乳がん検診の受診率に関わる諸因子の解明と、受診率向上に向けた効果的な方策に資する研究

文献情報

文献番号
202307013A
報告書区分
総括
研究課題名
乳がん検診の受診率に関わる諸因子の解明と、受診率向上に向けた効果的な方策に資する研究
課題番号
23EA1004
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 昭彦(東北医科薬科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所検診研究部検診実施管理研究室)
  • 笠原 善郎(福井県済生会病院 乳腺外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳癌検診の受診率向上は、社会的に検診の効果を発揮するためには必須の事項であるが、我が国においては欧米諸国との比較で受診率が低いことが問題とされている。本研究では乳がん検診の受診率に影響を与える因子の解明と、その対策について検討することを目的としている
研究方法
乳癌検診の受診対象となる年齢層の女性に対し、検診の受診動機や受診の障害となる因子を検討する目的でアンケート調査を行った。
(倫理面への配慮も記入)
インターネットによる匿名の調査による集計であり、個人情報については扱っていない。 
結果と考察
インターネットを通じたアンケート調査を楽天インサイト社に委託し、2024年2月に実施した。回答は各都道府県から100名、合計4700名からの回答を得た。
検診の受診契機は40代、50代では住民検診と職域検診とがおよそ30%ずつであるのに対し60代以降では住民検診での受診率が高くなっている。
受診の間隔は40代50代でおよそ3割が毎年受診していると回答しており、職域検診での受診を反映しているものと思われた。     
一方、受診歴無しと回答した割合は40代でおよそ20%、50代以降で13〜16%だった。 検診の受診歴の無いと回答した734名でも40歳以上で乳がん検診が推奨されていることを知っていると回答したのが72.8%あり、検診の事業自体は広く認知されていることが伺われた。検診を受診しない理由として必要と感じたときにいつでも医療機関を受診できることが22%あり50歳以上の世代でこの傾向は顕著であった。40代においては検診を受ける時間がない、休暇が取れないことを理由としているのが特徴的であった。
考察
今回のアンケートから検診の受診契機は年代によって変化することが改めて確認され、受診率向上の方策も年代によって変化させることが必要であろう。検診費用に関しては受診しない理由としては17%ほど、受診した理由としても35%が有用との意見が集まっており、大きなファクターと考えられる。また職域で検診を受けている割合の多い40,50代では時間の無さ、休暇が取れないことが一定の割合を占めており、有給休暇の適切な運用、検診休暇の取得義務化などの行政側からのアプローチも考えられる結果であった。
 今回のアンケート調査はインターネットを経由した調査であり、デジタルデバイスの使用に慣れた女性だけが参加しているといったバイアスは否定できない。一方でアンケートの結果に出ていないアンケートの集積状況の中間報告では年代に大きな偏りなく票数が増えて居ることを報告受けており、スマートフォンなどの機器の普及状況は基幹インフラとして備わっており、この利用を受診率の向上につなげるアイディアも検討したい。
結論
インターネットを経由したアンケート調査の結果を解析し、乳癌検診受診率に影響する因子の調査を行った。各年代、各社会的な立場において有効な受診率向上の方策の検討を継続する

公開日・更新日

公開日
2024-06-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-06-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202307013Z