文献情報
文献番号
202307023A
報告書区分
総括
研究課題名
小児がん拠点病院等及び成人診療科との連携による長期フォローアップ体制の構築のための研究
課題番号
23EA1014
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
松本 公一(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
研究分担者(所属機関)
- 清谷 知賀子(国立成育医療研究センター 小児がんセンター血液腫瘍科)
- 瀧本 哲也(国立成育医療研究センター 小児がんセンターデータ管理課)
- 加藤 実穂(国立成育医療研究センター 小児がんセンター小児がんデータ管理科)
- 原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
- 康 勝好(埼玉県立小児医療センター 血液腫瘍科)
- 岡田 賢(広島大学大学院医系科学研究科 小児科学)
- 田尻 達郎(九州大学・大学院医学研究院)
- 佐藤 真理(順天堂大学大学院・医学研究科)
- 加藤 元博(国立大学法人東京大学 医学部附属病院 小児科)
- 寺田 和樹(医療法人社団千秋双葉会 いなげ未来クリニック)
- 田代 志門(東北大学 大学院文学研究科)
- 森 有紀(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院)
- 細田 洋司(信州大学 医学部分子病態学教室)
- 岩田 慎太郎(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
13,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では旧研究班で構築したシステムとJCCGの後向き観察研究(AMED)の成果をふまえて、CCSを対象とする前向きの登録研究を実施することを目指す。そのために、オンラインネットワークの情報セキュリティ体制の強化を図るとともに、CCS向けのフォローアップツールの改良を行う。加えて、小児がんの長期フォローアップ(LTFU)の本邦における適切なあり方を検討し、エビデンスに基づいたリスク分類や実践的なフォローアップガイド作成を行い、LTFUの担い手である開業医、成人診療科との連携を進める。また、先行している成人分野での造血細胞移植のLTFUやゲノムデータベースと連携し、欧米同様のCCSサポートシステムを本邦にて運用することを目的とする。
研究方法
1)LTFU前向き研究
旧研究班により国立成育医療研究センター内に設置されたLTFUセンターについて、具体的な活動内容を規定するとともに、CCSオンラインサポートシステムのセキュリティを一層強化して標準業務手順書を作成する。同時に、同意取得の手順や情報収集における個人情報の保護のあり方、リスク分類案の作成、CCSに提供すべき情報の策定などを行う。
2)実践的LTFUガイドの作成とツールのブラッシュアップ
開業医としてLTFUを実践することの課題を検討し、実践的なフォローアップメソッドの作成等を行う。
3)造血細胞移植後のLTFUプログラムとの連携
先行する造血細胞移植後のLTFU(HSCT-LTFU)をモデルとして、小児がん診療後のLTFUの在り方と連携を考える。小児がん患者のLTFUとの共通課題などを協議し、実践的・包括的な診療体制を模索する。
4)データベースを活用した研究による成人診療科との連携
JHで行っていた心筋障害やサルコペニア研究等に関して、本研究班で継続する。移植後脂肪萎縮症に対する全国調査などを行う。また、CCSにおけるサルコペニアの評価を行い、患者のADLや予後への影響を検討する。また、旧研究班で開始していたLCH-LTFU研究やTCCSGを対象とする循環器合併症研究などLTFU体制の実装研究も引き続いて行う。
旧研究班により国立成育医療研究センター内に設置されたLTFUセンターについて、具体的な活動内容を規定するとともに、CCSオンラインサポートシステムのセキュリティを一層強化して標準業務手順書を作成する。同時に、同意取得の手順や情報収集における個人情報の保護のあり方、リスク分類案の作成、CCSに提供すべき情報の策定などを行う。
2)実践的LTFUガイドの作成とツールのブラッシュアップ
開業医としてLTFUを実践することの課題を検討し、実践的なフォローアップメソッドの作成等を行う。
3)造血細胞移植後のLTFUプログラムとの連携
先行する造血細胞移植後のLTFU(HSCT-LTFU)をモデルとして、小児がん診療後のLTFUの在り方と連携を考える。小児がん患者のLTFUとの共通課題などを協議し、実践的・包括的な診療体制を模索する。
4)データベースを活用した研究による成人診療科との連携
JHで行っていた心筋障害やサルコペニア研究等に関して、本研究班で継続する。移植後脂肪萎縮症に対する全国調査などを行う。また、CCSにおけるサルコペニアの評価を行い、患者のADLや予後への影響を検討する。また、旧研究班で開始していたLCH-LTFU研究やTCCSGを対象とする循環器合併症研究などLTFU体制の実装研究も引き続いて行う。
結果と考察
1)LTFU前向き研究
St. Jude小児研究病院と共同で選定した日本独自の長期フォローアップ収集項目を基にして、日本小児がん研究グループ(JCCG)大規模観察研究の収集項目を策定し、2万例の臨床情報登録を支援した。この転帰情報等の二次利用を念頭に、前方視的観察研究を計画し、研究実施計画書を作成中である。第65回日本小児血液・がん学会学術集会にて「小児がん臨床研究支援における情報セキュリティ体制の構築」を発表し、「小児がん長期フォローアップにおける同意取得のあり方と情報セキュリティについて(第二報)」を報告した。
2)実践的LTFUガイドの作成とツールのブラッシュアップ
実践的LTFUガイドは、今後のLTFUの担い手となる開業医をはじめとする成人診療科等の先生を対象とし、臓器・機能別にリスク因子、検診方法などを示し、心理社会面での支援、サバイバーシップ等に関して、事例を通じて解説する内容とした。また、米国小児がんグループ(COG)が作成した患者用教育資材の日本版を作成中である。開業医によるLTFU体制の構築に関する問題点を検討した。時間当たりの診療報酬が低いことやスタッフ確保の問題など開業医側の経営面での課題、CT・MRI検査などの医療連携面での課題も多いことが明らかになった。
3)造血細胞移植後のLTFUプログラムとの連携
第46回日本造血・免疫細胞療法学会において、「造血細胞移植患者の生涯フォローアップ」のシンポジウムを開催した。診療科による温度差が明らかになり、多職種連携の重要性について、成人診療科と小児診療科で討議した。
4)データベースを活用した研究による成人診療科との連携
成人診療科との連携で、抗がん剤性心不全の早期バイオマーカーの同定研究、小児・AYAがんにおけるサルコペニアの評価と運動機能との関連に関する研究を開始した。また、疾患モデルとしてLCH-LTFU研究、TCCSGコホート研究、TCCSG腫瘍循環器ワーキング「心筋ストレイン解析による小児がん経験者の早期心筋障害評価研究」を開始している。
St. Jude小児研究病院と共同で選定した日本独自の長期フォローアップ収集項目を基にして、日本小児がん研究グループ(JCCG)大規模観察研究の収集項目を策定し、2万例の臨床情報登録を支援した。この転帰情報等の二次利用を念頭に、前方視的観察研究を計画し、研究実施計画書を作成中である。第65回日本小児血液・がん学会学術集会にて「小児がん臨床研究支援における情報セキュリティ体制の構築」を発表し、「小児がん長期フォローアップにおける同意取得のあり方と情報セキュリティについて(第二報)」を報告した。
2)実践的LTFUガイドの作成とツールのブラッシュアップ
実践的LTFUガイドは、今後のLTFUの担い手となる開業医をはじめとする成人診療科等の先生を対象とし、臓器・機能別にリスク因子、検診方法などを示し、心理社会面での支援、サバイバーシップ等に関して、事例を通じて解説する内容とした。また、米国小児がんグループ(COG)が作成した患者用教育資材の日本版を作成中である。開業医によるLTFU体制の構築に関する問題点を検討した。時間当たりの診療報酬が低いことやスタッフ確保の問題など開業医側の経営面での課題、CT・MRI検査などの医療連携面での課題も多いことが明らかになった。
3)造血細胞移植後のLTFUプログラムとの連携
第46回日本造血・免疫細胞療法学会において、「造血細胞移植患者の生涯フォローアップ」のシンポジウムを開催した。診療科による温度差が明らかになり、多職種連携の重要性について、成人診療科と小児診療科で討議した。
4)データベースを活用した研究による成人診療科との連携
成人診療科との連携で、抗がん剤性心不全の早期バイオマーカーの同定研究、小児・AYAがんにおけるサルコペニアの評価と運動機能との関連に関する研究を開始した。また、疾患モデルとしてLCH-LTFU研究、TCCSGコホート研究、TCCSG腫瘍循環器ワーキング「心筋ストレイン解析による小児がん経験者の早期心筋障害評価研究」を開始している。
結論
JCCG大規模観察研究をもとに、LTFU収集項目の標準化を行い、令和6年度に前向き研究開始を目指す。TCCSGコホート研究、LCH-LTFU研究を継続し、データベースを活用した成人診療科との連携研究を推進している。⻑期フォローアップメソッド等の刊行により、成人診療科、開業医との連携をより強固なものにすることができると考えられた。また、自立を支えるためのCCSの経済的な支援、及び医療者側の経済的不採算性が課題として残っていると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2024-05-31
更新日
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