文献情報
文献番号
202307017A
報告書区分
総括
研究課題名
小児がん拠点病院・連携病院のQI(Quality Indicators)を評価指標としてがん対策推進基本計画の進捗管理を行う小児がん医療体制整備のための研究
課題番号
23EA1008
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
松本 公一(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
研究分担者(所属機関)
- 米田 光宏(国立成育医療研究センター小児がんセンター)
- 井口 晶裕(国立成育医療研究センター小児がんセンター血液内科)
- 瀧本 哲也(国立成育医療研究センター 小児がんセンター小児がんデータ管理課)
- 加藤 実穂(国立成育医療研究センター 小児がんセンター小児がんデータ管理科)
- 平林 真介(北海道大学病院 小児科)
- 笹原 洋二(東北大学・大学院医学系研究科)
- 康 勝好(埼玉県立小児医療センター 血液腫瘍科)
- 湯坐 有希(東京都立小児総合医療センター 血液・腫瘍科)
- 栁町 昌克(神奈川県立こども医療センター 血液・腫瘍科)
- 渡邉 健一郎(静岡県立こども病院 血液腫瘍科)
- 高橋 義行(名古屋大学大学院医学系研究科小児科学)
- 平山 雅浩(国立大学法人三重大学 大学院医学系研究科小児科学分野)
- 滝田 順子(京都大学・ 大学院医学研究科発達小児科学)
- 家原 知子(京都府立医科大学・ 大学院医学研究科 小児科学)
- 藤崎 弘之(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
- 長谷川 大一郎(兵庫県立こども病院・血液・腫瘍内科)
- 川口 浩史(広島大学・大学院医系科学研究科小児科学)
- 川久保 尚徳(国立大学法人九州大学・大学院医学研究院)
- 小川 千登世(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、旧研究班で作成した拠点病院QI、連携病院QI研究を発展させ、経時的な変化とともに、探索的により良い指標を開発し、第4期がん対策推進基本計画における個別目標の進捗管理に応用することを目的とする。さらには、QI結果をフィードバックすることで、それぞれの病院が目的意識を持って、PDCAサイクルを回すことができれば、患者目線に立った地域医療の現状に即した形で、医療面と支援の両面において小児がん医療全体の底上げに繋がることが期待される。最終的には、小児がん拠点病院および連携病院における診療の質を向上させ、日本全体の小児がん患者・家族の利益に反映させることを目的とする。
研究方法
小児がん拠点病院QI、小児がん連携病院QIに関して、指標検討ワーキングにて継続的な指標と新規の指標、達成済みと考えられる指標を決定した。診療情報管理士を中心とした算定ワーキングにより、実際の算定上の問題点を抽出し、指標検討ワーキングにフィードバックした。今年度は、連携病院類型1の層別化について、得られたQI指標を検討した。
結果と考察
1)小児がん拠点病院QI
指標検討ワーキングを開催し、2023年指標を決定した。主な変更点としては、がんゲノムプロファイリング検査実施数、造血細胞移植認定医数、放射線治療実施患者数を指標追加したことである。令和5年11月30日を締切として、データを回収し解析を行なった。2022年のデータ解析から、小児血液・がん専門医数は全てで2名以上の配置が認められ、施設差が大きいものとしては、外来化学療法加算・がんリハビリテーション料算定、長期フォローアップ外来受診者数、緩和ケア加算算定、治験実施数、治験や多施設臨床試験への登録患者数等があった。
2)小児がん連携病院QI
2023年小児がん連携病院QIでは、がんゲノムプロファイリング検査実施数、造血細胞移植認定医数、放射線治療実施患者数を指標追加した。令和5年12月30日を期限として情報を収集中し、現在データクリーニング中である。2022年版連携病院QIについて、実際に指定された1-A,1-B別に解析を行なった。ブロックによって1-A施設、1-B施設の選定基準が異なっていたが、1-B施設でも小児がん専門医、小児がん認定外科医が十分確保されている施設が認められた。しかしながら、1-B施設では、療養支援担当者が配備されていない施設が多く、課題があると考えられた。また、重症度を測る指標として新規入院患者数あたりの死亡患者数割合を検討したが、連携病院1-A, 1-B共に、大きな変わりはなく、どこの病院でも一定数の重症患者を診療していると考えられた。
指標検討ワーキングを開催し、2023年指標を決定した。主な変更点としては、がんゲノムプロファイリング検査実施数、造血細胞移植認定医数、放射線治療実施患者数を指標追加したことである。令和5年11月30日を締切として、データを回収し解析を行なった。2022年のデータ解析から、小児血液・がん専門医数は全てで2名以上の配置が認められ、施設差が大きいものとしては、外来化学療法加算・がんリハビリテーション料算定、長期フォローアップ外来受診者数、緩和ケア加算算定、治験実施数、治験や多施設臨床試験への登録患者数等があった。
2)小児がん連携病院QI
2023年小児がん連携病院QIでは、がんゲノムプロファイリング検査実施数、造血細胞移植認定医数、放射線治療実施患者数を指標追加した。令和5年12月30日を期限として情報を収集中し、現在データクリーニング中である。2022年版連携病院QIについて、実際に指定された1-A,1-B別に解析を行なった。ブロックによって1-A施設、1-B施設の選定基準が異なっていたが、1-B施設でも小児がん専門医、小児がん認定外科医が十分確保されている施設が認められた。しかしながら、1-B施設では、療養支援担当者が配備されていない施設が多く、課題があると考えられた。また、重症度を測る指標として新規入院患者数あたりの死亡患者数割合を検討したが、連携病院1-A, 1-B共に、大きな変わりはなく、どこの病院でも一定数の重症患者を診療していると考えられた。
結論
小児がん拠点病院QI算定は、8年目の解析となり、拠点病院での医療の質はほぼ安定していると考えられたが、専門医や放射線治療、病理医などの配置が後退している施設も認められた。生殖医療コーディネーター・がん生殖医療認定ナビゲーターの配置の遅れが明らかになり、治験実施数や臨床試験への患者登録数、がんゲノムプロファイリング検査数に施設差のあること等が今後の課題と考えられた。
連携病院1でのQI算定は通算4年目であり、連携病院類型1における継続的算定体制は確立されたと考えられた。類型1-B施設でも小児がん専門医、小児がん認定外科医が十分確保されている施設が認められる一方、1-B施設では、療養支援担当者が配備されていない施設が多く、課題があると考えられた。死亡患者数割合は連携病院1-A, 1-B共に、大きな変わりはなく、どこの病院でも一定数の重症患者を診療していると考えられた。今後、類型1の層別化には、新規症例数基準のみならず、地域性を考慮した基準や、努力によって達成可能となる構造指標等を加味した指定要件を考案する必要があると考えられた。また、類型2及び類型3の実態が明らかではないため、医療の質を担保するための実態調査の必要性が考えられた。今後、祖父江班との連携により、ロジックモデルの測定指標の参考となることが期待される。
連携病院1でのQI算定は通算4年目であり、連携病院類型1における継続的算定体制は確立されたと考えられた。類型1-B施設でも小児がん専門医、小児がん認定外科医が十分確保されている施設が認められる一方、1-B施設では、療養支援担当者が配備されていない施設が多く、課題があると考えられた。死亡患者数割合は連携病院1-A, 1-B共に、大きな変わりはなく、どこの病院でも一定数の重症患者を診療していると考えられた。今後、類型1の層別化には、新規症例数基準のみならず、地域性を考慮した基準や、努力によって達成可能となる構造指標等を加味した指定要件を考案する必要があると考えられた。また、類型2及び類型3の実態が明らかではないため、医療の質を担保するための実態調査の必要性が考えられた。今後、祖父江班との連携により、ロジックモデルの測定指標の参考となることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2024-06-04
更新日
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