HIV感染妊婦とその出生児の調査・解析および診療・支援体制の整備に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200932018A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染妊婦とその出生児の調査・解析および診療・支援体制の整備に関する総合的研究
課題番号
H21-エイズ・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
和田 裕一(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター 診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多 恒和(帝京大学医学部産婦人科教室)
  • 外川 正生(大阪市立総合医療センター小児救急科)
  • 塚原 優己(国立成育医療センター周産期診療部)
  • 吉野 直人(岩手医科大学細菌学教室)
  • 大島 教子(獨協医科大学産婦人科学教室)
  • 名取 道也(国立成育医療センター研究所)
  • 早川 智(日本大学医学部大学院病理学病態学系微生物学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
46,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はわが国のHIV感染妊婦とその出生児の調査・解析と診療・支援体制をより確実に整備することを主な目的とした。
研究方法
1.周産期・小児医療 1)疫学調査:全国の病院を対象にした妊婦HIV実施率調査 2)診療・支援体制の整備と教育啓発活動の実施2.基礎医学、HIVの母子感染とその予防について脱落膜・胎盤の局所免疫に関する研究検討3.社会医学、母乳を介するHIVの母子感染の予防に関する研究検討
結果と考察
1.1)疫学調査:全国病院調査・妊婦HIV検査実施率は平成21年度99.6%診療所97.6%、両者格差明らかに減少、この2~3年感染妊婦減少傾向。登録のわが国HIV感染妊婦は累計642例。HIV感染妊婦から出生した児17例、母子感染0、非感染8例未確定9例,今年度ハイリスク症例緊急帝王切開3例含。2)支援体制整備教育啓発:HIV感染妊婦診療体制整備に関する教育・啓発的研究としてエイズ文化フォーラム研究成果発表会、日本エイズ学会と日本性感染症学会合同シンポジウム実施。コメディカル研修会で母子感染予防マニュアルや拠点病院の診療指針をもと感染妊婦とその出生児の対応について実地教育を行った。妊婦支援として小冊子の改訂。妊婦に無用な不安を与えないHIV検査方式研究はスクリーニング検査で2本採血1本を保存、陽性の場合精密検査可能となる(Two-tube blood sampling method)、陽性時確認検査はRT-PCR法とWB法。栃木地区1年間パイロットスタデイは問題なく実施、日本産婦人科学会理事会承認を得、SRL社が検査受託し全国3医療機関で実施。6か月後結果を分析。AZT予防投与における薬物動態と副作用に関する多施設共同研究は、11症例の採血結果にて検討。AZTトラフと血中Hgb濃度の間に相関が認められ今後症例を追加検討。2.基礎医学、HIVの母子感染とその予防について脱落膜・胎盤の局所免疫に関する検討を行い、局所感染とサイトカインの関連性の作用につき新知見を得た。3.社会医学、母乳を介するHIVの母子感染の予防に関する研究では哺乳瓶8μm孔のフィルターにより母乳中の感染細胞の除去が可能。しかし母乳陰圧吸引で目詰まりすることが確認、実験後陽圧でろ過する方式に改良。
結論
わが国妊婦HIVスクリーニング検査と感染妊婦およびその出生児の実態に関する疫学調査は本年度で12年目を迎え、データベースの更新をおこなうことにより多項目に関しての分析が可能となってきた。また、診療・支援の整備として、スクリーニング方式、感染妊婦への対応、出生児の副作用への対応などいくつかの重要な検討を実施した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-16
更新日
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