血友病とその治療に伴う合併症の克服に関する研究

文献情報

文献番号
200932017A
報告書区分
総括
研究課題名
血友病とその治療に伴う合併症の克服に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
坂田 洋一(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 敬也(自治医科大学 医学部)
  • 嶋 緑倫(奈良県立医科大学 小児科)
  • 高橋 将文(自治医科大学 医学部)
  • 長谷川 護(ディナベック株式会社)
  • 瀧 正志(聖マリアンナ医科大学)
  • 稲葉 浩(東京医科大学 臨床検査医学講座)
  • 竹谷 英之(東京大学医科学研究所附属病院)
  • 柿沼 章子(社会福祉法人はばたき福祉事業団)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
109,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血友病遺伝子治療臨床研究開始に向けた基礎研究、血友病インヒビター対策、そして、QOL改善を目指した患者視点調査と薬害HIV感染血友病患者の問題解決を図る調査を目的とした。
研究方法
肝臓標的にアデノ随伴ウイルスベクター8(AAV8V)を用いて第IX因子(FIX)遺伝子導入後、長期間経過したサルを解剖し、残存遺伝子量と、生殖器を含む他臓器遺伝子分布等を検討した。抗AAV抗体陰性サル3頭に末梢静脈からベクター投与し、発現を観察した。血友病患者抗AAV抗体測定の倫理審査を受けた。GMPレベルAAV8V作製委託企業を、種々の点から検討した。血友病Aクローンブタ作製を進めた。改変SIVベクターを用いて、自己幹細胞等に体外で遺伝子導入、細胞シートを作製し移植して発現検討した。インシュレータ等安全面も検討した。成熟血友病AマウスモデルでITI機序解析を進めた。一次アンケートを基に二次アンケート作成を検討した。薬害HIV感染血友病患者家系の母親に面接し聞き取り調査を行った。動物実験、臨床研究、疫学研究は文科省・厚労省の倫理指針、そして各施設規約に従って施行した。
結果と考察
肝臓に発現量相当導入遺伝子が確認された。他は脾臓で僅かに陽性以外は陰性であった。腫瘍化や慢性炎症は認めなかった。抗AAV抗体陰性全サルで10-33%FIX発現持続が得られた。AAVV作製委託企業としてV G T C社(中国、血友病B臨床研究用AAV2作製し米FDA承認実績あり)を、技術者面接、設備視察後、non-GMPレベルAAV8V作製依頼し、その物性を確認し選択した。血友病Aクローンブタを作製した。出血管理が課題である。SIVベクターを利用してFVIII遺伝子導入した間葉系幹細胞由来細胞シートをマウス腹腔に貼り付け、量依存性発現が確認できた。ITI解析結果は投稿準備中である。一次アンケートで、関節出血がQOLを左右することが示唆された。さらなる問題提起のための二次アンケートを作成した。薬害HIV感染血友病患者母と非感染母との間に偏見などの共通する問題点と、感染患者母に、より保護志向が強いことなどが示唆された。
結論
血友病B遺伝子治療は、臨床研究開始可能レベルに達した。GMPレベルAAVV調達目途もたった。二次アンケート案も完成した。HIV感染血友病患者母に対する聞き取り調査により、次年度介入研究に必要な情報が得られた。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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