血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植のための組織構築

文献情報

文献番号
200932020A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植のための組織構築
課題番号
H21-エイズ・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
兼松 隆之(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 上平  憲(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 山下 俊一(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 安岡  彰(長崎大学病院 感染制御教育センター)
  • 澄川 耕二(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 塚崎 邦弘(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 中尾 一彦(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 有吉 紅也(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 八橋  弘(長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 江口  晋(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 白阪 琢磨(国立病院機構 大阪医療センター)
  • 酒井 英樹(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
91,437,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植の組織を構築するにあたり、病院全体の取り組みとして医療スタッフの意識・知識を高めて医療および看護行為をマニュアル化すること、また、潜在的な肝移植適応患者がどの程度存在するかを知るために、画像診断および肝機能をスクリーニングすることとした。
研究方法
 定期的に医師・看護師を中心とした関連スタッフに呼びかけてセミナーを開催し、それをもとに医療従事者向けのマニュアルを作成した。全国よりHIV/HCV重複感染患者を受け入れ、長崎大学病院の個室を専有化し、2泊3日の短期入院中に肝機能検査(血算、凝固能、生化学検査、ICG15分値、アシアロ肝シンチ)、腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-II)、HCV-RNA、また、画像診断として腹部造影CT、さらに内視鏡検査で食道静脈瘤の有無をチェックした。
結果と考察
 2009年1月から7月の間に、計4回のセミナーを実施した。内容はHIV感染の現状や感染防止を含めた一般的なことからHIV/HCV重複感染者に対する生体肝移植の実績がある施設からの症例提示、また血友病患者の周術期管理等であった。
これをもとに09年7月に「HIV/HCV重複感染患者に対する肝移植‐医療従事者マニュアル‐」第1版を上梓し(資料1)、第8凝固因子活性をリアルタイムで測定できるアッセイ法を確立した。
この研究経過中、2例の肝硬変症例の紹介があり、それぞれ肝移植の適応と判定され、脳死肝移植の登録を日本臓器移植ネットワークに行い、現在待機中である(資料4)。 
長崎大学病院において、10年1月の時点で、10名の患者に対して肝移植適応を視野に入れた検診を行った(資料5)。
結論
以上のようにHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植は平成21年度には実施していない。なお、長崎大学病院では同期間にそれ以外の末期肝疾患に対し20例の生体肝移植を施行している。さらに、関連疾患としてHIV感染を合併した慢性腎不全患者に対し生体腎移植を近々実施予定である。
また、研究経過中に2例の患者の紹介があり、それぞれ肝移植適応と判定され、脳死肝移植に登録して待機中である。
肝移植施設として組織を構築するにあたり、病院全体として特にHIVに対する意識・知識を徹底することが重要と考え、セミナーの開催および医療従事者向けのマニュアル第1版を上梓した。今後、新たな知見・経験により適宜改訂していく予定である。また、HIV/HCV重複感染症例に対する肝移植の実績がある施設に症例のデータ解析を依頼し、現在解析中である。

公開日・更新日

公開日
2010-10-05
更新日
-