我が国における動物由来感染症の感染実態把握に資する研究

文献情報

文献番号
200931010A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国における動物由来感染症の感染実態把握に資する研究
課題番号
H19-新興・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
多田 有希(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 高山 直秀(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 道永 麻里(東京都医師会)
  • 川島 龍一(神戸市医師会)
  • 菅沼 明彦(東京都立駒込病院 感染症科)
  • 佐藤 克(佐藤獣医科)
  • 赤尾 信明(東京医科歯科大学大学院 国際環境寄生虫学分野)
  • 福士 秀人(岐阜大学 応用生物科学部)
  • 丸山 総一(日本大学 物資源科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,214,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関連学会誌での発表及び感染症法に基づく届出による人の動物由来感染症症例を収集し、その発生地、感染経路、症状、治療、予後などを検討して、我が国における動物由来感染症発生の実態を把握する。濾紙採血検体による動物由来感染症関連の抗体検査を行い第一線医療機関における動物由来感染症診断の一助とする。狂犬病に関して国の内外を問わずに症例を収集し、診断法、治療法を検討して今後の対策に資するとともに、狂犬病ワクチンの接種量を減量した接種法の検討を行う。
研究方法
学会誌などで発表された動物由来感染症関連の症例報告を文献データベースをもとに収集し集計・分析した。また感染症法により届け出られた動物由来感染症のうち7疾患について、届出内容を集計・解析した。濾紙採血検体検査については、東京都及び神戸市医師会会員の有志の方々に動物由来感染症の6疾患につき該当する症例の検体採取を依頼し、抗体検査を研究分担者により実施した。狂犬病に関しては、諸外国におけるヒト狂犬病症例をインターネット等を利用して収集し、治療については関連文献を収集し、分析した。またイヌ狂犬病の症状を過去の文献をもとに比較検討した。狂犬病ワクチンの皮内接種法について、健康成人を対象に接種前後の抗体検査及び副反応を調査して、その有効性と安全性を検討した。
結果と考察
感染症法の届出症例の集計・解析は我が国における動物由来感染症の実態把握に有用であり、医療現場への還元が動物由来感染症診断に有益な情報と考えられた。濾紙採血検体による抗体検査は簡便で有用な方法と考えられたが、研究班ベースでは普及は難しいと判断された。狂犬病に関しては、海外でのヒト狂犬病症例報告文献を翻訳し、関係部署に配布した。さらに、ヒト狂犬病の治療に関する現在までの知見と院内感染予防対策をまとめた。イヌ狂犬病の症状の検討結果は狂犬病の経験のない獣医師にとって有益な情報となると考えられた。狂犬病ワクチンの接種法については、皮内接種法による曝露前免疫は有用な接種法となることが判明したので、今後もさらに例数を増やして検討を重ねその普及を図る。
結論
感染症法に基づく届出症例の集計・解析は我が国における動物由来感染症の実態把握に有用な手段となる。狂犬病ワクチンの接種法について、ワクチンが不足する事態が生じた場合などには、皮内接種法による曝露前免疫の導入は有用な対策となる。

公開日・更新日

公開日
2010-07-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200931010B
報告書区分
総合
研究課題名
我が国における動物由来感染症の感染実態把握に資する研究
課題番号
H19-新興・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
多田 有希(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 高山 直秀(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 道永 麻里(東京都医師会)
  • 川島 龍一(神戸市医師会)
  • 菅沼 明彦(東京都立駒込病院 感染症科)
  • 佐藤 克(佐藤獣医科)
  • 赤尾 信明(東京医科歯科大学大学院 国際環境寄生虫学分野)
  • 福士 秀人(岐阜大学 応用生物科学部)
  • 丸山 総一(日本大学 生物資源科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関連学会誌での発表及び感染症法に基づく届出による人の動物由来感染症症例を収集し、その発生地、感染経路、症状、治療、予後などを検討して、我が国における動物由来感染症発生の実態を把握する。濾紙採血検体による動物由来感染症関連の抗体検査を行い第一線医療機関における動物由来感染症診断の一助とする。狂犬病に関して国の内外を問わずに症例を収集し、診断法、治療法を検討して今後の対策に資するとともに、狂犬病ワクチンの接種量を減量した接種法の検討を行う。
研究方法
学会誌などで発表された動物由来感染症関連の症例報告を文献データベースをもとに収集し集計・分析した。また感染症法により届け出られた動物由来感染症のうち7疾患について、届出内容を集計・解析した。濾紙採血検体検査については、東京都及び神戸市医師会会員の有志の方々に動物由来感染症の6疾患につき該当する症例の検体採取を依頼し、抗体検査を研究分担者により実施した。狂犬病に関しては、諸外国におけるヒト狂犬病症例をインターネット等を利用して収集し、治療については関連文献を収集し、分析した。またイヌ狂犬病の症状を過去の文献をもとに比較検討した。狂犬病ワクチンの皮内接種法について、健康成人を対象に接種前後の抗体検査及び副反応を調査して、その有効性と安全性を検討した。
結果と考察
感染症法の届出症例の集計・解析は我が国における動物由来感染症の実態把握に有用であり、医療現場への還元が動物由来感染症診断に有益な情報と考えられた。濾紙採血検体による抗体検査は簡便で有用な方法と考えられたが、研究班ベースでは普及は難しいと判断された。狂犬病に関しては、WHO狂犬病専門家会議報告書、海外でのヒト狂犬病症例報告文献を翻訳し、関係部署に配布した。さらに、ヒト狂犬病の治療に関する現在までの知見と院内感染予防対策をまとめた。イヌ狂犬病の症状の検討結果は狂犬病の経験のない獣医師にとって有益な情報となると考えられた。狂犬病ワクチンの接種法については、皮内接種法による曝露前免疫は有用な接種法となることが判明したので、今後もさらに例数を増やして検討を重ねその普及を図る。
結論
感染症法に基づく届出症例の集計・解析は我が国における動物由来感染症の実態把握に有用な手段となる。狂犬病ワクチンの接種法について、ワクチンが不足する事態が生じた場合などには、皮内接種法による曝露前免疫の導入は有用な対策となる。

公開日・更新日

公開日
2010-07-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200931010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
WHOの狂犬病専門家会議第1回報告書を翻訳し、関係部署に配布した。海外での狂犬病症例報告を収集してヒト狂犬病症例集を作成し、関係部署に配布した。ヒト狂犬病の治療方針と院内感染対策を、海外での知見をもとにまとめた。また、狂犬病ワクチン皮内接種法の有効性と安全性を検討した結果、いずれも問題がないと考えられた。
臨床的観点からの成果
感染症法に基づく届出症例の集計・分析は、我が国における動物由来感染症の実態把握に有用な手段となると考えられた。今後は医療現場医への提供方法を検討することが必要である。濾紙血検体による抗体検査は簡便で有用な方法と考えられたが、研究班ベースでの普及は難しいと判断された。専門的・学術的観点からの成果として記載した各成果は、いずれも臨床上大いに貢献できるものである。また、過去の文献をもとにイヌ狂犬病の症状の検討した内容は、獣医師にとって有益な情報となると考えられる。
ガイドライン等の開発
専門的・学術的観点からの成果として記載したヒト狂犬病の治療方針と院内感染対策のまとめ、狂犬病ワクチン皮内接種法の有効性と安全性の検討内容は、ガイドライン的要素を含むものと考えられる。
その他行政的観点からの成果
専門的・学術的観点からの成果として記載した狂犬病ワクチン皮内接種法は、その曝露前免疫の導入が狂犬病ワクチンの需要が急増するなどしてワクチン不足の事態が生じた際には有用な対策となることが判明した。今後はこの普及を図ることが必要と考える。
その他のインパクト
講演会、研修会、公開セミナーなどの場において、一般市民、医師、獣医師、動物取扱者を対象に動物由来感染症に関する講演を行い、知識の普及・啓発に努めた。

発表件数

原著論文(和文)
9件
原著論文(英文等)
14件
その他論文(和文)
28件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
26件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
4件
その他成果(普及・啓発活動)
30件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
柳澤如樹,髙山直秀,中山栄一他
WHO接種スケジュールに従った国産狂犬病ワクチン皮内接種方式の検討
感染症学雑誌 , 84 (3) , 313-314  (2010)
原著論文2
Naoki Yanagisawa, Naohide Takayama, Eiichi Nakayama, Kazuaki Mannen,et al
Pre-exposure immunization against rabies using Japanese rabies vaccine following the WHO recommended schedule
J. Infect Chemother. , 16 (1) , 38-41  (2010)
原著論文3
柳澤如樹,髙山直秀,中山栄一他
0,1,6ヵ月皮内接種方式による狂犬病抗体価の検討
Progress in Medicine , 29 (11) , 2727-2730  (2009)
原著論文4
柳澤如樹,髙山直秀,菅沼明彦
国産狂犬病ワクチンを用いたWHO方式による狂犬病曝露前免疫の検討
感染症学雑誌 , 82 (5) , 441-444  (2008)
原著論文5
柳澤如樹,髙山直秀,菅沼明彦
国産狂犬病ワクチンの皮内接種によるヒトへの狂犬病曝露後前免疫の検討
Progress in Medicine , 27 (12) , 2937-2939  (2007)
原著論文6
Sakano, C., Morita, Y., Shiono,et al
Prevalence of hpatitis E virus(HEV) infection in wild boars(Sus scrofa leucomystax)and pigs in Gunma Prefecture, Japan.
J. Vet. Med. Sci. , 71 (1) , 21-25  (2009)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-