文献情報
文献番号
202308030A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオマーカーを用いた加熱式たばこによる受動喫煙の健康影響を評価するための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
大森 久光(国立大学法人熊本大学 大学院生命科学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 黒澤 一(東北大学 高等教育開発推進センター 学生生活支援部 保健管理室)
- 緒方 裕光(女子栄養大学 疫学・生物統計学研究室)
- 大坪 和明(熊本大学 大学院生命科学研究部(保))
- 首藤 剛(熊本大学 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,923,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は,加熱式たばこ喫煙者・受動喫煙者の健康影響を評価することを目的とした。本研究では、先行研究での受動喫煙の評価方法に加えて、曝露指標(尿中ニコチン代謝物)、臨床指標(炎症、呼吸機能)および肺への影響指標を分析し、加熱式たばこの使用によって影響の生じるバイオマーカーの抽出および選定を目指すことに特色がある。加熱式たばこによる受動喫煙が人の健康に及ぼす影響をバイオマーカーから予測し、評価することを最終目的とする。
研究方法
本研究は、以下の項目1および項目2で構成されている。
項目1:人間ドック受診者を対象として、加熱式たばこ使用者の呼吸機能の横断・縦断研究(前向き・後ろ向きコホート研究)の体制を構築し、曝露の実態調査を実施する。
項目2:呼吸器疾患につながりうる影響指標の探索
【曝露指標の分析】
・尿中ニコチン代謝物: コチニン、3-ハイドロキシコチニン(3-OHCot)
・尿中たばこ特異的ニトロソアミン類: NNAL: 4-(methylnitrosamino)-1- (3-pyridyl)-1-butanone
・liquid chromatography [LC] / mass spectrometry [MS] / [MS] (LC-MS/MS)を用いて測定する。
【呼吸器疾患につながり得る影響指標の分析】
・fibulin-3:生体を構成する殆ど全ての細胞が分泌する細胞外小胞が、細胞機能の制御や疾患の進展に大きく寄与することが報告され、現在、血液や尿等の体液を利用した疾患診断(リキッドバイオプシー)として、世界的に注目されている。慢性閉塞性肺疾患(COPD: Chronic Obstructive Pulmonary Disease)患者血清のプロテオミクス解析により、エラスチン繊維の変性•破壊を反映する細胞外小胞タンパク質として同定された肺胞破壊(肺気腫)関連バイオマーカーである。
・SP-D:肺のII型肺胞上皮細胞より産生•分泌される肺特異的糖タンパク質である。COPD、肺気腫と相関、血清SP-Dが喫煙者で高値、COPD患者で高値などが報告されており、COPDの病態バイオマーカーである。
・次世代シーケンシング (NGS:Next Generation Sequencing) によるmiRNAの発現プロファイル解析による病態モニタリング
項目1:人間ドック受診者を対象として、加熱式たばこ使用者の呼吸機能の横断・縦断研究(前向き・後ろ向きコホート研究)の体制を構築し、曝露の実態調査を実施する。
項目2:呼吸器疾患につながりうる影響指標の探索
【曝露指標の分析】
・尿中ニコチン代謝物: コチニン、3-ハイドロキシコチニン(3-OHCot)
・尿中たばこ特異的ニトロソアミン類: NNAL: 4-(methylnitrosamino)-1- (3-pyridyl)-1-butanone
・liquid chromatography [LC] / mass spectrometry [MS] / [MS] (LC-MS/MS)を用いて測定する。
【呼吸器疾患につながり得る影響指標の分析】
・fibulin-3:生体を構成する殆ど全ての細胞が分泌する細胞外小胞が、細胞機能の制御や疾患の進展に大きく寄与することが報告され、現在、血液や尿等の体液を利用した疾患診断(リキッドバイオプシー)として、世界的に注目されている。慢性閉塞性肺疾患(COPD: Chronic Obstructive Pulmonary Disease)患者血清のプロテオミクス解析により、エラスチン繊維の変性•破壊を反映する細胞外小胞タンパク質として同定された肺胞破壊(肺気腫)関連バイオマーカーである。
・SP-D:肺のII型肺胞上皮細胞より産生•分泌される肺特異的糖タンパク質である。COPD、肺気腫と相関、血清SP-Dが喫煙者で高値、COPD患者で高値などが報告されており、COPDの病態バイオマーカーである。
・次世代シーケンシング (NGS:Next Generation Sequencing) によるmiRNAの発現プロファイル解析による病態モニタリング
結果と考察
以下に成果を示す。
項目1:加熱式たばこ使用による受動喫煙曝露の実態を把握する(長期の臨床指標への影響を評価する)ために、熊本大学および協力機関の倫理委員会で承認後、1)令和5年10月20日より、健康診断(人間ドック)受診者を対象として、リクルートを開始した。
令和6年1月末までに2,414名の研究参加に同意した者の質問票の回収および余剰尿、余剰血清を採取した。回収した質問項目をエクセルに順次入力を行い、人間ドックデータを突合したデータベースを作成し、長期的な縦断研究の体制を構築した。現時点、加熱式たばこによる受動喫煙者と考えられる62名が登録されている。
項目2:微量血清サンプルからのmiRNAプロファイリングの実験条件の設定のため、異なる被検者12名から取得した血清サンプル(200ml〜1ml)からmiRNA抽出を行った。その結果、健診の残余検体で得られる検体量から本解析に必要なmiRNAを分解することなく十分量取得できることが確認された。さらに、取得したmiRNAサンプルから次世代シーケンサー解析用のライブラリーを作成し、そのサイズ分布及び定量解析から解析に適したライブラリーを作成できることを確認した。次世代シーケンサーによる12サンプルの解析から、各血清サンプル中のmiRNAプロファイルの取得に成功した。
2年目以降、加熱式使用群、紙巻喫煙群、非喫煙群について、次世代シーケンサーによるmiRNAプロファイリングを行う。得られた結果についてクラスター分析を行い、各群を分類しうるマーカーmiRNAを見出す。臨床指標(特に呼吸機能)の経年変化および炎症指標(高感度C反応性蛋白、白血球)との関連について分析する。肺胞破壊やCOPDの病態マーカーであるFibulin-3及びSP-Dの解析を実施し、その結果及び健康診断の結果とmiRNAを指標とした解析結果との相関性を解析することで、呼吸器疾患につながり得るバイオマーカーを見出し、その評価方法を開発する。
項目1:加熱式たばこ使用による受動喫煙曝露の実態を把握する(長期の臨床指標への影響を評価する)ために、熊本大学および協力機関の倫理委員会で承認後、1)令和5年10月20日より、健康診断(人間ドック)受診者を対象として、リクルートを開始した。
令和6年1月末までに2,414名の研究参加に同意した者の質問票の回収および余剰尿、余剰血清を採取した。回収した質問項目をエクセルに順次入力を行い、人間ドックデータを突合したデータベースを作成し、長期的な縦断研究の体制を構築した。現時点、加熱式たばこによる受動喫煙者と考えられる62名が登録されている。
項目2:微量血清サンプルからのmiRNAプロファイリングの実験条件の設定のため、異なる被検者12名から取得した血清サンプル(200ml〜1ml)からmiRNA抽出を行った。その結果、健診の残余検体で得られる検体量から本解析に必要なmiRNAを分解することなく十分量取得できることが確認された。さらに、取得したmiRNAサンプルから次世代シーケンサー解析用のライブラリーを作成し、そのサイズ分布及び定量解析から解析に適したライブラリーを作成できることを確認した。次世代シーケンサーによる12サンプルの解析から、各血清サンプル中のmiRNAプロファイルの取得に成功した。
2年目以降、加熱式使用群、紙巻喫煙群、非喫煙群について、次世代シーケンサーによるmiRNAプロファイリングを行う。得られた結果についてクラスター分析を行い、各群を分類しうるマーカーmiRNAを見出す。臨床指標(特に呼吸機能)の経年変化および炎症指標(高感度C反応性蛋白、白血球)との関連について分析する。肺胞破壊やCOPDの病態マーカーであるFibulin-3及びSP-Dの解析を実施し、その結果及び健康診断の結果とmiRNAを指標とした解析結果との相関性を解析することで、呼吸器疾患につながり得るバイオマーカーを見出し、その評価方法を開発する。
結論
健診の残余検体で得られる検体量から本解析に必要なmiRNAを分解することなく十分量取得できることが確認された。さらに、取得したmiRNAサンプルから次世代シーケンサー解析用のライブラリーを作成し、そのサイズ分布及び定量解析から解析に適したライブラリーを作成できることを確認した。
次世代シーケンサーによる解析から、各血清サンプル中のmiRNAプロファイルの取得に成功した。
次世代シーケンサーによる解析から、各血清サンプル中のmiRNAプロファイルの取得に成功した。
公開日・更新日
公開日
2024-08-29
更新日
-