精神障害のある方に対するがん検診及びがん診療のアクセシビリティの向上に資する研究

文献情報

文献番号
202307040A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害のある方に対するがん検診及びがん診療のアクセシビリティの向上に資する研究
課題番号
23EA1031
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 正俊(国立大学法人島根大学 医学部精神医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 島津 太一(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
  • 藤森 麻衣子(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 サバイバーシップ研究部支持・緩和・心のケア研究室)
  • 内富 庸介(国立がん研究センター がん対策研究所サバイバーシップ研究部)
  • 藤原 雅樹(岡山大学病院精神科神経科)
  • 髙木 学(岡山大学 学術研究院 医歯薬学域 精神神経病態学)
  • 岡 裕士(山田 裕士)(岡山大学病院 精神科神経科)
  • 田端 雅弘(岡山大学 岡山大学病院)
  • 田村 研治(国立大学法人島根大学医学部附属病院 先端がん治療センター)
  • 長濱 道治(島根大学 医学部)
  • 樋之津 史郎(札幌医科大学 医学部)
  • 山田 了士(地方独立行政法人岡山県精神科医療センター)
  • 堀井 茂男(公益財団法人慈圭会 慈圭病院)
  • 小林 孝文(島根県立こころの医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
7,680,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神障害者はがん検診、がんの診断および標準的治療に格差が生じていることが知られており、がん検診及びがん診療のアクセシビリティを改善する取組が必要である。我々は、精神障害者にもがん検診・ケアを届けるため、阻害・促進要因を明らかとし、介入の開発、効果検証という実装科学の手法に基づいたプロセスで研究を進めてきた。これまでの研究で、かかりつけ精神科医療機関におけるがん検診勧奨法を開発してその効能を確認し、勧奨法の医療者レベルの実装戦略を開発した。併せて、勧奨法の実装効果をモニタリングするために、一部の市町村で自治体が保有するデータを活用する動向調査法の実施可能性の検討を行った。同時に、精神障害者のがんの診断・治療における課題の抽出を行い、課題の解決法の集約を行った。研究のステップを進めた本研究課題では、①がん検診勧奨法を広く精神科病院へ採用を促す地域レベルの実装戦略を検討し、採用度および採用に至る病院の特徴を明らかにする[研究1]、②市町村が有するがん検診および障害福祉データを利活用し、精神障害者のがん検診受診率の動向を明らかにする全国的な調査法を確立する[研究2]、③精神障害のあるがん患者の治療を支援するためのプログラムを開発する[研究3]ことを目的とする。
研究方法
研究1:県の精神科病院協会等と協働して中国地方の各県の精神科病院に対してがん検診勧奨法の採用を呼び掛けるプロジェクトを実践し、観察研究として採用度を評価し、どのような病院が採用するかの分析を行う。
研究2:市町村に対して保有するがん検診データと自立支援医療(精神)データとの連結を依頼し、精神障害者の住民がん検診受診率を把握する全国的な動向調査を行う。
研究3:先行研究の結果をもとに、がん診療連携拠点病院等における精神障害のあるがん患者の治療を支援するためのプログラムを開発し、予備的な臨床実践を通じて実施可能性を検討する。
結果と考察
研究1: 先行試験の分析結果を踏まえ、がん検診勧奨実施ガイドと、付属する教育資料・動画の修正・追加を行った。また、地域の精神科病院に採用を呼び掛けるための戦略を検討し、ACCESSプロジェクトとして実施計画を立てた。プロジェクトで使用する資料等を研究用のホームページで公開して準備を整えた。観察研究としてのプロトコルコンセプトの検討も進めた。
研究2: 関係機関へのヒアリングを行い、研究計画の詳細を検討した。その結果、全国調査の前に、がん検診・自立支援データのデータベース化の状況、集計データの作成可能性に関する予備調査を島根・岡山県内の市町村を対象に実施することとした。この研究のプロトコルを作成して2024年2月に倫理承認された。
研究3:先行研究の結果に基づいて、精神症状担当チームを主体とした精神障害者のがん治療を支援するためのプログラムおよびその実践ガイドを作成した。作成したプログラムについては外部評価を受けた。観察研究としてのプロトコルコンセプトの検討も進めた。
結論
研究1-3それぞれについて3年間の1年目に予定した内容を実施した。予定通り進捗しており、2年目よりそれぞれ実践および調査を実施する。3年目に結果を分析・公表し、研究成果を還元する。

公開日・更新日

公開日
2024-05-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202307040Z