加熱式タバコの能動喫煙・受動喫煙の健康影響に関する総合的検証研究

文献情報

文献番号
202308031A
報告書区分
総括
研究課題名
加熱式タバコの能動喫煙・受動喫煙の健康影響に関する総合的検証研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1004
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
田淵 貴大(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター がん対策センター疫学統計部)
研究分担者(所属機関)
  • 堀 愛(筑波大学 医学医療系)
  • 財津 將嘉(産業医科大学 高年齢労働者産業保健研究センター)
  • 谷上 博信(大阪国際がんセンター)
  • 松尾 洋孝(防衛医科大学校 分子生体制御学講座)
  • 山田 恵子(順天堂大学大学院 医学研究科疼痛制御学)
  • 田中 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 データサイエンス研究部 サーベイランス研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現状、加熱式タバコの能動喫煙及び受動喫煙による健康影響の実態は十分に把握されていない。加熱式タバコが市場に登場してからの期間が短いため、長期的な追跡調査はまだ完了していない。したがって、今後の調査で加熱式タバコに関連する項目を取り入れ、その健康影響を評価するための準備が必要である。本研究の目的は、加熱式タバコによる健康影響の実態を把握することである。具体的には、一般住民、健診受診者、入院患者を対象に、加熱式タバコの能動喫煙および受動喫煙の曝露と各種健康状態に関する実態調査を行い、そのデータを分析することを目指す。
研究方法
2024年2月、日本の一般住民を対象にインターネット調査「Japan Society and New Tobacco Internet Survey (JASTIS)」を実施した(調査期間は2024年1月24日~2月27日)。調査には16歳から83歳までの29,268名が参加した。加熱式タバコと従来型タバコの喫煙率を、国民生活基礎調査データを基に逆確率による重み付けを用いて推計した。また、加熱式タバコの受動喫煙曝露割合も同じ手法で場所別に推計した。さらに、2023年に疼痛緩和を目的とする喫煙行動に関するデータを分析し、依存症との関連性を調査した。また、2021年から2023年にかけて尿路結石患者のカルテを調査し、術前がん患者の気道閉塞との関連性を評価した。
結果と考察
調査結果から、日本人男性の現在喫煙者は32.9%で、そのうち15.1%が紙巻きタバコのみ使用、7.6%が加熱式タバコのみ使用、10.2%が紙巻き・加熱式タバコの併用であった。女性の喫煙者12.9%のうち、6.4%が紙巻きタバコのみ使用、3.4%が加熱式タバコのみ使用、3.2%が紙巻き・加熱式タバコの併用であった。過去一ヶ月間に加熱式タバコによる受動喫煙を受けたのは全体の37.3%、非喫煙者の29.1%であった。疼痛緩和を目的とする喫煙者は6.2%で、ニコチン依存傾向や問題飲酒、ギャンブル依存傾向のリスクが高いことが判明した。また、術前がん患者において、加熱式タバコを現在使用している患者では気道閉塞の有病率が高いことが示された。
結論
加熱式タバコの能動喫煙および受動喫煙による健康影響についての研究はまだ十分ではないが、本研究により重要な知見が得られた。今後の研究により、加熱式タバコと従来型タバコの健康影響の違いを明らかにすることが期待される。また、加熱式タバコの使用状況と健康状態の関係についてもさらなる調査が必要である。本研究の成果は、タバコ規制や対策に関わる政策立案において重要なエビデンスとなることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2024-09-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202308031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,000,000円
(2)補助金確定額
7,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,494,158円
人件費・謝金 191,800円
旅費 478,305円
その他 3,220,737円
間接経費 1,615,000円
合計 7,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-12-17
更新日
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