受動喫煙防止等のたばこ対策の政策評価に関する研究

文献情報

文献番号
202308007A
報告書区分
総括
研究課題名
受動喫煙防止等のたばこ対策の政策評価に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FA1002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所データサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 田淵 貴大(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科)
  • 村木 功(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 姜 英(キョウ エイ)(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
  • 中村 正和(公益社団法人地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター)
  • 欅田 尚樹(産業医科大学 産業保健学部)
  • 五十嵐 中(東京大学 大学院薬学系研究科)
  • 萩本 明子(同志社女子大学 看護学部)
  • 廣瀬 園子(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所)
  • 岡本 光樹(岡本総合法律事務所)
  • 十川 佳代(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
12,500,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 田淵 貴大 大阪国際がんセンター(令和5年4月1日~令和6年2月29日)              ↓ 東北大学(令和6年3月1日以降) 年度末の異動の為、研究実施機関は令和6年3月31日まで大阪国際がんセンターとし、令和6年4月1日以降は東北大学とする。

研究報告書(概要版)

研究目的
日本はたばこ規制枠組み条約(FCTC)に2005年発効時から参加し、2010年のたばこ税増税、2018年の健康増進法改正、2019年の注意文言等見直しなどのたばこ対策を実施してきた。喫煙率は成人、未成年ともに減少を続けている。世界保健機関(WHO)のたばこ対策パッケージ(MPOWER)の2023年報告書では、モニタリングとメディアキャンペーンの2分野で4段階中最高のレベル1、禁煙支援、警告表示、たばこ税の3つの分野でレベル2となっている。一方、受動喫煙防止分野は改正健康増進法の経過措置の影響でレベル3、広告・販売促進規制分野では最も低いレベル4にとどまる。国の目標値「2022年度までに成人喫煙率12%」は達成されず、加熱式たばこや水タバコ製品(シーシャ)の使用など新たな課題も生じている。たばこ対策の推進には、対策の現状、課題、解決策、その導入効果の科学的評価(インパクト評価/アセスメント)が必要である。健康増進法の改正過程でも、「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(いわゆるたばこ白書)がその役割を果たした。たばこ対策のインパクト評価は、FCTC締約国の履行評価としても求められている。国民の健康づくり計画「健康日本21」も第二次の最終評価と第三次にむけた検討が進められており、疾病予防対策全体の中で、これまでのたばこ対策の評価と今後の政策の提案が必要である。本研究は、たばこ対策の各分野の政策導入によるインパクト評価を実施し、日本の生活習慣病予防施策や改正健康増進法の見直しなど、今後の政策形成に役立つ科学的証拠をとりまとめ、実効性のある政策を提言することを目的とする。
研究方法
①たばこの使用状況および政策から受けるインパクトを調べるためのインターネット調査
②受動喫煙防止対策の実施状況を調べるための自治体調査
③受動喫煙防止対策の実施状況を調べるための飲食店調査
④シーシャ関連の一酸化炭素(CO)中毒に関する調査、店舗内の一酸化炭素などの濃度測定
⑤たばこ規制の行動経済・医療経済学的評価に関する研究
⑥韓国における受動喫煙対策の法律、条例、国と民間との共働の事例調査
⑦喫煙目的施設および近隣住宅受動喫煙問題に関する政策提言
⑧たばこ対策の法的・社会的問題についての検討
⑨政策実現にむけたアドボカシー方策の検討
結果と考察
一般集団を対象としたインターネット調査、自治体調査、飲食店調査などを実施し、水タバコ製品(シーシャ)の使用状況、禁煙行動、警告表示および広告・販売促進の影響、改正健康増進法の影響などの分析を行った。さらに、たばこ対策の法的・社会的問題およびアドボカシー方策の検討をした。禁煙試行率や禁煙外来受診率が増加した一方で、シーシャ使用者の拡大の可能性や非喫煙者における広告ばく露後の加熱式タバコの新規使用など、従来のたばこ製品以外における問題が示唆された。また、改正健康増進法の経過措置や順守状況の問題、望まない受動喫煙の問題、警告表示の視認性の低さの問題も見られた。
結論
日本におけるシーシャ使用の実態、たばこ対策の各分野の政策導入によるインパクト評価、法的・社会的問題およびアドボカシー方策の検討を実施した。禁煙試行率が増加する一方で、シーシャ使用者の拡大の可能性や非喫煙者における広告ばく露後の加熱式タバコの新規使用など、従来のたばこ製品以外における問題が示唆された。さらに、改正健康増進法の経過措置や順守状況の問題、望まない受動喫煙の問題、警告表示の視認性の低さなどの問題も見られた。今後も従来のたばこ製品以外のたばこ製品を含めたモニタリングおよび政策の評価を実施し、国際基準に沿ったたばこ対策の実施を促すための基礎資料を提供していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202308007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,250,000円
(2)補助金確定額
15,780,000円
差引額 [(1)-(2)]
470,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,966,435円
人件費・謝金 1,455,364円
旅費 184,098円
その他 8,424,639円
間接経費 3,750,000円
合計 15,780,536円

備考

備考
支出額は補助金対象経費実支出額にあたり、千円未満の端数が生じた場合はその端数を自己資金としたため。(536円分)

公開日・更新日

公開日
2024-10-31
更新日
-