文献情報
文献番号
202307005A
報告書区分
総括
研究課題名
職域におけるレセプトを用いたがん検診精度管理指標の計測システムの開発と実装に関する研究
課題番号
22EA1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
祖父江 友孝(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 社会医学講座環境医学)
研究分担者(所属機関)
- 小川 俊夫(学校法人常翔学園 摂南大学 農学部食品栄養学科公衆衛生学教室)
- 立道 昌幸(東海大学 医学部)
- 伊藤 正人(松下電器産業㈱PAVC社南門真健康管理室)
- 高橋 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所検診研究部検診実施管理研究室)
- 村木 功(大阪大学大学院 医学系研究科)
- 小松 雅代(大阪大学 大学院医学系研究科 社会医学講座環境医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
レセプト情報を活用した精検受診状況の判定ロジックの妥当性を検討し、その結果把握された精検未受診者に対して受診勧奨することで、精検受診率の改善状況を検討することを目的とした。また、保険者の保有するレセプト情報を活用することで可能となったがん検診の精度管理指標(感度、特異度、がん有病割合)の計測をさらに多くの保険者でも適用することも進めた。
研究方法
(1)精検受診判定ロジック開発・修正、および、(2)精検受診判定ロジックの妥当性研究については、茨城県Y市および石川県X市において、自治体把握情報のがん検診精密検査受診状況とレセプトにより判定されたがん検診精密検受診状況の一致度を計算した。(3)精検未受診者受診勧奨については、協会けんぽ大阪支部における2021・2022年度のデータ、および、健保組合8組合のデータを分析した。(4)保険者における感度・特異度・がん有病割合・精検受診率の測定拡大と実装化の検討については、保険者がん検診精度管理システムを健保組合に導入する過程においてのヒアリング調査を実施した。
結果と考察
(1)および(2)については、茨城県Y市における一致度は90.2%から97.5%と概ね良好であった。石川県X市では一致率がY市に比べて低かったが、国保加入状況が変化したためと考えられた。(3)については、レセプトで把握した精検未受診者にターゲットを絞った精検受診勧奨は実施可能であったが、これによる精検受診率上昇効果は10%未満に限られた。(4)については、感度・特異度が高い検診施設で医療費が低い傾向が認められた。(5)その他、子宮頸がん判定ロジックの再検討、および、国民生活調査を用いた保険種別がん検診受診率集計を行った。
結論
レセプトとがん検診判定結果と組み合わせた精検受診状況判定ロジックの開発・修正を実施し、地域保健事業報告上の市町村が把握した精検受診状況と比較したところ、市町村が把握した精検受診状況と同等かそれを上回る正確さがあると判断された。一方、「がんあり」症例については、レセプト判断による精検受診状況が過大となるため、レセプトによるがん発見率は過大推定になる点には注意を要する。
公開日・更新日
公開日
2024-07-10
更新日
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