文献情報
文献番号
202307006A
報告書区分
総括
研究課題名
がん関連苦痛症状の体系的治療の開発と実践および専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデル構築に関する研究
課題番号
22EA1004
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
里見 絵理子(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 緩和医療科)
研究分担者(所属機関)
- 田上 恵太(東北大学大学院 医学系研究科 緩和医療学分野)
- 松本 禎久(公益財団法人)
- 森 雅紀(聖隷三方原病院 放射線治療科)
- 今井 堅吾(聖隷三方原病院 ホスピス科)
- 曽根 美雪(国立がん研究センター中央病院 放射線診断科)
- 高橋 健夫(埼玉医科大学 医学部)
- 浜野 淳(国立大学法人 筑波大学 医学医療系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Ⅰ.がん患者の苦痛の体系的治療に関する研究
①がん疼痛について、がん治療期・療養期において体系的治療を活用し苦痛緩和を促進することを目的として体系的治療の実装について検証をおこなう。
②呼吸困難,終末期過活動せん妄について、より有効かつ安全に体系的治療を用いて緩和できることを目的として、これまで集積されたデータを解析し、緩和ケアの専門家の有無にかかわらず利用可能な体系的治療について更新して開発する。
④在宅療養の場面での終末期がん患者の苦痛のうち過活動せん妄の緩和を促進するための体系的治療の開発する。
Ⅱ.専門的がん疼痛治療に関する拠点病院を中心とした地域連携体制モデルの構築に関する研究
がん患者の治療・療養の場面に関わらない難治性がん疼痛の苦痛緩和が促進することを目的とし、放射線治療や神経ブロックなど専門的がん疼痛治療に関する拠点病院を中心とした地域連携体制のモデル構築を行う。
①がん疼痛について、がん治療期・療養期において体系的治療を活用し苦痛緩和を促進することを目的として体系的治療の実装について検証をおこなう。
②呼吸困難,終末期過活動せん妄について、より有効かつ安全に体系的治療を用いて緩和できることを目的として、これまで集積されたデータを解析し、緩和ケアの専門家の有無にかかわらず利用可能な体系的治療について更新して開発する。
④在宅療養の場面での終末期がん患者の苦痛のうち過活動せん妄の緩和を促進するための体系的治療の開発する。
Ⅱ.専門的がん疼痛治療に関する拠点病院を中心とした地域連携体制モデルの構築に関する研究
がん患者の治療・療養の場面に関わらない難治性がん疼痛の苦痛緩和が促進することを目的とし、放射線治療や神経ブロックなど専門的がん疼痛治療に関する拠点病院を中心とした地域連携体制のモデル構築を行う。
研究方法
Ⅰ.がん患者の苦痛の体系的治療
①がん疼痛の体系的治療の検証立案
非緩和ケア専門家への質的研究を実施し、体系的治療を確立する。
②呼吸困難、終末期せん妄の体系的治療の分析
「がん患者の療養生活の最終段階における体系的な苦痛緩和法の構築に関する研究(19EA1011)」班で収集したデータ及び関連研究の分析を行い安全性・有効性等に関する情報を収集し公表する。
③在宅医療におけるがん患者の終末期過活動せん妄の診療に関して関係団体で意見交換を行い体系的治療の開発を行い実施可能性を調査する。
上記を経て、体系的治療の普及啓発を行う。関係団体と連携して医療者向け普及啓発を実施する。ホームページを公開する。緩和ケア研修会等、教育プログラムと連動する。
Ⅱ.専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデルの構築
専門的がん疼痛治療のwebコンサルテーションシステムを構築するとともに、好事例収集を行い、連携の在り方を検討、予備的な有用性に関する研究をする。
①がん疼痛の体系的治療の検証立案
非緩和ケア専門家への質的研究を実施し、体系的治療を確立する。
②呼吸困難、終末期せん妄の体系的治療の分析
「がん患者の療養生活の最終段階における体系的な苦痛緩和法の構築に関する研究(19EA1011)」班で収集したデータ及び関連研究の分析を行い安全性・有効性等に関する情報を収集し公表する。
③在宅医療におけるがん患者の終末期過活動せん妄の診療に関して関係団体で意見交換を行い体系的治療の開発を行い実施可能性を調査する。
上記を経て、体系的治療の普及啓発を行う。関係団体と連携して医療者向け普及啓発を実施する。ホームページを公開する。緩和ケア研修会等、教育プログラムと連動する。
Ⅱ.専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデルの構築
専門的がん疼痛治療のwebコンサルテーションシステムを構築するとともに、好事例収集を行い、連携の在り方を検討、予備的な有用性に関する研究をする。
結果と考察
①がん疼痛の体系的治療
オピオイド注射によるがん疼痛治療の体系的治療(アルゴリズム)の見直しを行い構築した。非緩和ケア専門医によるアルゴリズムに関する患者アウトカム評価を目的とした観察研究の実施はパイロット試験において数名の登録しか得られず実施困難と判断された。がん疼痛治療アルゴリズムのユーザビリティ調査としてがん治療ユニット、プライマリ・ケアユニット、在宅医療、僻地・離島の医療者を対象にインタビュー調査を施行し解析中である。
②呼吸困難の体系的治療
「がん患者の療養生活の最終段階における体系的な苦痛緩和法の構築に関する研究(19EA1011)」班で収集したデータ(5施設108例)の分析を行い安全性・有効性等に関する情報を解析し、オピオイドの種類を問わず体系的治療を用いた呼吸困難の緩和の有効性が示唆される一方で、オピオイド使用中の患者におけるオピオイド増量では30%が効果を示さなかったこと、オピピオイドと少量ミダゾラムを併用することの有効性・安全性が示唆された。
③終末期過活動せん妄の体系的治療
「がん患者の療養生活の最終段階における体系的な苦痛緩和法の構築に関する研究(19EA1011)」班で収集したデータ(2施設200例)及び関連研究の分析を行い、アルゴリズムに沿って治療を行うことで3日後に83%がせん妄改善し、安全に実施することについて示唆された。がん疼痛を有する過活動型せん妄について専門家によりアルゴリズム構築に着手した。
④在宅医療におけるがん患者の終末期過活動せ
ん妄の診療に関して在宅医療専門医を対象に実施した薬物治療の実態調査をもとに、専門家パネルでアルゴリズムの原案を作成し、観察研究の立案を行った。
Ⅱ.専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデルの構築
緩和的放射線治療、画像下治療、神経ブロック等専門的がん疼痛治療の適応や難治性がん疼痛について医師から相談できる地域連携体制の基盤として、web上でコンサルテーション可能なシステムChallenge-CanPainを構築し、運用開始した。好事例収集の作成に着手した。また、遠隔にて医師の専門的がん疼痛に対する画像下治療支援を行うためのシステムを利用して実証研究を実施した。
D.考察
分担研究において、それぞれ計画通り研究が進捗している。苦痛緩和のためのアルゴリズムについて、実施可能性とともに有効性・安全性について示唆されており、論文発表を継続する。研究結果をふまえ、普及実装のための教育資材を開発し広く利用されることを目指したい。普及のためホームページ構築を設置した。また、広くwebコンサルテーションシステムを周知し、都道府県と連携しがん疼痛治療の専門家がいない地域でも、多くのがん疼痛患者の苦痛が緩和することができるようにDtoDのシステムとして運用することを目標とし進めていきたい。
オピオイド注射によるがん疼痛治療の体系的治療(アルゴリズム)の見直しを行い構築した。非緩和ケア専門医によるアルゴリズムに関する患者アウトカム評価を目的とした観察研究の実施はパイロット試験において数名の登録しか得られず実施困難と判断された。がん疼痛治療アルゴリズムのユーザビリティ調査としてがん治療ユニット、プライマリ・ケアユニット、在宅医療、僻地・離島の医療者を対象にインタビュー調査を施行し解析中である。
②呼吸困難の体系的治療
「がん患者の療養生活の最終段階における体系的な苦痛緩和法の構築に関する研究(19EA1011)」班で収集したデータ(5施設108例)の分析を行い安全性・有効性等に関する情報を解析し、オピオイドの種類を問わず体系的治療を用いた呼吸困難の緩和の有効性が示唆される一方で、オピオイド使用中の患者におけるオピオイド増量では30%が効果を示さなかったこと、オピピオイドと少量ミダゾラムを併用することの有効性・安全性が示唆された。
③終末期過活動せん妄の体系的治療
「がん患者の療養生活の最終段階における体系的な苦痛緩和法の構築に関する研究(19EA1011)」班で収集したデータ(2施設200例)及び関連研究の分析を行い、アルゴリズムに沿って治療を行うことで3日後に83%がせん妄改善し、安全に実施することについて示唆された。がん疼痛を有する過活動型せん妄について専門家によりアルゴリズム構築に着手した。
④在宅医療におけるがん患者の終末期過活動せ
ん妄の診療に関して在宅医療専門医を対象に実施した薬物治療の実態調査をもとに、専門家パネルでアルゴリズムの原案を作成し、観察研究の立案を行った。
Ⅱ.専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデルの構築
緩和的放射線治療、画像下治療、神経ブロック等専門的がん疼痛治療の適応や難治性がん疼痛について医師から相談できる地域連携体制の基盤として、web上でコンサルテーション可能なシステムChallenge-CanPainを構築し、運用開始した。好事例収集の作成に着手した。また、遠隔にて医師の専門的がん疼痛に対する画像下治療支援を行うためのシステムを利用して実証研究を実施した。
D.考察
分担研究において、それぞれ計画通り研究が進捗している。苦痛緩和のためのアルゴリズムについて、実施可能性とともに有効性・安全性について示唆されており、論文発表を継続する。研究結果をふまえ、普及実装のための教育資材を開発し広く利用されることを目指したい。普及のためホームページ構築を設置した。また、広くwebコンサルテーションシステムを周知し、都道府県と連携しがん疼痛治療の専門家がいない地域でも、多くのがん疼痛患者の苦痛が緩和することができるようにDtoDのシステムとして運用することを目標とし進めていきたい。
結論
計画通り研究を開始することができた。
公開日・更新日
公開日
2024-06-21
更新日
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