文献情報
文献番号
202307022A
報告書区分
総括
研究課題名
希少がん診療・相談支援におけるネットワーク構築に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1013
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
川井 章(国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
- 木下 一郎(北海道大学病院 がん遺伝子診断部)
- 高橋 雅信(東北大学 大学院医学系研究科)
- 西田 佳弘(名古屋大学 医学部附属病院 リハビリテーション科)
- 松浦 成昭(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター)
- 前田 嘉信(岡山大学病院 血液・腫瘍内科)
- 馬場 英司(九州大学大学院医学研究院社会環境医学講座連携社会医学分野)
- 岩田 慎太郎(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
- 下井 辰徳(国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科)
- 谷田部 恭(国立がん研究センター中央病院 病理診断科)
- 米盛 勧(国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科)
- 曽根 美雪(国立がん研究センター中央病院 放射線診断科)
- 後藤 悌(国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)
- 角南 久仁子(関原 久仁子)(国立がん研究センター 中央病院 臨床検査科)
- 平田 真(国立がん研究センター 中央病院 遺伝子診療部門)
- 東 尚弘(国立大学法人 東京大学 大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
- 力武 諒子(国立大学法人 東京大学 大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
- 高山 智子(静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
- 藤 也寸志(国立病院機構 九州がんセンター)
- 大熊 裕介(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)
- 加藤 陽子(国立がん研究センター 希少がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
11,847,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 力武 諒子
国立研究開発法人国立がん研究センター(令和5年4月1日~令和5年6月30日)
→国立大学法人東京大学大学院(令和5年7月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、専門的な医療を提供可能な施設の数が限られる希少がんに関して、全国の希少がん患者が適切な医療、正確な情報へ繋がることができるよう、全国ネットワークを整備し、希少がん患者が住み慣れた地域で相談支援を受け、納得のゆく適正な希少がんの診療を受けられる体制を構築するための研究を行う。
研究方法
本研究は全体を以下の3課題に分けて研究を進めることを計画する。
1.【ネットワーク構築】
全国の希少がん患者が、適正な診療・正確な情報へ繋がることができる全国ネットワークを構築し、その有用性と課題を明らかにする。
2.【基盤構築】
希少がんの情報収集および提供の方法、病理診断精度の向上、治療開発の促進、全ゲノム解析結果の患者還元など、希少がん医療向上のための基盤構築に資する研究を行う。
3.【アドバイザリーメカニズム】
研究の成果をがん診療連携拠点病院の指定要件等に反映させるとともに、希少がん患者の視点を取り入れて研究を進めることを目指す。
1.【ネットワーク構築】
全国の希少がん患者が、適正な診療・正確な情報へ繋がることができる全国ネットワークを構築し、その有用性と課題を明らかにする。
2.【基盤構築】
希少がんの情報収集および提供の方法、病理診断精度の向上、治療開発の促進、全ゲノム解析結果の患者還元など、希少がん医療向上のための基盤構築に資する研究を行う。
3.【アドバイザリーメカニズム】
研究の成果をがん診療連携拠点病院の指定要件等に反映させるとともに、希少がん患者の視点を取り入れて研究を進めることを目指す。
結果と考察
□令和5年度は、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州、それぞれの地域の拠点となる7施設(北海道大学、東北大学、国立がん研究センター中央病院、名古屋大学、大阪国際がんセンター、岡山大学、九州大学)に、希少がん全国ネットワークの要となる希少がん中核拠点センターの開設を進めた。先行研究参加施設(国立がん研究センター中央病院、名古屋大学、大阪国際がんセンター、九州大学)と新規参加施設(北海道大学、東北大学、岡山大学)の間には、院内の体制整備、希少がんホットラインの開設状況などに差異が認められた。しかし、今後、全国希少がんホットライン連絡会議などを通じて、実務者レベルでも連携強化、レベルアップが図られるとともに、ネットワーク構築が進むことが期待される。
□従来、本邦においては、希少がんの定義(人口10万人当たり年間発生率が6名未満)はなされていたものの、具体的な疾患名に関しては、何が希少がんかという点が曖昧であった。今回、新分類案と全国がん登録を用いて、わが国における具体的な希少がんを初めて明確にした。
□全国の希少がん中核拠点センターで運用の始まった希少がんホットラインに関して、その課題や問題点を共有、議論し、より良い希少がんの相談支援が全国で実施されることを目指して、全国希少がんホットライン連絡会議を定期開催した。
□希少がんを含む病理診断困難例に対して、全国の病理医を支援する病理コンサルテーションに関して、従来別々に実施されていた日本病理学会と国立がん研究センターのコンサルテーションシステムを2024年4月1日に統合した。これによって、より効率的に質の高い病理コンサルテーションが行われるようになることが期待される。
□希少がんの治療開発促進を目指すMASTER KEY Projectの令和5年度の新規登録は、固形がん636例、血液がん89例であった。
□「オンライン希少がん Meet the Expert」を2024年3月までに計36回開催した。オンライン化によって、「希少がんMeet the Expert」の登壇者および視聴者は全国に広がり、開催時視聴者数は計6,589 名、平均183名/回に達した。「オンライン希少がん Meet the Expert」は、希少がんに関する情報提供の手段として有効と考えられた。
□希少がん全国ネットワークをがん拠点制度等の中に適切に位置付けるためには、次期整備指針の改訂が予定されている2028年までに、がん診療連携拠点病院等における希少がん診療の実態を明らかにして、希少がん診療に関する問題意識を涵養しておく必要があると考えられた。
□公開シンポジウム『希少がん 診療・相談支援 ネットワーク構築 に関するシンポジウム』を2024年3月23日(土)に開催し、Multi-stakeholderによる講演とパネルディスカッション「希少がん全国ネットワークと中核拠点センター」「希少がんとゲノム解析・遠隔医療」を実施した。
□従来、本邦においては、希少がんの定義(人口10万人当たり年間発生率が6名未満)はなされていたものの、具体的な疾患名に関しては、何が希少がんかという点が曖昧であった。今回、新分類案と全国がん登録を用いて、わが国における具体的な希少がんを初めて明確にした。
□全国の希少がん中核拠点センターで運用の始まった希少がんホットラインに関して、その課題や問題点を共有、議論し、より良い希少がんの相談支援が全国で実施されることを目指して、全国希少がんホットライン連絡会議を定期開催した。
□希少がんを含む病理診断困難例に対して、全国の病理医を支援する病理コンサルテーションに関して、従来別々に実施されていた日本病理学会と国立がん研究センターのコンサルテーションシステムを2024年4月1日に統合した。これによって、より効率的に質の高い病理コンサルテーションが行われるようになることが期待される。
□希少がんの治療開発促進を目指すMASTER KEY Projectの令和5年度の新規登録は、固形がん636例、血液がん89例であった。
□「オンライン希少がん Meet the Expert」を2024年3月までに計36回開催した。オンライン化によって、「希少がんMeet the Expert」の登壇者および視聴者は全国に広がり、開催時視聴者数は計6,589 名、平均183名/回に達した。「オンライン希少がん Meet the Expert」は、希少がんに関する情報提供の手段として有効と考えられた。
□希少がん全国ネットワークをがん拠点制度等の中に適切に位置付けるためには、次期整備指針の改訂が予定されている2028年までに、がん診療連携拠点病院等における希少がん診療の実態を明らかにして、希少がん診療に関する問題意識を涵養しておく必要があると考えられた。
□公開シンポジウム『希少がん 診療・相談支援 ネットワーク構築 に関するシンポジウム』を2024年3月23日(土)に開催し、Multi-stakeholderによる講演とパネルディスカッション「希少がん全国ネットワークと中核拠点センター」「希少がんとゲノム解析・遠隔医療」を実施した。
結論
専門的な医療を提供可能な施設の数が限られる希少がんに関して、全国の希少がん患者が、適正な診療・正確な情報へ繋がることができる全国ネットワークを構築し、その有用性と課題を明らかにすること、さらにネットワークを活用して、相談支援、治療開発、情報提供など希少がん医療向上のための基盤的課題に取り組むことを目的として研究を行った。
公開日・更新日
公開日
2024-06-21
更新日
-