文献情報
文献番号
202307003A
報告書区分
総括
研究課題名
がん研究に患者・市民参画を実現するための患者・市民に対する教育カリキュラム・プログラムの開発に関する研究
課題番号
22EA1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
有賀 悦子(帝京大学医学部 緩和医療学講座)
研究分担者(所属機関)
- 江口 英利(大阪大学大学院医学系研究科)
- 勝俣 範之(日本医科大学 医学部)
- 三森 功士(九州大学病院別府病院)
- 大滝 純司(東京医科大学 医学教育学分野)
- 渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)
- 片山 佳代子(国立大学法人 群馬大学 情報学部)
- 片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所データサイエンス研究部)
- 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,930,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がん研究に患者・市民が参画することを実現するためには効果的な研修が求められている。
本研究では、多方面で開催されている研修会が体系的にリンケージできること、受講者の多様性に対応できることに対し、目標やコンピテンシー(資質・能力)を踏まえた系統的カリキュラムおよびそれに基づいた教育方法の開発を目的とする。
本研究では、多方面で開催されている研修会が体系的にリンケージできること、受講者の多様性に対応できることに対し、目標やコンピテンシー(資質・能力)を踏まえた系統的カリキュラムおよびそれに基づいた教育方法の開発を目的とする。
研究方法
1.カリキュラム開発
1年目の評価を反映させた第2版を確定させた。
2.基礎研修・自己学習資材開発
1.に基づいた用語集とWebラーニング(以下、動画)をホームページに掲載した。
3.専門研修(対面研修)の開催準備
より効果的な開催のためにカリキュラムを用いた対面研修会を試行、アンケートを行った。
4.カリキュラムを用いた研修会の紹介
カリキュラムを活用した対面研修会の開催手順の動画作成およびパンフレット作成を行い、利活用可能な団体へ郵送した。
5.評価について
日本癌治療学会会員に対する第2回意識調査を実施した。また、評価ワーキングでは、動画と対面研修に対する評価アンケートの実施準備を行った。
(倫理面への配慮)
1~4については倫理面の配慮が必要な内容を含んでいない。5.意識調査は、神奈川県立がんセンター研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。その他、個人情報の管理は厳重に行った。
1年目の評価を反映させた第2版を確定させた。
2.基礎研修・自己学習資材開発
1.に基づいた用語集とWebラーニング(以下、動画)をホームページに掲載した。
3.専門研修(対面研修)の開催準備
より効果的な開催のためにカリキュラムを用いた対面研修会を試行、アンケートを行った。
4.カリキュラムを用いた研修会の紹介
カリキュラムを活用した対面研修会の開催手順の動画作成およびパンフレット作成を行い、利活用可能な団体へ郵送した。
5.評価について
日本癌治療学会会員に対する第2回意識調査を実施した。また、評価ワーキングでは、動画と対面研修に対する評価アンケートの実施準備を行った。
(倫理面への配慮)
1~4については倫理面の配慮が必要な内容を含んでいない。5.意識調査は、神奈川県立がんセンター研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。その他、個人情報の管理は厳重に行った。
結果と考察
1.カリキュラム開発
カリキュラム第1版に対する評価(1年目実施)を受けて、改定後第2版を確定した。
改定は、カリキュラムに用いる動詞ではなく、より平易な動詞(知識を深めていくことができる。質問できる。理解する。体験しよう。知ろう。学ぶ。)に修正した。
また、カリキュラムに対応したモジュールを付記した。例えば、「研究」は、「がん研究ってどんなこと?」。「がん医療の倫理、関連法規・制度」は、「がん医療・研究に関わる人が守らなければいけないこと、知っておきたいこと」に対応させた。6つの目標と13のコンピテンシーに変更はなかった。
2.基礎研修・自己学習資材開発
1)用語集:ホームページに450語を掲載し、サイト上の検索動作の確認を行った。
2)動画:基礎研修ワーキンググループ(以下、WG)で、カリキュラム第2版に対応する動画内容を絞り込み、座談会は3本、出席者のべ17人、講義は20本、講師17人に対し依頼を行った。座談会は12月に収録し、評価アンケート後に必要に応じて修正を行うこととした。講義は1本15分~30分程度とし、分担研究者による査読および監修を受けた後、研究協力者(22歳、医療系学生)による平易さに関する査読と字幕の必要性のチェックを実施した。
3.専門研修(対面研修)のトライアル
第28回日本緩和医療学会学術大会PALプログラム(2023年6月30日(金)、神戸)「患者・市民参画の模擬的な体験にチャレンジ:論文を根拠に社会活動に参画してみよう」でカリキュラム・コードを付与し実施した。
アンケートから1コードに少なくともスライド1枚以上の説明が必要で、1プログラムに複数のコードが付与されていても混乱はないことが確認できた。
2)対面研修会開催準備
研究班主催研修会として2024年7月20日東京開催の準備を進めている。
4.カリキュラムを用いた研修会の紹介
1)動画の掲載
カリキュラム活用した対面研修会の開催や登録方法の手順を示した動画(5.12分)の作成を行い、ホームページに掲載した。
2)パンフレットおよび利活用可能な団体への郵送
第4期がん対策推進基本計画へ盛り込まれた患者・市民参画の説明、カリキュラムを活用した研修会開催のパンフレットを作成し、利活用可能な548団体に郵送した。
5.評価について
1)日本癌治療学会
会員に対する第2回がん研究者、医療者の患者・市民参画に関する意識調査を行った。
2)基礎研修(動画)、専門研修(対面研修)の評価に関する準備を実施した。
考察
カリキュラムは個々が実施している研修会を体系化するには有用な手法であるが、社会で活用してもらうには、平易、簡単であることが求められ、それにはカリキュラムの原則をどこまで改変(崩)してよいか、検討を要した。この作業は、想定以上に難渋したが、一定の見解を得て、第2版の確定に至った。
さらに、一般市民にとってがん研究は難解である。患者・市民参画を普及させるには、市民のための医療‐つまり、がん研究を市民レベルに変換させなければいけなかった。
この開発研究は、「教育カリキュラムの一般化」と「がん研究の一般化」の両面へのチャレンジが続いている。
3年目は、動画や対面研修会のアンケートによって、この開発研究のフードバックを患者・市民から受け、評価、考察を行う。
カリキュラム第1版に対する評価(1年目実施)を受けて、改定後第2版を確定した。
改定は、カリキュラムに用いる動詞ではなく、より平易な動詞(知識を深めていくことができる。質問できる。理解する。体験しよう。知ろう。学ぶ。)に修正した。
また、カリキュラムに対応したモジュールを付記した。例えば、「研究」は、「がん研究ってどんなこと?」。「がん医療の倫理、関連法規・制度」は、「がん医療・研究に関わる人が守らなければいけないこと、知っておきたいこと」に対応させた。6つの目標と13のコンピテンシーに変更はなかった。
2.基礎研修・自己学習資材開発
1)用語集:ホームページに450語を掲載し、サイト上の検索動作の確認を行った。
2)動画:基礎研修ワーキンググループ(以下、WG)で、カリキュラム第2版に対応する動画内容を絞り込み、座談会は3本、出席者のべ17人、講義は20本、講師17人に対し依頼を行った。座談会は12月に収録し、評価アンケート後に必要に応じて修正を行うこととした。講義は1本15分~30分程度とし、分担研究者による査読および監修を受けた後、研究協力者(22歳、医療系学生)による平易さに関する査読と字幕の必要性のチェックを実施した。
3.専門研修(対面研修)のトライアル
第28回日本緩和医療学会学術大会PALプログラム(2023年6月30日(金)、神戸)「患者・市民参画の模擬的な体験にチャレンジ:論文を根拠に社会活動に参画してみよう」でカリキュラム・コードを付与し実施した。
アンケートから1コードに少なくともスライド1枚以上の説明が必要で、1プログラムに複数のコードが付与されていても混乱はないことが確認できた。
2)対面研修会開催準備
研究班主催研修会として2024年7月20日東京開催の準備を進めている。
4.カリキュラムを用いた研修会の紹介
1)動画の掲載
カリキュラム活用した対面研修会の開催や登録方法の手順を示した動画(5.12分)の作成を行い、ホームページに掲載した。
2)パンフレットおよび利活用可能な団体への郵送
第4期がん対策推進基本計画へ盛り込まれた患者・市民参画の説明、カリキュラムを活用した研修会開催のパンフレットを作成し、利活用可能な548団体に郵送した。
5.評価について
1)日本癌治療学会
会員に対する第2回がん研究者、医療者の患者・市民参画に関する意識調査を行った。
2)基礎研修(動画)、専門研修(対面研修)の評価に関する準備を実施した。
考察
カリキュラムは個々が実施している研修会を体系化するには有用な手法であるが、社会で活用してもらうには、平易、簡単であることが求められ、それにはカリキュラムの原則をどこまで改変(崩)してよいか、検討を要した。この作業は、想定以上に難渋したが、一定の見解を得て、第2版の確定に至った。
さらに、一般市民にとってがん研究は難解である。患者・市民参画を普及させるには、市民のための医療‐つまり、がん研究を市民レベルに変換させなければいけなかった。
この開発研究は、「教育カリキュラムの一般化」と「がん研究の一般化」の両面へのチャレンジが続いている。
3年目は、動画や対面研修会のアンケートによって、この開発研究のフードバックを患者・市民から受け、評価、考察を行う。
結論
カリキュラム第2版に基づく、基礎研修(用語集、動画)のホームページ上の設置を進めた。専門研修(対面研修)の実施に向けた試行や開催方法についての動画作成を行った。
公開日・更新日
公開日
2024-06-03
更新日
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