文献情報
文献番号
202307008A
報告書区分
総括
研究課題名
がん診療連携拠点病院等における情報提供の適切な方法・項目の確立に資する研究
課題番号
22EA1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
若尾 文彦(国立がん研究センター がん対策情報センター本部)
研究分担者(所属機関)
- 丹野 弘晃(十和田市立中央病院 管理部門)
- 酒井 リカ(神奈川県立がんセンター)
- 増田 昌人(琉球大学医学部附属病院第二内科)
- 山下 夏美(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター) 臨床研究センター)
- 池山 晴人(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター がん相談支援センター がん相談支援センター)
- 高山 智子(静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
- 八巻 知香子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 がん情報提供部)
- 石井 太祐(国立がん研究センター がん対策研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現状では、各拠点病院等で対応するがんの種類や治療法、支援内容等について、自院のホームページ等で公開している情報には大きなばらつきがある。さらに、国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」で公開している情報は、申請書・現況報告書を元データとしていることもあり、必ずしも患者や連携医療機関等のニーズを満たすものにはなっていない。自身の生活環境や価値観に沿った病院選択をしたいという患者のニーズに応えるため、1)現状の医療機関、都道府県および国レベルのウェブサイトにおいて、収集・公開されている情報・手法について明らかにすること、2)がん診療を受けるにあたって、がん患者、および相談に応じる医療職が必要とする情報を同定すること、3)上記を踏まえた必要項目の選定と、情報の収集方法を検討し、モデルページを作成することを目的とし、2年次は1)および2)を進めるとともに、3年次に実施する目的3)の予備的調査を行った。
研究方法
Web上に掲出されている都道府県がん診療連携協議会や都道府県がん診療連携拠点病院、都道府県庁のサイトについて、運営元や掲出内容などを横断的に確認および情報提供HP運用管理者へのヒアリング調査を実施した。
患者・家族・市民ががん治療病院選択にあたって求める情報に関する調査研究 では、ウェブ調査会社のパネル登録者856名にウェブアンケートを行った。情報・相談支援ニーズの分析では2021年1月から12月の間にサポートセンタ―に寄せられた電話相談記録3164件を後ろ向きに調査、分析した。医師の紹介先調査は日本医師会会員で各診療所ないしは病院を代表した1名へ任意で無記名のWebアンケートへの協力を仰いだ。“病院選び あんしんガイド”の作成では、1)情報収集・2)執筆・3)査読の3手順で実施し、査読は患者・家族4名、専門家査読として医師2名・がん相談支援業務に従事する社会福祉士2名に査読を依頼した。
患者・家族・市民ががん治療病院選択にあたって求める情報に関する調査研究 では、ウェブ調査会社のパネル登録者856名にウェブアンケートを行った。情報・相談支援ニーズの分析では2021年1月から12月の間にサポートセンタ―に寄せられた電話相談記録3164件を後ろ向きに調査、分析した。医師の紹介先調査は日本医師会会員で各診療所ないしは病院を代表した1名へ任意で無記名のWebアンケートへの協力を仰いだ。“病院選び あんしんガイド”の作成では、1)情報収集・2)執筆・3)査読の3手順で実施し、査読は患者・家族4名、専門家査読として医師2名・がん相談支援業務に従事する社会福祉士2名に査読を依頼した。
結果と考察
各都道府県で発信されている医療機関情報は都道府県の診療連携協議会が運営するサイトが多く、都道府県内病院の院内がん登録データを掲載しているサイトは少数だった。またヒアリングからは、都道府県によって運営主体、情報の内容や見せ方が様々であり、情報提供を行う際の手引きやモックアップサイト作成の必要性が示唆された。
患者視点の調査からは、治療病院の選択にあたって迷った人は2割程度、何らかの情報を参考にした人も半数であり、すべての人が情報を求めているとは限らなかったものの、治療数や治療成績、医師の業績を参考にした人も多かった。
国立がん研究センターがん情報サービスサポートセンターに寄せられた相談内容からは、医療機関の紹介を希望する相談者は様々な情報ニーズや不安を持ち、それらに対処するための情報や支援を求めていることが明らかになった。
診療所のニーズ調査からは、紹介先施設を検索するにあたって簡便に確認可能なシステムと、まず確認する情報としてがん種別診療件数といった簡潔な診療実績情報が好まれる傾向がみられた。また、かかりつけ医は慢性腎臓病や心不全などの基礎疾患を有する患者を診療していることが多いと予想され、基礎疾患を有するがん患者に対する診療体制についての情報提供も必要と考えられた。
医療機関を選択する方法についての情報資料の作成では、がんの疑いがあるまたはがんと診断された方が治療病院を選ぶ際の視点を明らかにし、「病院を選ぶ際のポイント」と「実際の病院の探し方」を紹介するガイドを作成した。
患者視点の調査からは、治療病院の選択にあたって迷った人は2割程度、何らかの情報を参考にした人も半数であり、すべての人が情報を求めているとは限らなかったものの、治療数や治療成績、医師の業績を参考にした人も多かった。
国立がん研究センターがん情報サービスサポートセンターに寄せられた相談内容からは、医療機関の紹介を希望する相談者は様々な情報ニーズや不安を持ち、それらに対処するための情報や支援を求めていることが明らかになった。
診療所のニーズ調査からは、紹介先施設を検索するにあたって簡便に確認可能なシステムと、まず確認する情報としてがん種別診療件数といった簡潔な診療実績情報が好まれる傾向がみられた。また、かかりつけ医は慢性腎臓病や心不全などの基礎疾患を有する患者を診療していることが多いと予想され、基礎疾患を有するがん患者に対する診療体制についての情報提供も必要と考えられた。
医療機関を選択する方法についての情報資料の作成では、がんの疑いがあるまたはがんと診断された方が治療病院を選ぶ際の視点を明らかにし、「病院を選ぶ際のポイント」と「実際の病院の探し方」を紹介するガイドを作成した。
結論
今後は、本年度の調査より得られた都道府県レベルでがん種別に横断的に必要最低限の情報としての「がんの診療状況」を施設横断的に提示するとともに、より具体的な診療実績が確認したい場合には、施設を絞り込んだうえで、院内がん登録データを提示する機能について、提示方法を整理し、検討を進めていくとともに、院内がん登録データを提示するシステムの試験導入を進め、検証をすることを検討している。
公開日・更新日
公開日
2024-05-31
更新日
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