結核対策の評価と新たな診断・治療技術の開発・実用化に関する研究

文献情報

文献番号
200931051A
報告書区分
総括
研究課題名
結核対策の評価と新たな診断・治療技術の開発・実用化に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 誠也(財団法人結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 山岸 文雄(独立行政法人国立病院機構千葉東病院)
  • 坂谷 光則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 切替 照雄(国立国際医療センター研究所感染症制御研究部)
  • 徳永  修(独立行政法人国立病院機構南京都病院小児科)
  • 原田 登之(財団法人結核予防会結核研究所抗酸菌レファレンス部)
  • 小林 典子(財団法人結核予防会結核研究所対策支援部)
  • 御手洗 聡(財団法人結核予防会結核研究所抗酸菌レファレンス部)
  • 前田 伸司(財団法人結核予防会結核研究所抗酸菌レファレンス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
49,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
低まん延化に向けてより効果的・効率的な対策を進めるため,従来の対策・技術の再評価及び診断,治療の新技術の開発・評価を行う。
研究方法
研究代表者と8人の研究分担者によって,(1) 2007年の全国薬剤耐性調査の解析 (2) 新化学療法剤を含めた治療方式の開発・評価: (3) 結核菌検出・薬剤感受性検査の迅速遺伝子診断法の開発・評価,(4) 小児医療及びBCGの副反応調査 (5) IGRAの免疫脆弱者における評価,(6) 結核菌の病原性・感染性の評価方法の開発,(7)VNTRの自動化検討,(8) DOTSの質向上のための検討,(9)HIV合併結核調査,(10)コッホ現象報告の集計を行った。
結果と考察
薬剤耐性全国調査の結果,薬剤耐性は減少傾向にあると推定された。地域DOTSの質向上のために、保健所と医療機関との連携、患者の服薬支援計画の作成、患者の生活に応じた支援、ガイドラインの整備が必要事項として挙げられた。IGRAの小児における評価ではT-Spotの優位性が示唆された。BCG骨炎は増加の可能性が示された。小児医療では集団生活を送る施設における感染対策の徹底、BCGワクチン接種率の維持、小児結核の感染・発症診断の質的保証、ハイリスク・グループに対する選択的検診導入が必要と考えられた。HIV合併結核調査で結核患者へのHIVの啓発・検査が進んでいないことが推察された。コッホ現象報告の集計報告数には人為的な要因が関係している可能性が示唆された。
 新化学療法剤を含めた治療方式の開発・評価ではリファブチン及びリネゾリドの有効例が認められ、リファンピシン、リファブチン耐性結核菌のrpoB内の変異が特定された。薬剤感受性検査の迅速遺伝子診断法の開発は、フルオロキノロン耐性菌検出用ラインプローブ及びイソニアジド耐性菌検出用ラインプローブを開発した。結核菌の病原性・感染性の評価は基礎となる複数の結核菌の混合物を平板培地上で液相のまま相対的に定量する方法を考案し、可能性を実証した。遺伝子タイピングの全自動化ではマルチプレックスPCRでローカスの組合せを作り、別々に検出することによって、省力化が可能なシステムを構築した。
結論
日本の結核対策は改善すべき点は種々あるが,薬剤耐性の減少に示されるように成果を上げている。今後とも新技術の開発・導入によって進展が期待される。

公開日・更新日

公開日
2010-07-14
更新日
-