文献情報
文献番号
200930019A
報告書区分
総括
研究課題名
新規開発マルチカラー化チャネルロドプシン遺伝子を用いた視覚再生研究
課題番号
H21-感覚・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
富田 浩史(東北大学 国際高等研究教育機構)
研究分担者(所属機関)
- 玉井 信(東北大学 大学院医学系研究科)
- 石塚 徹(東北大学 大学院生命科学研究科)
- 松坂 義哉(東北大学 大学院医学系研究科)
- 菅野 江里子(東北大学 国際高等研究教育機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現在、失明者の視覚を取り戻す方法は皆無である。中途失明者の数は年間16000人にも達し、失明に対する有効な治療法の開発は社会的急務である。我々は緑藻類より単離したチャネルロドプシン-2(ChR2)遺伝子の網膜への導入による視覚再生を検討してきた。現在までに、遺伝盲ラットの光反応性を回復させることに成功し、行動学実験から実際に見えていることを確認している。本研究では、ラットおよびカニクイザルを用いて、回復される視力を定量的に評価すること、ならび、遺伝子導入による副作用を調べ、臨床応用の可能性を明らかにする。
研究方法
ChR2の網膜での発現が正常な視機能に及ぼす影響およびChR2によって得られる視覚特性を調べる目的で、生まれながらに、網膜神経節細胞にChR2を持つトランスジェニックラットを作製し、このラットの視覚特性を行動学的に調べた。また、回復される視力を定量的に評価するために、カニクイザルのトレーニングを行い、ヒトの眼科視力検査と同等の課題を行った。課題には、ランドルト環を用いた。
(倫理面への配慮)
本研究に用いる実験動物の取扱いは、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律を遵守し、国立大学法人東北大学遺伝子組換え実験安全管理規定のもとに、東北大学動物実験施設において、その規定に従って管理する。特に今回、サル片眼失明モデルを作製するために、サル動物実験計画書については、東北大学動物実験倫理委員会によって慎重に議論され、本研究に関わる全ての動物実験、遺伝組み換え実験は承認された。
(倫理面への配慮)
本研究に用いる実験動物の取扱いは、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律を遵守し、国立大学法人東北大学遺伝子組換え実験安全管理規定のもとに、東北大学動物実験施設において、その規定に従って管理する。特に今回、サル片眼失明モデルを作製するために、サル動物実験計画書については、東北大学動物実験倫理委員会によって慎重に議論され、本研究に関わる全ての動物実験、遺伝組み換え実験は承認された。
結果と考察
トランスジェニックラットを用いた研究で、ChR2によって得られる視力は、青色に限定すると、正常ラットと同等であることが明らかとなった。カニクイザルは約3ヶ月の馴化の後、1ヶ月間トレーニングを行うことによって、ランドルト環の視力検査を習得した。最高0.2までの視力について検査を行った結果、ランドルト環の大きさに関わらず、その正解率は90%以上であった。しかし、ランドルト環の向きの違いを見分けるのに要する時間は、ランドルト環が小さくなるにつれ、増大した。
結論
トランスジェニックラットを用いた研究から、ChR2の遺伝子導入によって高度な視覚を提供できる可能性が高まった。今後、カニクイザルを用いて、回復される具体的な視力を明らかにする予定である。
公開日・更新日
公開日
2010-05-25
更新日
-