医療事故調査制度における医療事故調査等支援団体による支援の機能的運用および質向上に向けた研究

文献情報

文献番号
202306037A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故調査制度における医療事故調査等支援団体による支援の機能的運用および質向上に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23CA2037
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
細川 秀一(公益社団法人日本医師会 )
研究分担者(所属機関)
  • 藤原 慶正(公益社団法人日本医師会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,734,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2015年に開始された医療事故調査制度は、医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を目的とし、医療提供者側の自律的な取り組みを中心に設計された制度である。医療機関の管理者は、死亡または死産が発生した場合、医療事故に該当するか否かを判断するが、その際、医療事故調査等支援団体(以下、支援団体)に対して、助言を求めることができる。また、医療事故に該当すると判断した場合には原因を分析するための院内調査を開始し、そこでは、院内調査や報告書作成の支援、外部委員派遣、病理解剖・死亡時画像診断等の支援を求めることができる。医療機関が支援団体の支援を受けて医療事故調査を確実に実施できるためには、①当該医療機関が事例毎に適切な支援団体にアクセスでき、②支援団体から提供される支援の質が担保されていることが重要と考えられる。①には支援のための十分なリソースが求められるが、平成30年度・令和元年度厚生労働科学研究では、外部委員の確保が困難な地域があることが指摘されているものの、その後の対応状況は検証されていない。また、各支援団体が提供し得る支援内容の把握と医療機関への情報提供も重要であるところ、地方協議会が地域の支援団体の窓口となり、支援可能な支援団体を紹介する取り組みの実態は明らかではない。また➁については、各支援団体の担当者が支援を提供する際に必要となる知識・技能等を有することが重要であるが、支援団体間の意見交換の場となる協議会や研修会の開催状況は地域によって違いがあることが指摘されている。本研究では、こうした現状を踏まえて以下(1)~(3)を行うことで支援団体による支援提供体制及び支援の質向上を図り、もって医療機関での医療事故に該当するかの判断や院内調査の円滑化及び精度の向上が図られること等をめざした。(1)支援リソースの充足・不足の状況に関する現状把握と対策の検討(2)個別の事例に応じて適切な支援を行うことができる支援団体を医療機関に紹介する体制に関する現状把握と望ましい体制の検討(3)支援団体等連絡協議会での意見交換・研修の現状把握と望ましい活動の検討(支援団体提供の支援内容を把握しフィードバックする活動の現状把握を含む)
研究方法
支援団体および地方協議会の実態を把握するためのWEBアンケート調査を実施した。支援団体については、厚生労働省の告示で示されている支援団体(令和7年2月現在)を対象とし、880団体にメールで回答依頼を行った(調査実施期間:令和7年2月21~3月17日)。地方協議会は、事務局機能を担う47都道府県医師会宛に文書にて回答依頼を行った(調査実施期間は同上)。さらに、アンケートでヒアリングへの協力可能と回答があった団体のうち計8団体に対してWEBでヒアリングを実施し、支援活動等の現状と課題、問題点等を聴きとり、これらで得られた調査結果をもとに研究班で意見交換を実施した。
結果と考察
支援団体へのアンケート調査では346団体より回答が得られ回収率は39.3%であった。支援団体の基本情報・概要、支援内容、支援体制の課題、支援団体の実施する研修、その他(自由記載)について設問し、直近においては実際の支援実績が少ない団体の割合が多く、課題として、支援に係る人員等のリソースが十分でない等の課題が明らかとなった。地方協議会へのアンケートでは47協議会より回答が得られ回収率は100%であった。設問内容は、協議会の概要、協議会・研修会の開催状況、地域の支援団体の窓口としての活動状況、支援団体紹介後のフォローアップについての4構成とした。その結果、協議会・研修会の開催状況に地域差があること、医療機関から支援団体への支援依頼のルートは地方協議会を経由する以外にも多様であること、支援団体を紹介した後のフォローアップも一部でのみの実施であること等が把握された。
結論
医療事故調査制度開始当初に厚生労働省によって指定された支援団体のうち、現在の活動状況の回答が得られた団体は半数以下であった。また、支援団体が提供した支援のうち、地方協議会を通じて支援依頼がなされたのは3割程度で、その他、支援団体に直接依頼が寄せられるなど多様な実態も確認された。医療機関等が確実に支援を受けられるよう、支援団体を改めて確認し連絡先等を確実に把握することが必要と考えられた。また支援団体では業務が特定の担当者に集中し、人材の充足が共通の課題として見られた。一方で支援団体の中には、中央の本部組織で一括して支援業務を行うなど、支援団体によって多様な取組みがなされている実態も確認された。このような支援団体の特性に応じた多様な取組みを支援団体間で共有し、各々の団体の自律的な活動の活性化に繋げていくためには、とりわけ中央医療事故調査等支援団体等連絡協議会による支援団体相互の意見交換と情報共有も有用と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2025-08-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-08-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202306037C

成果

専門的・学術的観点からの成果
アンケート調査から、支援リソース、支援団体の情報管理状況及び支援団体紹介体制等について現状把握が可能となり、またこれらについて工夫がみられた団体へのヒアリングにより好事例について情報収集、討議した上で報告書にて改善策が提案できた。支援団体を網羅的に調査した先行研究としては、平成30・令和元年度に実施された先行研究以外には見当たらず、支援団体の経年的な変化を見るうえで、本研究の学術的及び社会的な意義は高く、同制度のしくみ自体がわが国固有の制度であることも、本研究は国際的に独自性が強い内容といえる。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
医療事故調査制度開始より約10年の制度運用状況の把握や、これまでに集積された各地域における好事例等をもとに、国レベルでの検討の場などに具体的な提言が可能となることは行政的に意義がある。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-08-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
202306037Z