アピアランスケアに関する相談支援・情報提供体制の構築に向けた研究

文献情報

文献番号
202307033A
報告書区分
総括
研究課題名
アピアランスケアに関する相談支援・情報提供体制の構築に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1024
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
藤間 勝子(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 アピアランス支援センター)
研究分担者(所属機関)
  • 島津 太一(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
  • 飯野 京子(国立看護大学校)
  • 八巻 知香子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 がん情報提供部)
  • 清水 千佳子(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 病院 乳腺・腫瘍内科 兼 がん総合診療センター)
  • 野澤 桂子(目白大学 看護学部)
  • 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
10,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,がん患者のアピアランス(外見)の変化について,第四期がん対策基本推進計画において求められている医療機関における相談支援・情報提供体制について整備の在り方を検討し,国の実施するモデル事業を通じてその効果と問題点を検証するとともに,その全国展開に向けた方策を提案することである。具体的には,研究Ⅰとしてアピアランスケアモデル事業参加施設に対する効果的かつ効率的な院内体制の整備に関する検討を行い、
研究Ⅱでは日本国内の地方自治体で実施されているアピアランスケア関連助成事業の実態を網羅的に把握することを目的に調査を行った。
研究方法
本来、本研究では令和5年度アピアランス支援モデル事業実施施設と連携し、その事業が円滑に進むようサポートするともに、研究班の計画するアピアランス支援体制構築とその効果検証の研究に協力を得てデータ収集等を行う予定であった。しかし、アピアランス支援モデル事業の事業計画及び実施要項に、実施施設に対する研究班への連携・協力について明記されておらず、事業開始後に当研究班からの直接的な研究介入が困難であることが明らかになった。そこで当初計画を変更し、研究Ⅰでは、令和5年度は研究班として求められていたモデル事業実施施設へのサポートを中心に行い、1泊2日の実地研修と、各施設が事業実施状況を報告する情報共有の場(12月19日・3月20日)をオンラインで開催した。その中心となった実地研修についてはプログラム評価の研究を行った。プログラムについては、研究班で設定したアピアランスケア行動目標の達成度、アピアランスケア質向上のための取り組みの評価指標、研修目標の個人の達成度評価、研修の満足度、今後への活用について評価した。
研究Ⅱでは自治体担当者へのヒアリング調査を行ったのちに都道府県に対しウエブ調査を行った。調査項目は、助成事業の財源、助成対象、助成額および助成額を設定した経緯等とし、自由記載にて現状の課題等を尋ねた。調査時に助成事業を実施していない自治体には今後事業の実施意向はあるか、事業を実施できなかった・しない理由、自由記載にて回答者の都道府県内にて事業を実施している市区町村名を尋ねた。
結果と考察
研究Ⅰの研修プログラムの評価については以下の結果となった。目標の達成度については、「アピアランスケアの組織的取り組みに同意する」や「患者向けの説明資材を準備する」「アピアランスケアのニーズについて理解を深める」「理念を踏まえ、自施設で対象となるケア対象者を説明できる」などは9~10割が「非常にできている」「ややできている」であった。アピアランスケア質向上のための取り組みの評価指標としては、患者に対する直接的な調査の他、「患者からの相談件数」「各部署からの依頼件数」また、診療録等院内データを分析する方法などが指標として挙げられた。また研修目標の個人達成度は「対応事例の共有から好事例を分析する」の1項目を除き「やや達成した」までの回答が過半数を超え全体に達成度は高かった。研修の満足度および研修の今後への活用については、全ての項目で肯定的な評価となっていた。
また、実地研修および研究班がサポートした「情報共有の場」により、モデル事業実施施設では、アピアランスケア実装に向けて効果的な研修が行え、また、他施設と情報交換をするとともに共通の課題への対策の方向性が見える等の一定の成果があったと考える。
研究Ⅱでは、地方自治体が行うアピアランス関連助成事業について、都道府県と市区町村のいずれかが主体となって助成事業が実施されている地域は全体の9割を超えていた。しかし一方で、都道府県内全域カバー率は4割未満に留まり、助成事業を都道府県内で全く実施していない地域も存在しておりアピアランスケアの均てん化という側面からは課題である。またその助成学も、都道府県で直接申請受理している10件のうち、指定していた助成額は「1万円以下」が3件、「2万円以下」が4件、「3万円以下」が1件、「5万円以下」が2件だった。また、購入費用割合では「購入費用の1/2」が7件、「購入費用の1/3」が2件、「費用全額」が1件だった。
結論
今年度は、研究計画の大幅な変更を余儀なくされたため、研修会の効果測定と行政に関する助成事業の調査のみを行った。研修会については概ね高評価であり参加者の満足度も高く、今後のアピアランスケア実装に向けた研修会として活用が可能と考えられる。
また自治体に対するアピアランス関連補助事業については、今回の調査で初めて実態が明らかとなった。今後さらに分析および整理を進める。今後の研究結果も含め、最終的にはアピアランスに関する相談支援・情報提供を行える体制の構築に向け、実装に向けたプランの完成を目指す。

公開日・更新日

公開日
2024-06-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-06-13
更新日
2024-08-08

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202307033Z