文献情報
文献番号
202305005A
報告書区分
総括
研究課題名
カーボンニュートラル社会におけるヘルスケアシステムの設計と転換策の提案のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23BA1002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
南齋 規介(国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
3,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本のヘルスケアのサプライチェーンに脱炭素技術オプションを組み込むGHG排出算定モデルを独自に開発し,ヘルスケアのカーボンニュートラル化を達成するための需要側と供給側対策の排出削減効果とその導入量を定量することを目的とする。
研究方法
ヘルスケアのサプライチェーンを通じて発生するGHG排出量を網羅的に算定する環境産業連関モデルを開発した。2015年の家計消費によるヘルスケア需要により生じた総GHG排出を計算し,先行研究の2011年排出量と比較を行うことで当該排出量の変化要因を同定した。
一方,全国消費実態調査の世帯の消費データと居住地データと世界多地域間産業連関モデル等から、市区町村別のヘルスケア関連のGHG排出量を推計した。さらに、それらのGHG排出量と高齢化率や人口密度との比較分析を行った。
また,要介護者がいる世帯に注目し,要介護者のいない世帯との消費財(介護用品,光熱費,交通費など)との差異に注目し,施設および自宅介護とGHG排出量との関係を分析した。
一方,全国消費実態調査の世帯の消費データと居住地データと世界多地域間産業連関モデル等から、市区町村別のヘルスケア関連のGHG排出量を推計した。さらに、それらのGHG排出量と高齢化率や人口密度との比較分析を行った。
また,要介護者がいる世帯に注目し,要介護者のいない世帯との消費財(介護用品,光熱費,交通費など)との差異に注目し,施設および自宅介護とGHG排出量との関係を分析した。
結果と考察
2015年の日本のヘルスケア関連部門のサプライチェーンを通じた国内のGHG排出量(カーボンフットプリント)は約73MtCO2eq(Mt=106t)と推計された。ヘルスケアのセクター別に詳細に見ると,医療全体が57MtCO2eqと大きく,その内訳は,入院診療(20MtCO2eq),通院診療(20MtCO2eq),調剤(11MtCO2eq),歯科診療(4.2MtCO2eq),その他サービス(1.1MtCO2eq)の順で寄与が大きく,家計の医薬品購入も1.1MtCO2eqの寄与がある。保健衛生からは13MtCO2eqを排出し,公的サービスから6.9Mt,民間サービスから6.2MtCO2eqの排出と推計された。一方,介護サービスは施設サービスが5.5MtCO2eq,訪問サービスが8.8MtCO2eqの排出があり,合計で14MtCO2eqとなった
市区町村別のヘルスケア関連の消費に伴うGHG排出量の推計からは,排出量と大人用おむつなど一部の項目で高齢化率などと正の相関が見られた。一方で、コンタクトレンズなどとは負の相関が見られた。今後の高齢化が進む未来から、どのようなヘルスケア関連の消費項目によるGHG排出量の増加が見込まれるのかが明らかになった。
介護サービスの需要者に着目した世帯のカーボンフットプリントの分析からは、要介護度が重くなるほど、必要とされる介護サービスが増加傾向となり、サプライチェーン全体における排出量が無視できないことを確認した。ただし、要支援1と要支援2に対するカーボンフットプリントは要介護と比べると非常に小さく、要介護の段階の中でも特に要介護2と要介護3の間に大きな差異が見られた。
市区町村別のヘルスケア関連の消費に伴うGHG排出量の推計からは,排出量と大人用おむつなど一部の項目で高齢化率などと正の相関が見られた。一方で、コンタクトレンズなどとは負の相関が見られた。今後の高齢化が進む未来から、どのようなヘルスケア関連の消費項目によるGHG排出量の増加が見込まれるのかが明らかになった。
介護サービスの需要者に着目した世帯のカーボンフットプリントの分析からは、要介護度が重くなるほど、必要とされる介護サービスが増加傾向となり、サプライチェーン全体における排出量が無視できないことを確認した。ただし、要支援1と要支援2に対するカーボンフットプリントは要介護と比べると非常に小さく、要介護の段階の中でも特に要介護2と要介護3の間に大きな差異が見られた。
結論
日本のヘルスケアサービスに関するカーボンフットプリントは2011年から2015年に掛けて大きな変化はなく、その主たる排出要因(ヘルスケアセクターの購入物)も同様であり、脱炭素化に向けた排出削減策を立案することは中長期的に有効と考えられる。ヘルスケアサービスのカーボンフットプリントは現在減少傾向にあるが、日本全体のGHG排出に対する割合は増加しており、早急な脱炭素化計画と実行が求められる。
高齢化が進む我が国では、65歳以上の介護を必要とする高齢者がますます増加していくことが予想される。国立社会保障・人口問題研究所によると、要支援・要介護認定者の将来予測者数は2060年におよそ694万人にのぼる見込みである。こうした背景から、本年度は現状の最新版の統計データをもとに要支援・要介護認定者のいる世帯の介護由来およびそれ以外の需要も含むカーボンフットプリント構造を明らかにした。これにより、同認定者を減らしていく取り組みは、ヘルスケアサービスの質の充実だけでなく脱炭素にも貢献しうることが示唆された。
高齢化が進む我が国では、65歳以上の介護を必要とする高齢者がますます増加していくことが予想される。国立社会保障・人口問題研究所によると、要支援・要介護認定者の将来予測者数は2060年におよそ694万人にのぼる見込みである。こうした背景から、本年度は現状の最新版の統計データをもとに要支援・要介護認定者のいる世帯の介護由来およびそれ以外の需要も含むカーボンフットプリント構造を明らかにした。これにより、同認定者を減らしていく取り組みは、ヘルスケアサービスの質の充実だけでなく脱炭素にも貢献しうることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2025-05-26
更新日
2026-09-02