がんゲノム医療推進に向けたがん遺伝子パネル検査の実態把握とがんゲノム医療提供体制構築に資する研究

文献情報

文献番号
202307019A
報告書区分
総括
研究課題名
がんゲノム医療推進に向けたがん遺伝子パネル検査の実態把握とがんゲノム医療提供体制構築に資する研究
課題番号
23EA1010
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
大津 敦(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院)
研究分担者(所属機関)
  • 吉野 孝之(国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院 消化管内科)
  • 内藤 陽一(国立がん研究センター東病院 先端医療科)
  • 角南 久仁子(関原 久仁子)(国立がん研究センター 中央病院 臨床検査科)
  • 今井 光穂(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院)
  • 小山 隆文(国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院 先端医療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2019年よりがんゲノムプロファイリング検査(CGP検査)が臨床導入されたが、①低い適合薬剤到達率と地域間差、②エキスパートパネル(EP)実施や臨床情報入力に関わる業務負担、③ゲノム医療従事者の人材育成等の課題が浮き彫りとなっている。本研究班は、これらの課題解決のための実態調査、問題抽出と改善のための取り組み、提言作成、教育に資することを目的とする。
研究方法
本研究班では(1)がんゲノム医療中核拠点・拠点病院での適合治療実施率・地域間差、遺伝カウンセリング実施状況等の調査(2)薬剤到達率向上を目指したオンタイムでの治験情報共有システム構築およびAI等を活用したEPおよびデータ入力の効率化(3)上記から抽出した課題と改善効果に基づく整備指針改訂に向けた提言書の作成(4)CGMC研修のためのカリキュラムや教育資材の作成を行う。
結果と考察
(1) 中核拠点・拠点病院での適合治療実施率・地域間差、遺伝カウンセリング実施状況等の調査を行った。
2021年9月1日~2022年8月31日の1年間に実施されたエキスパートパネル (EP) での検討症例数は19,593例、うち自施設例8,870例 (45.3%) で、約55%は連携病院の症例であった。自施設の症例 (8,870例) に対して、治療提案割合 43.1%、治療到達率 7.1%、うち企業治験 1.0%、NCCH1901(受け皿試験)0.6%、保険診療 4.9%、保険適用外使用 0.4%であった。遺伝カウンセリング外来受診は25.0%であった。CGP検査数、治療提案割合には、中核拠点病院と拠点病院で差があることも判明した (中央値 98例 対 56.5例、p<0.01)。
1症例あたりにかかる平均所要時間は中核拠点病院で62.7分、拠点病院で98.1分であり、日本臨床腫瘍学会が2022年に公表した際の63分から大きな変化はなかった。
(2) 薬剤到達率向上を目指したオンタイムでの治験情報共有システム構築について、EDCの構築を完成した (20243年3月)。また、事例検討を行い、アカデミア・アセンブリにおける共通認識を確認し共有した。AI等を活用したEPおよびデータ入力の効率化に資するデータベース構築のためのレジストリー研究について、研究計画書や説明同意文書を作成し、倫理審査委員会の承認を得た。
(3) 提言書の作成は最終年度 (3年次) を予定している。
(4) 中核拠点病院が行うCGMC研修のためのカリキュラム、シラバスを作成するためのメンバーを選出し、2023年8月22日にミーティングを行った。2023年10月にカリキュラム、シラバスを完成した。2023年11月2日作成したカリキュラム、シラバスを中核拠点病院に配布した。
結論
既報と比較し適合薬剤到達率は著変なく、EP実施にかかる負担も改善は認められなかった。CGP検査数、治療提案割合には、中核拠点病院と拠点病院で差が認められた。これらの問題解決には、AI等を活用したEP等の抜本的改革が必要と考えられ、薬剤到達率向上を目指したオンタイムでの治験情報共有システム構築、データベース構築のためのレジストリー研究について準備体制を構築した。CGMC研修のための教育資材を作成し人材育成に貢献した。

公開日・更新日

公開日
2024-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-05-28
更新日
2024-07-22

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202307019Z