HIV感染防御免疫誘導に関する研究

文献情報

文献番号
200932023A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染防御免疫誘導に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
俣野 哲朗(東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 保富 康宏(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
  • 三浦 聡之(東京大学 医科学研究所)
  • 森川 裕子(北里大学 北里生命科学研究所)
  • 寺原 和孝(国立感染症研究所 免疫部)
  • 横山 勝(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染拡大は、流行地域だけではなくグローバルな視点で取り組み克服すべき国際的重要課題である。本研究は、この問題解決に必要な予防エイズワクチン開発を目的とし、HIV複製抑制に結びつく防御免疫反応の選択的誘導のための論理基盤確立を目指すものである。我々が開発したセンダイウイルス(SeV)ベクターを用いた細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導エイズワクチンは、エイズモデルで初めて有効性を示した点で注目され、接種者全員への効果は期待できないものの集団レベルでのHIV感染拡大抑制効果を期待した第1世代ワクチンとして国際共同臨床試験計画が進展中である。本研究では、この第1世代予防ワクチンの有効性の確立と、接種者全員への感染発症防御効果を有する第2世代予防ワクチンの開発を進めることとした。
研究方法
(1) CTL誘導ワクチンのデリバリーシステム最適化に向けた研究、(2) CTL誘導抗原選択法の樹立に向けた研究、および (3) 中和抗体誘導法の樹立に向けた研究を行った。
結果と考察
(1) CTL誘導ワクチンのデリバリーシステム最適化に向けた研究として、SeVベクターワクチンの2回経鼻接種が有効であることを明らかにし、併用プライム法候補としてはHEV-VLPを用いたDNAワクチンを構築した。(2) CTL誘導抗原選択法の樹立に向けた研究として、抗原提示効率測定の土台となる細胞内およびHIV粒子内のGag定量を行った。さらに、HIV感染者におけるCTL逃避変異同定のためのHLA遺伝子型およびgag塩基配列決定を行った。エイズモデルでは、予防ワクチン接種によりウイルス曝露後のCTL反応の優位性(ドミナンス・パターン)が変わりうることを示す結果を得た。(3) 中和抗体誘導法の樹立に向けた研究として、HIV gp120の構造計算によりV3配列の荷電量のCD4結合領域への影響を見出した。ヘルパーTリンパ球反応解析系の確立も行った。
結論
これらの結果は、第1世代予防エイズワクチン有効性の確立および有効な免疫反応を選択的に誘導する第2世代予防エイズワクチン開発に結びつく重要な成果である。特に、CTL反応の優位性に関する結果は、有効なCTL誘導法あるいは広範なCTL誘導法の開発に方向性を与える極めて重要かつ斬新な成果である。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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