文献情報
文献番号
202307002A
報告書区分
総括
研究課題名
全ゲノム解析を基盤としたがんゲノム医療の実装に向けた患者還元、解析・データセンター、ELSI体制構築についての研究
課題番号
21EA1011
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
中釜 斉(国立研究開発法人 国立がん研究センター )
研究分担者(所属機関)
- 河野 隆志(国立研究開発法人国立がん研究センター 研究所 ゲノム生物学研究分野)
- 井元 清哉(東京大学 医科学研究所)
- 横野 恵(早稲田大学 社会科学部)
- 織田 克利(東京大学大学院医学系研究科統合ゲノム学分野)
- 白石 友一(国立がん研究センター 研究所 ゲノム解析基盤開発分野)
- 田代 志門(東北大学 大学院文学研究科)
- 青木 一教(独立行政法人国立がん研究センター 研究所分子細胞治療研究分野)
- 徳永 勝士(国立国際医療研究センター ゲノム医科学プロジェクト(戸山))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
11,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班は、がん全ゲノム解析等の推進に向けた患者還元、解析・データセンター、ELSI(倫理的・法的・社会的課題)等についての専門的、技術的な検討を行い、また、実際の全ゲノム先行解析の実施状況を踏まえつつ必要な課題について検討し、報告資料として取りまとめることを目的とする。本報告資料を取りまとめ、厚生労働省厚生科学審議会の科学技術部会のもとに設置された「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」における検討のために提出する。
研究方法
①患者還元、②解析・データセンター、③ELSI④事業実施組織の4つの専門的検討グループを構成し、AMED研究で実施される全ゲノム先行研究課題での課題等を踏まえつつ、様々な分野の専門家、関係学会、患者団体、データ利活用団体と意見交換を行い、報告資料を取りまとめる。
結果と考察
【研究結果】患者還元、解析・データセンター、ELSI、事業実施組織のそれぞれについて、検討・解決すべき課題を挙げ、関係者へのヒアリングや意見交換を行うとともに、研究班内で議論を行い、報告資料を取りまとめた。報告資料については、第15回(令和5年5月25日)、第16回(令和5年7月26日)、第17回(令和5年10月3日)、第18回(令和5年11月13日)、第19回(令和5年12月4日)、第20回(令和6年3月18日)の全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会での資料として提出され、議論の題材として用いられた。また、適宜、委員会の議論の結果にもとづき、修正などの対応も行った。本年度は、令和4年度末に設立された事業実施組織準備室の体制の下、臨床・患者還元支援チーム、利活用支援チーム、解析・データセンター運営チーム、ELSIチーム、総務チームを組織し、全ゲノム解析に基づくがんゲノム医療の実装のためのグランドデザインや事業実施組織設立のための計画立案を進めた。
具体的な検討事項としては、患者還元に関しては、全ゲノム解析等を実施する機関の追加、実臨床における患者還元の在り方や出口戦略について、造血器腫瘍における前向き解析研究の方針、産業や研究利用を促進するためデータ共有コンソーシアムの在り方などであった。解析・データセンターに関しては、解析パイプラインやデータセンターの運用プロセス、ゲノムおよび臨床データベース構築、レポート作成システム、データ利活用のシステム開発や環境構築、セキュリティ体制、バイオインフォマティシャン等の人材確保・育成についてなどであった。また、ELSIに関連しては、ICFの課題・懸念の洗い出しと対応、患者・市民参画(PPI)の企画・実施、広報などであった。また、事業実施組織に関しては、がん全ゲノム解析や利活用を実施するための企画・運用・ガバナンス体制の立案や規程の策定、人材要件/人材確保計画の策定等について検討を行った。
【考察】令和4年度に発足した事業実施組織準備室の運用が本格化し、令和7年度より事業実施組織として、全ゲノム情報・臨床情報等の解析、患者還元、利活用が稼働する予定である。発足においては、本研究で策定された企画・運用・ガバナンス体制案や規程が活かされると期待する。また、全ゲノム解析等を実施する機関が追加されるとともに、実造血器腫瘍における前向き解析の方針が決まり、令和6年度以降の全ゲノム研究の拡大に活かされていくと期待する。
具体的な検討事項としては、患者還元に関しては、全ゲノム解析等を実施する機関の追加、実臨床における患者還元の在り方や出口戦略について、造血器腫瘍における前向き解析研究の方針、産業や研究利用を促進するためデータ共有コンソーシアムの在り方などであった。解析・データセンターに関しては、解析パイプラインやデータセンターの運用プロセス、ゲノムおよび臨床データベース構築、レポート作成システム、データ利活用のシステム開発や環境構築、セキュリティ体制、バイオインフォマティシャン等の人材確保・育成についてなどであった。また、ELSIに関連しては、ICFの課題・懸念の洗い出しと対応、患者・市民参画(PPI)の企画・実施、広報などであった。また、事業実施組織に関しては、がん全ゲノム解析や利活用を実施するための企画・運用・ガバナンス体制の立案や規程の策定、人材要件/人材確保計画の策定等について検討を行った。
【考察】令和4年度に発足した事業実施組織準備室の運用が本格化し、令和7年度より事業実施組織として、全ゲノム情報・臨床情報等の解析、患者還元、利活用が稼働する予定である。発足においては、本研究で策定された企画・運用・ガバナンス体制案や規程が活かされると期待する。また、全ゲノム解析等を実施する機関が追加されるとともに、実造血器腫瘍における前向き解析の方針が決まり、令和6年度以降の全ゲノム研究の拡大に活かされていくと期待する。
結論
患者還元、解析・データセンター、ELSI、事業実施組織についての専門的、技術的な検討を行い、取りまとめた資料は、厚生労働省厚生科学審議会の科学技術部会のもとに設置された「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」において検討された。その議論を受け、事業実施組織準備室が運用され、令和7年度より開始される事業実施組織による医療実装への道筋ができた。
公開日・更新日
公開日
2024-05-24
更新日
-