都市・農村における生活習慣病の実態比較およびパーソナルヘルスレコードを活用した重症化予防介入プログラムの開発と効果検証

文献情報

文献番号
202308012A
報告書区分
総括
研究課題名
都市・農村における生活習慣病の実態比較およびパーソナルヘルスレコードを活用した重症化予防介入プログラムの開発と効果検証
課題番号
22FA1008
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
石見 拓(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 由光(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
  • 岡田 浩(和歌山県立医科大学 薬学部)
  • 山本 景一(大阪歯科大学 医療イノベーション研究推進機構 事業化研究推進センター データサイエンス部門)
  • 立山 由紀子(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
  • 島本 大也(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
  • 阿部 達也(株式会社ヘルステック研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,520,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、都市部・農村部の地域特性を踏まえた生活習慣病の発症および重症化予防介入に向けて、パーソナルヘルスレコード(PHR)を活用したサービスモデルを開発し、有効性を検証することである。令和5年度は以下の取り組みを行い、都市部・農村部におけるPHRを活用した糖尿病予防介入の有効性検証を開始した。
分担①:生活習慣病の発症および重症化予防に対する経済状況の影響、社会経済要因の検討
(1)生活習慣病の行動・社会経済要因に関する調査
(2)健康医療介護統合データベースを用いた生活習慣病の地域差実態の分析
分担②:包括的な糖尿病の発症および重症化予防介入プログラムの開発・フィージビリティ研究の実施
分担③:糖尿病の発症および重症化予防介入プログラムによる健康自己管理の改善効果の検証
分担④:生活習慣病の発症および重症化予防介入としてのPHR活用にかかる課題の検討
分担⑤:生活習慣病の発症および重症化予防介入での活用に向けたPHRアプリ・システムの開発および改修
研究方法
分担①:令和4年度に実施した京都市の都市部・農村部を対象に「生活習慣病の行動・社会経済要因に関するアンケート調査」および「健康医療介護統合データベースを用いた生活習慣病の地域差実態の分析」について、さらなる結果の取りまとめを行った。
分担②:PHRを活用した生活習慣改善支援プログラムの開発に向けて、糖尿病およびその予備軍を対象とし、先行研究の調査、および、持続血糖(isCGM)を用いた2型糖尿病患者への介入研究の経験をもとに、予防介入プログラムを開発し、そのフィージビリティ確認を行い、研究実施上の注意事項を抽出した。
分担③:PHRを活用した糖尿病の発症および重症化予防介入プログラムの有効性検証のためのランダム化比較試験を開始した。研究計画書の倫理委員会での承認後、リクルートを開始し、年度内に参加者登録およびデータ収集を開始した。さらに、高齢者を含む参加者におけるPHRアプリやウェアラブルデバイスの使用・連携等における課題・留意点について取りまとめを行った。
分担④:予防介入プログラムでのPHR活用におけるシステム面での課題検討を行うとともに、頻回計測データを含むPHRデータ収集等に関する先行研究レビューを行った。
分担⑤:介入プログラムでの活用に向けて被験者が記録したPHRデータを本人の同意のもとで医療者、健康づくり支援者、研究者等が閲覧できるようにする方法を検討し、改修を行った。
結果と考察
分担①:糖尿病患者において重症化予防のための課題が多く存在すること(地域間格差が大きい、経済的困難感やSNS未使用等の社会経済的な要因が糖尿病予防に影響する可能性)が示唆された。また、都市部における食習慣の課題、農村部における医療機関アクセスや糖尿病合併症検査の実施率等の課題が明らかとなった。本結果を国際学会にて発表した他、査読付き国際誌へ学術論文として掲載され、研究成果を広く発信した。
分担②:健常者を対象とした予防介入プログラムのフィージビリティ確認により、複数のアプリをインストールする際のID・パスワードの管理、サインアップ(アカウント作成)や各デバイスの違いなど複数の問題点が明らかとなったことから、本研究の実施計画や運用に反映させた。
分担③: 本予防介入プログラムの有効性検証において、PHRデータ活用について参加者の前向きな姿勢を認めた。一方、本研究は、比較的高齢の参加者を含むことから、スマートフォンアプリやウェアラブルデバイスを介した研究実施における課題も見えてきた。様々な課題に配慮しなから、令和6年度にかけて本予防介入プログラムの実施する予定である。
分担④:国内外でPHRやウェアラブルデバイスによる健康関連データを用いた治療・健康増進に関する事例やPHR標準データ交換規格(Open mHealth)等の取り組みが進んでおり、多様なデータソースを組み合わせたPHR活用と社会基盤整備の重要性が示唆された。
分担⑤:PHRアプリ「健康日記」で収集するPHRデータの項目を追加した。また、研究者が被験者のPHRデータを収集・閲覧できるよう設定し、そのマニュアルの整備を行った。
結論
本年度は、令和4年度の各分担研究によって明らかとなった、生活習慣や糖尿病診療、PHR活用における課題を踏まえて、糖尿病の発症および重症化予防介入プログラムの開発し、そのフィージビリティ確認、および有効性検証のためランダム化比較試験の開始に向けた具体的な準備を進めることができた。令和6年度中の有効性検証の終了に向けて、計画に沿って継続予定である。

公開日・更新日

公開日
2024-08-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-08-16
更新日
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研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202308012Z