文献情報
文献番号
202306014A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅医療現場における多職種連携ニーズの客観的指標開発研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23CA2014
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 就将(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 柏木 聖代(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
- 木津喜 雅(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 森岡 典子(東京医科歯科大学 保健衛生学研究科ヘルスサービスリサーチ看護学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
10,897,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
在宅医療提供体制の整備は医療政策における重要課題である。2022年開催の規制改革推進会議において、在宅医療現場における多職種連携の課題が挙げられ、その実態を明らかにすることが規制改革推進基本計画にも記載された。本研究では、在宅医療現場における多職種連携に係る課題を明らかにするため、その実態を評価するための客観的な指標を開発することを目的とする。
研究方法
以下の方法で研究を実施した。1) 在宅医療の多職種連携の評価尺度に関する先行研究の整理・分析、2) 在宅医療において特徴を有する6地域の3職種(医師、看護師、薬剤師)を対象に、連携の現状と課題に関するヒアリングの実施、3) 全国の医療施設を対象としたクラスター抽出法を用いたWeb調査の実施。
結果と考察
1) 在宅医療の多職種連携の評価尺度に関する先行研究の整理・分析
先行研究では、連携体制を構築するために実施している取り組みの実施状況や、平時の連携状況に関する関係者の認識に着目したものが中心であり、夜間、休日、時間外を含め、患者の状態変化があった際の医師、訪問看護師及び薬剤師間の連携における課題に関する評価尺度は十分に検討されていなかった。既存の評価尺度には在宅医療における医師、看護師、薬剤師の連携における現状や課題の具体例を評価する指標が含まれておらず、夜間・休日の急変時対応の連携に関する現状と課題を明らかにするための新たな評価指標を検討する必要が示唆された。
2) 連携の現状と課題に関するヒアリング
俯瞰図の作成により、いずれの機関も複数の連携先を持ち、夜間・休日の急変時対応は、自機関や連携先の特性に応じて、A.夜間・休日の急変時の連携がうまくいっている関係性(事前指示・処方・配置薬)、B.夜間・休日の急変時の連携で困っていない(自機関での対応で急変時に円滑対応ができるようにしている)関係性、C.夜間・休日の急変時の連携がうまくいかなかった関係性(連携先が24時間非対応)の3つのパターンに分類された。多職種連携の課題を把握するための指標案として、連携先の施設の体制、夜間・休日・時間外の急変時の対応に関する事前取り決め、夜間・休日・時間外の急変時対応の主治医の意向の関係者間での共有状況、夜間・休日・時間外における薬剤の調達方法などが抽出された。
3) 全国の医療施設を対象としたクラスター抽出法を用いたWeb調査
診療所は2029件(回収率20.6%)、訪問看護ステーション(以下、ステーション)は281件(回収率16.1%)、薬局は1723件(回収率25.2%)から回答を得た。回答を得た診療所のうち在宅医療を実施していたのは1028件(50.7%)、薬局は1028件(59.7%)であった。在宅医療を実施している薬局のうち、訪問看護利用者に対応していたのは675件(65.7%)であった。時間外等における急変時の困難事例の発生状況について職種間で認識の相違がみられること、連携先の時間外対応体制の把握、患者急変時の対応方針の共有や事前の取り決めなどに課題があることが分かった。
先行研究では、連携体制を構築するために実施している取り組みの実施状況や、平時の連携状況に関する関係者の認識に着目したものが中心であり、夜間、休日、時間外を含め、患者の状態変化があった際の医師、訪問看護師及び薬剤師間の連携における課題に関する評価尺度は十分に検討されていなかった。既存の評価尺度には在宅医療における医師、看護師、薬剤師の連携における現状や課題の具体例を評価する指標が含まれておらず、夜間・休日の急変時対応の連携に関する現状と課題を明らかにするための新たな評価指標を検討する必要が示唆された。
2) 連携の現状と課題に関するヒアリング
俯瞰図の作成により、いずれの機関も複数の連携先を持ち、夜間・休日の急変時対応は、自機関や連携先の特性に応じて、A.夜間・休日の急変時の連携がうまくいっている関係性(事前指示・処方・配置薬)、B.夜間・休日の急変時の連携で困っていない(自機関での対応で急変時に円滑対応ができるようにしている)関係性、C.夜間・休日の急変時の連携がうまくいかなかった関係性(連携先が24時間非対応)の3つのパターンに分類された。多職種連携の課題を把握するための指標案として、連携先の施設の体制、夜間・休日・時間外の急変時の対応に関する事前取り決め、夜間・休日・時間外の急変時対応の主治医の意向の関係者間での共有状況、夜間・休日・時間外における薬剤の調達方法などが抽出された。
3) 全国の医療施設を対象としたクラスター抽出法を用いたWeb調査
診療所は2029件(回収率20.6%)、訪問看護ステーション(以下、ステーション)は281件(回収率16.1%)、薬局は1723件(回収率25.2%)から回答を得た。回答を得た診療所のうち在宅医療を実施していたのは1028件(50.7%)、薬局は1028件(59.7%)であった。在宅医療を実施している薬局のうち、訪問看護利用者に対応していたのは675件(65.7%)であった。時間外等における急変時の困難事例の発生状況について職種間で認識の相違がみられること、連携先の時間外対応体制の把握、患者急変時の対応方針の共有や事前の取り決めなどに課題があることが分かった。
結論
在宅医療における多職種連携の実態を評価する指標として、24時間対応を含む在宅医療リソースの濃度のほか、連携先の時間外対応体制の把握、患者急変時の対応方針の共有や事前の取り決めなどが重要であることが示唆されており、先に実施した全国調査データについて各地域の在宅医療資源等の地域特性を考慮した詳細分析を進める必要がある。また、特に連携課題が表出しやすいと考えられる「医療資源の少ない地域」を対象に、在宅医療患者に対して最適なタイミングで必要な医療が提供できないために患者に不利益が被る事例がどの程度の頻度で発生しているのか等、円滑に医療を提供するためにどのような連携課題があるのかを明らかにする必要がある。
公開日・更新日
公開日
2025-10-06
更新日
-