がん診療を行う医療機関における支持療法の質の向上に資する研究

文献情報

文献番号
202307044A
報告書区分
総括
研究課題名
がん診療を行う医療機関における支持療法の質の向上に資する研究
課題番号
23EA1035
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
全田 貞幹(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院 放射線治療科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 絢子(聖路加国際大学 看護学研究科)
  • 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
  • 華井 明子(国立研究開発法人理化学研究所科技ハブ産連本部 (RCSTI))
  • 渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)
  • 吉田 陽一郎(福岡大学 医学部)
  • 中田 千博(国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.支持療法教育のための教育資材を用いたプログラムの開発とその効果判定
2.がん診療連携拠点病院等(以下、拠点病院)を含むがん診療機関における支持療法に関するQuality Indicator(QI)と支持療法関連施設要件の設定
研究方法
1.支持療法教育のための教育資材を用いたプログラムの開発とその効果判定
・1-1教育資材の開発
教育の題材としてはJASCCより出版されるCIPNガイドライン2023を取り扱う。E-learning では、薬剤特性に応じた症状評価および推奨されていない処方に特に注目し、不要な処方のDe-implementationも視野に入れた内容とする。各コンテンツについては2023年度から2024年度前半までにすべて完成させる。

・1-2教育資材を用いたプログラム開発
1-1で作成した教育資材を用いて職種別に履修課題を可変できるE-learningプログラムを開発する。

・1-3教育プログラムの効果検証
複合プログラムを修了した医療者に対してテストで都度到達度を判定する。
また、一定の到達度を満たした医療者には学会からの認定を受けられるようなシステムの構築を行う。
効果判定結果を分析して特定のカテゴリーで習熟率が低い場合には講義内容の変更を検討する。

2. がん診療連携拠点病院等を含むがん診療機関における支持療法に関するQuality Indicator(QI)と支持療法関連施設要件の設定
・2-1  日常的に集められている診療情報(院内がん登録とDPCの導入の影響評価データ等)を用いた施設における支持療法の実態把握
2023年度は各種ガイドラインを精査し、支持療法に関する関係者(医師、看護師ら)及び患者や家族からの意見踏まえ、がん治療を受ける患者にとって効果的な支持療法の実施状況を把握するためのQIについて、修正デルファイ法を用いて策定する。なお、策定されたQIについては厚生労働省科研費指定研究「がん対策推進基本計画におけるロジックモデルの構築・改善に関する研究」(祖父江班)と連携することで支持療法のロジックモデル作成にも活用する。
また、2023年に発刊されたCIPNのガイドラインの普及状況を追跡するため、2021年以前の当該薬の使用状況についてQI調査データ等を用いてガイドライン公表前の状況を把握する。

・2-2 がん診療拠点病院に対するレジメン管理に関する実態調査
がん診療連携拠点病院等(薬剤部長宛、400施設)を対象として2023年度内に実施する。
a.施設状況(病床数、登録レジメン数、外来化学療法加算算定件数)
b.レジメン管理委員会関連(構成人数、職種、開催頻度、臨時の有無、審査レジメン数実績)
c.がん化学療法レジメン登録・管理関連(10個程度の質問)を調査する。
この実態調査により現時点でレジメン管理を厳密にすることが現場環境への影響がどの程度かを検討する。2023年度で収集したデータを解析し、レジメン登録に関する会議の開催頻度および薬剤師の関与について施設要件になりうる指標候補(A/B/C)を絞り込む。指標候補(A/B/C)についてがん診療連携拠点病院等の情報をレトロスペクティブに解析して施設要件設置の実施可能性を評価する。
結果と考察
研究結果
教育資材を用いたプログラムの開発と効果判定(CIPN)についてはE-learningの作製と実地研修の導入について検討することが決まった
支持療法のQuality Indicatorと支持療法関連施設要件の設定について、病院の抗がん剤レジメン登録の更新状況と支持療法の整備がリンクしている可能性があることが判明した。
QI設定に伴い それが実地臨床に無理のない範囲で受け入れられるかどうかについてがん診療連携拠点病院を対象としたアンケート調査を起案した。

考察
教育資材の開発については日本がんサポーティブケア学会(JASCC)教育委員会と連携してプロジェクトを進めており学会事務局の進捗管理の支援も得ていて順調な進み具合である。
QI策定に関しては、今後実臨床を圧迫しないQI設定というのが課題でありアンケート調査の結果を参照して最適なQIおよびがん診療連携拠点病院における支持療法の施設要件の策定にもつなげていきたい。
2024年4月からは医科歯科連携及び栄養療法に関する実態調査も開始し、支持療法全般がどの程度各病院に浸透しているのか、実際の運用を妨げている要因は何なのかについては明らかにされるものと思われる。

結論
2024年以降はCIPN、CINV、医科歯科連携、栄養療法の4つを軸に支持療法の普及実装状況と普及阻害要因の探索を進めていくが今年度の調査は準備としては一定の成果を出したものと考える

公開日・更新日

公開日
2024-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-05-31
更新日
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研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202307044Z