文献情報
文献番号
202308032A
報告書区分
総括
研究課題名
改正健康増進法施行後における喫煙室の設置状況と受動喫煙環境の評価及び課題解決に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1005
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
大和 浩(産業医科大学 産業生態科学研究所・健康開発科学研究室)
研究分担者(所属機関)
- 姜 英(キョウ エイ)(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
- 朝長 諒(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
- 河井 一明(産業医科大学 産業生態科学研究所)
- 大森 久光(国立大学法人熊本大学 大学院生命科学研究部)
- 樋上 光雄(産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学)
- 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 医学研究支援センター医療統計室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
令和2(2020)年に施行された改正健康増進法では屋外においても「望まない受動喫煙」を防止することが努力義務として求められ、空気清浄機を備えた喫煙室、あるいは、パーティションで囲った喫煙コーナーを設置する自治体が増えている。
本研究の目的は以下の4点である。
1)屋外の受動喫煙対策の良否を判定すること
2)法律よりも強化した「上乗せ条例」の施行状況とその内容を収集すること
3)主要国の受動喫煙対策に関する法規制を収集すること
4)清掃作業者の受動喫煙による健康影響の有無を検証すること
本研究の目的は以下の4点である。
1)屋外の受動喫煙対策の良否を判定すること
2)法律よりも強化した「上乗せ条例」の施行状況とその内容を収集すること
3)主要国の受動喫煙対策に関する法規制を収集すること
4)清掃作業者の受動喫煙による健康影響の有無を検証すること
研究方法
1)屋外の喫煙室、喫煙コーナーの周囲でタバコの燃焼で発生する微小粒子状物質(PM2.5)濃度のリアルタイムモニタリングを行った
2)インターネットに検索より「上乗せ条例」の内容を収集した
3)「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」のHPに公開されているG7と中国と韓国の履行情報の収集について情報を収集した。英国については現地在住者に依頼してシガーバーへの立入調査を依頼した。
4)屋外喫煙室の清掃業にかかわる従業員8名の定期健診の余剰尿、および、屋外喫煙室の清掃作業を担当する従業員2名の協力を得て勤務の前後の尿を採取した(いずれも非喫煙者)。尿中のニコチン代謝物、DNA損傷マーカー(8-ヒドロキシデオキシグアノシン:8-OHdG、7-メチルグアニン:m7G)をLC-MS/MSで分析した。
2)インターネットに検索より「上乗せ条例」の内容を収集した
3)「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」のHPに公開されているG7と中国と韓国の履行情報の収集について情報を収集した。英国については現地在住者に依頼してシガーバーへの立入調査を依頼した。
4)屋外喫煙室の清掃業にかかわる従業員8名の定期健診の余剰尿、および、屋外喫煙室の清掃作業を担当する従業員2名の協力を得て勤務の前後の尿を採取した(いずれも非喫煙者)。尿中のニコチン代謝物、DNA損傷マーカー(8-ヒドロキシデオキシグアノシン:8-OHdG、7-メチルグアニン:m7G)をLC-MS/MSで分析した。
結果と考察
1)空気清浄機の能力(1台8人)の範囲で利用されていた喫煙室では、その排気に含まれるPM2.5は100μg/m3以下であった。空気清浄機の能力を超える人数で利用した場合、排気中のPM2.5は200μg/m3を超えたが、数メートル離れた歩道上では大気環境基準(35 μg/m3)以下となり、受動喫煙を気にする歩行者はおらず、良好な対策となっていた。一方、パーティションで囲われた喫煙コーナーでは、壁の高さを確保(285cm以上)、パーティションと床上の隙間は5cm以下、出入口はクランク、上方に構造物を設けない、などの要件が必要であることが認められた。
2)17自治体の上乗せ条例では、子ども、妊婦に特化(9自治体)、路上に特化(6自治体)、飲食店に特化(4自治体)、その他(3自治体)であった(詳細は報告書参照)。
3)WHOは①病院・診療所等の医療機関、②(大学以外の)教育機関、③大学、④政府機関、⑤屋内の事業所や作業所、⑥レストランや食事を主として提供する施設、⑦喫茶・パブ・バー、⑧公共交通機関の8類型について「優・良・可・不可」の評価を行っており、すべてが完全禁煙の「優」であったのはイギリス(ただし、シガーバーのみ喫煙可)とカナダのみであった。日本は①②③④が禁煙と判断され総合評価は「可」であった。
4)屋外喫煙室の清掃業にかかわる従業員8名のうち、1名から受動喫煙レベルの尿中ニコチン代謝物が検出された。また、屋外喫煙室の清掃に従事する2名の従業員のうち1名は尿中ニコチン代謝物が勤務後に若干高くなる傾向が見られ、業務との関連が示唆された。DNA損傷マーカーについては分析中である。
2)17自治体の上乗せ条例では、子ども、妊婦に特化(9自治体)、路上に特化(6自治体)、飲食店に特化(4自治体)、その他(3自治体)であった(詳細は報告書参照)。
3)WHOは①病院・診療所等の医療機関、②(大学以外の)教育機関、③大学、④政府機関、⑤屋内の事業所や作業所、⑥レストランや食事を主として提供する施設、⑦喫茶・パブ・バー、⑧公共交通機関の8類型について「優・良・可・不可」の評価を行っており、すべてが完全禁煙の「優」であったのはイギリス(ただし、シガーバーのみ喫煙可)とカナダのみであった。日本は①②③④が禁煙と判断され総合評価は「可」であった。
4)屋外喫煙室の清掃業にかかわる従業員8名のうち、1名から受動喫煙レベルの尿中ニコチン代謝物が検出された。また、屋外喫煙室の清掃に従事する2名の従業員のうち1名は尿中ニコチン代謝物が勤務後に若干高くなる傾向が見られ、業務との関連が示唆された。DNA損傷マーカーについては分析中である。
結論
改正健康増進法により屋外であっても「望まない受動喫煙」を防止することが求められており、屋外の喫煙場所における受動喫煙防止対策の強化とその場所を清掃する作業者の保護を検討する必要があると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2024-08-16
更新日
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