UNGASS REPORT等の報告書作成に必要な情報を収集・分析する研究

文献情報

文献番号
200932014A
報告書区分
総括
研究課題名
UNGASS REPORT等の報告書作成に必要な情報を収集・分析する研究
課題番号
H20-エイズ・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(国立大学法人東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 諸岡 健雄(国際医療福祉大学大学院)
  • 野田 龍也(国立大学法人浜松医科大学 健康社会医学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国連エイズ特別総会(UNGASS)のフォローアップとして2年に一度国連に提出が求められるデータについて既存の調査研究を整理するとともに、現状における課題と不十分な情報についての考察を行うこと。
研究方法
各種文献資料をもとに資料をもとにUNGASSレポート指標、基準の変化について推移を追うとともに、今後の方向性について考察を行った。ハイリスクグループのサイズ推計及び流行状況に関する研究では、先行研究による推計値との乖離の原因となるバイアスの発生メカニズムを検討した。
結果と考察

UNGASS 2010年報告で求められるデータの所在については、厚生労働科学研究の研究者による知見が極めて大きな役割を果たしていることが改めて確認された。国連の報告を行うにあたっては、文献検索を行うのみでは十分ではなく、厚生労働科学研究班の協力を得て既発表データの再集計や、未発表データ、パイロットスタディデータを含めた協力体制の確立が必要となることが明らかとなった。男性同性愛者の出現率をカミングアウト率の推計値で補正した後の、日本における男性同性愛者の率は 2.38%と推計され、この補正後の値については、我が国における先行研究による値と比較可能なものであると考えられた。HIV感染者数(報告数)の指数平滑法を用いた将来推計(報告値)においては、HIV感染者数の日本人男女総数、日本人男子の総数、日本人男子の同性間性的接触については、比較的妥当と思われる推計を行いうるが、日本人男性の異性間性的接触については、やや精度が落ちることが明らかとなった。
結論
UNGASS報告のためのデータはある程度我が国に整っているものの、国連が要求する頻度で常にすべての情報について既存の枠組のみで情報が得られているわけではない。今後とも、公式な統計、研究班における調査の実施にあたっては国際的に報告を求められる情報との整合性にも一定の留意を行いつつ、情報基盤を整備してゆくことが重要である。Scale-Up Methodを用いた男性同性愛者の出現率については、カミングアウト率の推計値で補正した推計値は、我が国における先行研究による値と比較可能なものであると考えられるが、推計にあたっては、仮定の破綻の有無に十分留意するとともに、調査デザインや質問の方法を含め、総合的に検討を行うことが必要である。日本人のHIV感染者数(報告値)はいまだ指数関数的に増加しているが、その増加は男性の同性間性的接触による感染の増大と軌を一にする傾向が依然続いている。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200932014B
報告書区分
総合
研究課題名
UNGASS REPORT等の報告書作成に必要な情報を収集・分析する研究
課題番号
H20-エイズ・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(国立大学法人東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 仁一(神奈川県小田原保健福祉事務所)
  • 諸岡 健雄(国際医療福祉大学大学院)
  • 野田 龍也(浜松医科大学健康社会医学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
UNGASS Report 等のWHO/UNAIDSに対する報告書の作成に必要な疫学データ・制度に関する情報を整理・蓄積すること。
研究方法
UNGASSレポートの現状、我が国の位置づけ、今後の方向性及びUNGASSレポートの基礎となるデータの日本国内における所在について文献調査を行い、分析を行った。また、ハイリスクグループのサイズ推計及び流行状況に関して、インターネット調査を実施した。HIV感染率に関して、指数平滑法を用いたHIV感染者数(報告値)の推計及び将来予測を行った。ハームリダクションと薬物規制の刑事罰の運用について欧州薬事法規データベースを用いて検討を行った。
結果と考察
2010年UNGASSレポートの基礎となるデータの日本国内における所在と、2008UNGASSレポートにおける我が国の位置づけについては、我が国の行政データ、エイズ動向委員会、厚生労働科学研究によって、国際比較が可能な形でのデータ収集・報告は多くは可能であることが示唆された。ハイリスクグループのサイズ推計及び流行状況に関する研究では、インターネットアンケートを用いたScale-Up Method の応用可能性が示される一方、その課題も明らかとなった。HIV感染率に関する推計及び将来予測では、指数平滑法により感染者数(報告値)の将来予測を行い日本国籍を有する者のHIV感染者数(報告値)推計結果を得た。エイズ対策関連の法制度に関する国際比較研究ではハームリダクションと薬物規制の刑事罰の運用では、個人的な薬物利用についての厳罰化の回避と、注射針交換プログラムの違法性の阻却の両面から取り組まれていることが確認された。
結論
UNGASS報告のためのデータはある程度我が国に整っているものの、国連が要求する頻度で常にすべての情報について既存の枠組のみで情報が得られているわけではない。今後とも、公式な統計、研究班における調査の実施にあたっては国際的に報告を求められる情報との整合性にも一定の留意を行いつつ、情報基盤を整備してゆくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200932014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
国連へ報告に関しては、国際的にみると日本は他の先進諸国に比較して高い割合で報告がなされていることを明らかにしたこと、今後の課題についても明らかにしたことは国内対策を進める上でも社会的意義があった。また、scale up method を用いた方法が、今後解決すべき課題は残すものの、hard to reach population のsize estimate のための新たなアプローチとして適応しうる可能性を明らかにしたことは、学術的にも意義があった。
臨床的観点からの成果
該当なし。
ガイドライン等の開発
該当なし。
その他行政的観点からの成果
第119回エイズ動向委員会(平成21年11月24日)
第120回エイズ動向委員会(平成22年2月12日)
その他のインパクト
該当なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ezoe S,Morooka T, Noda T et al
Population Size Estimation of Men Who Have Sex with Men through the Network Scale-Up Method in Japan
PLoS ONE , 7 (1) , 31184-  (2012)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-