就労選択支援従業者の養成のための研修における標準プログラムの開発についての研究

文献情報

文献番号
202306011A
報告書区分
総括
研究課題名
就労選択支援従業者の養成のための研修における標準プログラムの開発についての研究
課題番号
23CA2011
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
前原 和明(秋田大学 教育文化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 明乙香(山口 明日香)(高松大学 発達科学部子ども発達学科)
  • 野崎 智仁(国際医療福祉大学 保健医療学部作業療法学科)
  • 縄岡 好晴(大妻女子大学人間関係学部)
  • 西尾 香織(小泉 香織)(帝京平成大学 健康メディカル学部 作業療法学科)
  • 後藤 由紀子(筑波技術大学 産業技術学部)
  • 藤本 優(大妻女子大学 共生社会文化研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
4,137,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
就労選択支援が形骸化することなく、適切に実施及び活用されるためには、このように就労選択支援に従事する支援者の支援の質の向上が不可欠である。そのための十分な研修内容の検討が必要であると言える。このような背景を前提として、本研究では、就労選択支援の従事者の育成に向けた標準プログラムの開発に向けた検討を行うことを目的とする。
研究方法
本研究では、令和7年10月から開始する新たな就労系障害福祉サービスである「就労選択支援」の支援者の養成のための研修の標準プログラムの検討を行った。研究では、非公式的コンセンサス形成法(計2回の「就労選択支援従業者養成研修(仮称)の標準プログラム検討委員会」の実施)とオープンディスカッション(1回の「2023職業リハビリテーション実践研究サミット「就労選択支援における支援者の人材育成について考える」」の実施)の技法を用いて、就労選択支援に従事する支援者の知識及びスキルについて継続的に議論した。議論を通じて得られた知識及びスキルに基づき、標準プログラムを作成した。
結果と考察
第1回検討委員会(2023年9月11日)の中では、これまでの法案等に示された「本人の希望/意向/ニーズの把握」、「就労能力/適性/強み/課題の把握」、「配慮の整理」、「ケース会議の運営」、「社会資源についての知識」、「雇用事例」、「結果票の作成」などの知識とスキルに加えて、「大前提としての就労選択支援の理念を従事者が共有できるということが必要である」、「本人のニーズを把握するためのニーズアセスメントのスキルが不可欠である」、「標準的アセスメントつーつである就労アセスメントシートを活用し、アセスメント、結果表の作成、ケース会議などの具体的な支援スキルを学ぶ必要がある」などの意見を得ることができた。
2023年12月11日に「2023職業リハビリテーション実践研究サミット」をオープンディスカッションとして実施し、参加者との意見交換を行った。オープンディカッション後に実施したアンケートから、これまでの議論の中でも指摘されてきた利用障害者本人との協同に向けたニーズ把握のためのスキル、多機関連携のスキルなどが確認できた。また、就労選択支援の理念を遂行するために必要な情報提供を従事者ができるための知識を学ぶ機会が必要であるとの意見が確認できた。
第2回検討委員会(2024年1月18日)の中では、第1回及びオープンディスカッションでの議論等を踏まえて、これまでの内容を標準プログラムにまとめる具体的な議論が行われた。
また、これまでの議論を通じて総括的に、研修効果の向上のために、「効果的な演習の活用」、「小テスト等の研修後の到達度チェックの仕組み」などの必要性の意見も委員から得ることができた。さらに、実施方式に関して、知識教授を前提とする講義ついては、「オンラインあるいはオンデマンドを活用する」ことも有効ではないかとの意見もあった。これらの工夫については、更なる検討を行い、研修を有用にする観点から、実効性のある形で取り入れることが必要であると考えられた。
最終的に、「就労選択支援の理念について理解する」、「就労アセスメントの目的と手法」、「ニーズアセスメントの手法」、「就労アセスメントの具体的活用」、「アセスメント結果の整理と活用」、「関係機関との連携」を骨子として研修科目が整理された。
結論
本研究では、就労選択支援に従事する支援者が習得すべき知識とスキルについての検討を行った。検討を通じて、就労選択支援に従事する支援者に求められる知識やスキルが明らかになった。様々な観点からの検討を通じて考えられた幅の広い知識とスキルに基づき、適切な研修プログラムを構築していくことが必要である。これについては、継続的な検討を行っていくこととする。
本研究の成果は、就労選択支援の従事者の育成を検討する際の参考となるであろう。この就労選択支援が形骸化せずに、有効な支援サービスとして実施されることを期待したい。

公開日・更新日

公開日
2024-06-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-06-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202306011C

収支報告書

文献番号
202306011Z