文献情報
文献番号
200932002A
報告書区分
総括
研究課題名
HAARTの長期的副作用対策・長期予後に関する研究
課題番号
H19-エイズ・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田邊 嘉也(新潟大学 医歯学総合病院第二内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
15,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
今回の班研究では課題を4つにわけてそれぞれを検討し新たなエビデンスを構築していくことを目的とした。
(課題1:ツルバダ(TVD)を含む抗HIV療法の効果と副作用の評価
(課題2:Atazanavirによる高ビリルビン血症に対するウルソデオキシコール酸の効果)
(課題3:ニューモシスチス肺炎治療での減量治療の検討)
(課題4:エイズ悪性リンパ腫の自己末梢血幹細胞移植を併用したsalvage療法の検討)
(課題1:ツルバダ(TVD)を含む抗HIV療法の効果と副作用の評価
(課題2:Atazanavirによる高ビリルビン血症に対するウルソデオキシコール酸の効果)
(課題3:ニューモシスチス肺炎治療での減量治療の検討)
(課題4:エイズ悪性リンパ腫の自己末梢血幹細胞移植を併用したsalvage療法の検討)
研究方法
課題1においてはatazanavir/ritonavirを固定し、tenofovirとabacavirとを無作為割付して比較することで、tenofovirの効果と副作用を検討する方法とした。また課題1において腎臓尿細管由来培養細胞をいくつか収集し、近位尿細管特有のトランスポーターやスカベンジャー受容体へのTDFの影響についてin vitroで検討した。課題2ではatazanavirを1年以上継続している25症例を対象に、ウルソデオキシコール酸600mg/日を3ヶ月投与する他施設研究とした。
課題3については12mg/kg/日の段階を経て、10mg/kg/日を試みる2段階方式とすることとした。
課題4では改良ESAP±rituximabによるsalvage療法を行い、部分寛解以上の治療効果が得られた症例で、MEAM療法を前処置とした自己末梢血幹細胞移植を行う。
課題3については12mg/kg/日の段階を経て、10mg/kg/日を試みる2段階方式とすることとした。
課題4では改良ESAP±rituximabによるsalvage療法を行い、部分寛解以上の治療効果が得られた症例で、MEAM療法を前処置とした自己末梢血幹細胞移植を行う。
結果と考察
課題1についてはプロトコールに従いエントリーを継続したが、目標とする症例数に達しなかった。非劣性試験としては証明が困難となり、安全性試験として継続する方針とした。課題2においてはウルソの内服で有意にビリルビンが低下することが証明できた。課題3では減量しても軽症のニューモシスティス肺炎は管理可能であり、過敏症についても発生率が低下する可能性が高いことが示唆された。課題4においては、プロトコールの検討に時間を要してしまい患者のエントリーは進まなかった。
結論
エイズ分野では、日本で初めての無作為割り付け非劣勢比較試験を開始し、最終年度においても患者エントリーをすすめていたが、目標症例に達しなかった研究もあり成果は限定的である。そのためいくつかの課題については検討を継続する予定である。課題2においては国際的にも初となるATVの高ビリルビン血症の対処法について、課題3では欧米の使用量とは全く異なるST合剤の減量の可能性を導くことができた。
公開日・更新日
公開日
2014-05-21
更新日
-