文献情報
文献番号
202306036A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究法の適用範囲とすべき「傷害・負担が大きい検査等」の基準策定に向けた調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23CA2036
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 典宏(国立大学法人 北海道大学 北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構)
研究分担者(所属機関)
- 田代 志門(東北大学 大学院文学研究科)
- 山本 晴子(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター)
- 中村 健一(国立がん研究センター中央病院 国際開発部門)
- 七戸 秀夫(北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構 臨床研究監理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,897,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、令和4年6月3日「臨床研究法施行5年後の見直しに係る検討のとりまとめ」(以下、「とりまとめ」)や令和3年度厚生労働科学特別研究事業(堀田班)「欧米での観察研究(非介入研究)の規制上の取り扱いに関する調査結果」の成果をベースとし、研究対象者の病状に応じ適切な医療として医薬品等を使用する研究で、通常の医療と大きく異なる傷害・負担が大きい検査等を研究目的で診療に追加して行う研究を対象に、「傷害・負担が大きい検査等」の事例の収集や基準に係る考え方の検討を進めるとともに、これらの検討を通じて臨床研究法改正時の法の適用範囲についても検討を加えることを目的とする。
研究方法
A)「傷害・負担が大きい検査等」に関連する実態調査
1)現在実施中の研究から「傷害・負担が大きい検査等」の事例を収集
2)関係者との意見交換
3)関連する海外の法規制等の調査
B) 「傷害・負担が大きい検査等」の基準に係る考え方の検討
1)現在実施中の研究から「傷害・負担が大きい検査等」の事例を収集
2)関係者との意見交換
3)関連する海外の法規制等の調査
B) 「傷害・負担が大きい検査等」の基準に係る考え方の検討
結果と考察
いわゆる観察研究で「傷害・負担が大きい検査等」の事例を複数の医療機関から、さらに令和5年10月20日開催の厚生労働省治験・倫理審査委員会委員研修の参加者から収集した。具体的な事例として、放射性医薬品を用いるPET/SPECT検査、造影剤を用いる造影CT/MRI検査、筋生検、神経生検、脳生検などの検査が挙げられた。これらは指針での侵襲(軽微な侵襲を除く)に該当する検査であるが、臨床研究法改正において重要な観点である「研究対象者への通常の医療と大きく異なる」かどうかあまり考慮されておらず、今後の課題として患者が日常的に受ける検査等を基準とし相対的に「傷害・負担が大きい検査等」である検査等について検討する必要があることで一致した。
また、全国の認定臨床研究審査委員会と倫理審査委員会(指針対象)の事務局スタッフと、北海道大学病院の医師・歯科医師ら研究者に協力を依頼し、「傷害・負担が大きい検査等」に関するアンケートを行った。令和3年度厚生労働科学特別研究事業(吉田班)における「対象者負担の大きい観察研究の審査の実態調査」で報告された侵襲性がある検査項目について、「通常の医療と大きく異なる傷害・負担が大きい検査等」に該当するかを尋ねた。研究者は、研究での侵襲性に関し患者として日常的に受ける検査を基準として、相対的な侵襲性の程度を判断する傾向が示唆されたが、非医療職が多いと考えられる委員会事務局スタッフは、侵襲性の扱いに日常診療と大きく異なるという点を広く捉え、指針下で侵襲ありと考えられる検査が「傷害・負担が大きい検査等」に含まれる傾向が明らかとなり、事例の提示には慎重を要すると考えられた。
観察研究の定義と取扱いに関する国際整合性について、関連する海外の法規制等を、欧州のアカデミアと規制当局所属の有識者にメールインタビューを実施し、EU-CTRのArticle 2-2(臨床試験の定義)における2 (c)(モニタリングや検査の上乗せ)に相当する研究を検討した。2 (c)研究の多くはlow intervention clinical trialに分類され、研究の内容に応じた手続き等の負担軽減を図っている。また、法の対象外となった場合も被験者保護や研究の信頼性を担保する仕組みとなっていた。日本の臨床研究法でも 2 (c)相当の研究の一部(傷害・負担が大きい検査等)が法の対象に含まれることを明確化しようとしているが、臨床研究法ではそのような措置はなされていないため、我が国の実情にあった方策を今後検討すべきである。
また、全国の認定臨床研究審査委員会と倫理審査委員会(指針対象)の事務局スタッフと、北海道大学病院の医師・歯科医師ら研究者に協力を依頼し、「傷害・負担が大きい検査等」に関するアンケートを行った。令和3年度厚生労働科学特別研究事業(吉田班)における「対象者負担の大きい観察研究の審査の実態調査」で報告された侵襲性がある検査項目について、「通常の医療と大きく異なる傷害・負担が大きい検査等」に該当するかを尋ねた。研究者は、研究での侵襲性に関し患者として日常的に受ける検査を基準として、相対的な侵襲性の程度を判断する傾向が示唆されたが、非医療職が多いと考えられる委員会事務局スタッフは、侵襲性の扱いに日常診療と大きく異なるという点を広く捉え、指針下で侵襲ありと考えられる検査が「傷害・負担が大きい検査等」に含まれる傾向が明らかとなり、事例の提示には慎重を要すると考えられた。
観察研究の定義と取扱いに関する国際整合性について、関連する海外の法規制等を、欧州のアカデミアと規制当局所属の有識者にメールインタビューを実施し、EU-CTRのArticle 2-2(臨床試験の定義)における2 (c)(モニタリングや検査の上乗せ)に相当する研究を検討した。2 (c)研究の多くはlow intervention clinical trialに分類され、研究の内容に応じた手続き等の負担軽減を図っている。また、法の対象外となった場合も被験者保護や研究の信頼性を担保する仕組みとなっていた。日本の臨床研究法でも 2 (c)相当の研究の一部(傷害・負担が大きい検査等)が法の対象に含まれることを明確化しようとしているが、臨床研究法ではそのような措置はなされていないため、我が国の実情にあった方策を今後検討すべきである。
結論
本研究では、「とりまとめ」や堀田班の成果を基に、いわゆる観察研究で通常の医療と大きく異なる傷害・負担が大きい検査等を研究目的で診療に追加して行う研究を対象に、「傷害・負担が大きい検査等」の事例の収集や基準に係る考え方を検討するとともに、これらの検討を通じて臨床研究法改正時の法の適用範囲についても検討を加えた。
「傷害・負担が大きい検査等」については、法改正後も事例を重ねていくことになるが、目下の臨床研究法の改正後の運用においては、昨今、これの検査等に該当する可能性のある検査等の内容については大きな変化がないものの、研究者及び審査委員会ともその判断の際には「研究対象者への通常の医療と大きく異なる」かどうかという視点を考慮すべきである。規制の点では、被験者を保護することは当然のことながら、法の対象とする範囲とともにその研究の内容に応じた手続等について我が国の実情にあった方策を、国際整合性の点からも今後も継続して検討する余地がある。
「傷害・負担が大きい検査等」については、法改正後も事例を重ねていくことになるが、目下の臨床研究法の改正後の運用においては、昨今、これの検査等に該当する可能性のある検査等の内容については大きな変化がないものの、研究者及び審査委員会ともその判断の際には「研究対象者への通常の医療と大きく異なる」かどうかという視点を考慮すべきである。規制の点では、被験者を保護することは当然のことながら、法の対象とする範囲とともにその研究の内容に応じた手続等について我が国の実情にあった方策を、国際整合性の点からも今後も継続して検討する余地がある。
公開日・更新日
公開日
2024-07-30
更新日
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