文献情報
文献番号
202306009A
報告書区分
総括
研究課題名
平時及び有事における政策決定に資する質の高いエビデンスを集積・創出する人材を育成するための研修プログラムの開発研究
課題番号
23CA2009
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院 )
研究分担者(所属機関)
- 町田 宗仁(国立保健医療科学院 公衆衛生政策研究部)
- 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
- 大曲 貴夫(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
- 大澤 絵里(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
- 佐々木 由理(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
健康危機管理事案が発生した際に、エビデンスを迅速かつ網羅的に収集・整理・蓄積できる研究者等と、行政官が協働することで政策決定に資するエビデンスの迅速な創出を目指した「健康危機管理事案発生時の行政官と研究者等の連携に向けたワークショッププログラム」を開発する。
研究方法
①ワークショッププログラムを検討するためのインタビュー調査、②ワークショッププログラムの試行及び評価、③諸外国における行政とアカデミアの連携に関する調査、を実施した。①では、行政官、研究者を対象に、新型コロナウイルス感染症対応における行政官と研究者とのコラボレーションの経験及びそこから得られた教訓、ワークショップを効果的に開催するための意見等を聴取した。②では、①の結果を踏まえて最も効果的であると考えられた参加者、実施形式、トピックで構成されるワークショッププログラムを開発し、2回のワークショップを試行的に実施し、評価した。③では、主に低中所得国6か国の研究者等を対象に、新型コロナウイルス感染症対応に関して、政府に助言する有識者・組織、国内のキャパシティー、データ共有の方法や課題、広報活動などを聴取した。
結果と考察
開発されたワークショップの参加者は「健康危機管理事案(新型コロナウイルス感染症)の対応経験のある行政官と、行政と協働経験のある研究者」、実施形式は「オンサイト(対面)開催」、トピックは「①NDB(National Database、レセプト情報・特定健診等情報データベース)を用いたインフルエンザの重症化率算出の経験を踏まえた大規模データベース施策への実装の提言」、「②感染リスクの把握に関する経験を踏まえた調査研究の提言」であった。2回のワークショップを実施した結果、健康危機管理事案発生時の行政官と研究者等の連携を推進するために必要な、いくつかの有用な論点が抽出された。また参加者への事後アンケート調査の結果、コンフリクトが生じやすいトピックに関して、日常では率直な意見交換がしづらい行政官と研究者の間で議論できたことは一定程度評価されていたが、ワークショップでの提案の実装や行政官と研究者とのコラボレーションの推進にはさらなる課題解決が必要であるとする意見もみられた。
結論
本研究で開発したワークショップが、①行政官と研究者の間の平時からのコミュニケーション・ツールになり得ること、②実際の有事のトピックを設定し、そのトピックに関わった実務者同士がディスカッションすることで、有事に対する備え、有事の際に研究者が対応できること、対応すべきこと、また行政官が研究者に依頼できること、依頼すべきことが明確になること、③実務者を集めたワークショップは、顔の見える交流の場となるだけではなく、有事に備えた平時からの対策を考え、有事に協働できる素地となり得ること、が明らかとなった。
またワークショップの運営にあたっては、①冒頭に基調講演を入れる形で論点を明確にしてからディスカッションを開始すること、②人数は研究者・行政官それぞれ1グループ5名程度で開催すること、が効果的であることが示唆された。
またワークショップの運営にあたっては、①冒頭に基調講演を入れる形で論点を明確にしてからディスカッションを開始すること、②人数は研究者・行政官それぞれ1グループ5名程度で開催すること、が効果的であることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2024-10-03
更新日
-