労働安全衛生法における一般定期健康診断の検査項目等に関する社会状況等の変化にあった科学的根拠に基づく検討のための研究

文献情報

文献番号
202306033A
報告書区分
総括
研究課題名
労働安全衛生法における一般定期健康診断の検査項目等に関する社会状況等の変化にあった科学的根拠に基づく検討のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23CA2033
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
森 晃爾(産業医科大学 産業生態科学研究所産業保健経営学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 立道 昌幸(東海大学 医学部)
  • 立石 清一郎(産業医科大学 産業生態科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
6,131,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一般定期健康診断項目について、これまでの研究成果を基盤としつつ最新の知見を分析し、一般定期健康診断項目の有用性についての検討を行い、一般定期健康診断の適切な運用と管理についてエビデンスをまとめ、一般定期健康診断のあり方について提言することを目的として、本研究を実施した。
研究方法
本研究では、1.留意すべき作業関連疾患の範囲や労働者の健康に起因した安全上の課題に関する検討、2.現在の一般定期健康診断項目の妥当性に関する検討
3.近年の社会状況の変化や医療技術の進化を踏まえた健診項目の検討、4.作業関連疾患を予防するための健康管理に関する海外情報の収集、5.一般定期健康診断項目のあり方に関する提言の作成に分けて実施した。このうち、2については、(1) 一般健康診断の性・年齢階層別の有所見率(項目ごと)(2)心電図検査、(2)胸部エックス線検査とし、3については(3)視機能検査、(4)骨密度検査、(5)女性労働者の健康支援のための項目および(6) 肝機能異常の事後措置としての血小板数の活用の項目とした。さらに、2(2)心電図検査については、1)安静時心電図所見の予後予測能に関する文献調査と2)一般健康診断における安静時心電図の要医療措置判定の所見に関する調査で構成される。
結果と考察
本研究班では、①一般健康診断で留意すべき作業関連疾患の範囲や労働者の健康に起因した安全上の課題等に関する検討、②現在の一般定期健康診断項目の妥当性に関する検討、③近年の社会状況の変化や医療技術の進化を踏まえた健診項目の検討、④作業関連疾患を予防するための健康管理に関する海外情報(主としてヨーロッパ)の収集を行った。今後の一般健康診断項目の見直しに活かされることが期待される。
一般健康診断の項目は、多くの労働者が従事している作業や作業環境と関連する影響があることを前提に、一般に広く存在する疾患であり、特定の検査によって健康問題発生のリスクが評価できる場合に限定して実施すべきである。しかし、項目によっては、性別や年齢によって、大きく有所見率が異なる。現在、35歳未満および36歳~39歳の労働者には、性別に問わず医師の必要がないと判断した場合には血液検査等を省略できる規定があるが、その際、このような性別や年齢によってきめ細かく検討されるべきと考えられる。
肝機能異常の事後措置として血小板検査の有用性を検討したように、追加の費用をなしに、または安価で事後措置の精度を上げられる検査が存在する。また、事業場によっては、特定の作業に従事する労働者が高い場合がありうる。そのような場合に、一般健康診断に項目を追加して評価を行うことが効果的かつ効率的な場合がありうる。産業医の意見と労使の合意を前提に、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の中で、法定項目に健診項目を追加して実施できるような法的な枠組みを検討すべきである。
しかし、仮に健診項目の妥当が担保されたとしても、検査は精度管理がなされた適切な方法で実施されなければならない。既存の項目でも、新たな検討される項目でも、適切な精度管理が有効な実施の条件であると考えられた。また、健康診断の結果が労働者の健康管理に役立てられなければ、その価値も得られない。健康管理に役立てる際、医師が個別の健康診断の結果を判定し、就業配慮や保健指導を行うことになる。さらには事後措置を受けた労働者が積極的に行動することによって成果が生じるため、労働者の視点での理解も必要となる。併せて、一般健康診断の目的が作業関連疾患の予防や職務適性の評価であるため、労働者の仕事内容や職場環境、生活習慣に関する情報が適切に収集されていることが必要となる。 
結論
一般健康診断の健診項目の見直しにおいては、本研究で明らかになった科学的エビデンスをもとに検討が行われるべきと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2025-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202306033C

収支報告書

文献番号
202306033Z