細胞培養系を用いた新型インフルエンザワクチンの開発研究

文献情報

文献番号
200931048A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞培養系を用いた新型インフルエンザワクチンの開発研究
課題番号
H21-新興・指定-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田代 眞人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 典生(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
  • 奥野 良信(阪大微生物病研究会 観音寺研究所)
  • 野崎 周英(財団法人化学及血清療法研究所)
  • 五反田 亨(学校法人北里研究所 生物製剤研究所)
  • 大塚 浩史(デンカ生研株式会社)
  • 二宮 康行(株式会社UMNファーマ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
410,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型インフルエンザに対応するため、有効かつ安全な新型ワクチンの緊急開発・大量増産の体制を整えておくことは大変重要である。そこで本研究では、新型インフルエンザ出現に際して6か月以内に国民全員への新型ワクチン供給体制を確立することを目的として、国内外ワクチン製造業者等と共同で細胞培養系を用いた新型インフルエンザワクチンの開発研究を行う。その結果を以って、製造施設の設計、建設並びに臨床試験の実施を進め、5年以内に国内での組織培養インフルエンザワクチンの実用化を目指す。



 


 

研究方法
1. ウイルス増殖に用いる細胞についての検討
 各班員が保有する製造用細胞株および候補細胞株について、ウイルスの増殖性の検討や、細胞の特性試験・安全性試験等を行った。
2. 細胞培養の方法・条件についての検討
 各班員が保有する細胞に関し、培養の方法や条件について検討を行った。特に、スケールによる細胞の増殖性の変化や、ウイルス増殖性の変化について解析を行った。
3. 精製工程についての検討
 精製工程の確立へ向けて、精製方法に関する条件検討を進めた。
4. 非臨床試験に関する共通の問題点についての整理
 各班員が共通して直面する問題点を抽出し、留意すべきポイントの整理を試みた。
結果と考察
細胞株としては、MDCK細胞(付着性・浮遊性)、EB66細胞、express SF+細胞、LLC-MK2細胞が検討され、MCBとEPCについて特性と安全性に関する解析が進められた。現在まで得られているデータについては、問題となる点はなく、順調に進んでいると言って良いであろう。細胞培養の方法・条件と精製工程については、各班員とも中規模での培養を既に行い、大規模培養へ向けての基盤は着実に整いつつある。精製工程を含めた一連の製造工程についてもそれぞれ検討が進んでおり、非臨床試験へ向けて準備が整ってきている。また本研究班では、各班員に共通する問題点を抽出し、整理を行った。共通の問題について班員全体でディスカッションし、情報を共有することは、プロジェクト全体を推進する上で非常に有益であった。さらに議論を深め、整理していく予定である。
結論
全体として、2年間で非臨床試験を終了するという目標へ向けて着実に前進しているといって良いであろう。しかし、5年以内の実用化を達成するには、さまざまなハードルがある。最終的な目標の達成へ向け、一丸となって進んで参りたい。

公開日・更新日

公開日
2010-07-13
更新日
-