保健分野における、新型コロナウイルス感染症や、三大感染症等に関する国際機関への我が国からの戦略的・効果的な資金拠出と関与に資する研究

文献情報

文献番号
202305001A
報告書区分
総括
研究課題名
保健分野における、新型コロナウイルス感染症や、三大感染症等に関する国際機関への我が国からの戦略的・効果的な資金拠出と関与に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21BA1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
蜂矢 正彦(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
研究分担者(所属機関)
  • 駒田 謙一(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 運営企画部)
  • 若林 真美(国立国際医療研究センター グローバルヘルス政策研究センター)
  • 清水 栄一(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 連携協力部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、日本が国際社会の一員として「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けて貢献していくために、新型コロナウイルス感染症や三大感染症(エイズ、結核、マラリア)を含む感染症対策に焦点を当て、グローバルファンド(GF)や世界保健機関(WHO)等の国際機関・団体に対する、日本の戦略的・効果的な国際保健分野における関わり方について研究する。
研究方法
研究班全体として、情報収集・分析を継続しつつ、得られた知見をもとに我が国の国際保健政策に還元すべきものについて、厚生労働省や外務省に対して提言を行った。
駒田班においては、グローバルファンド理事会について情報収集・分析を行い、厚生労働省や外務省にフィードバックを行った。また、第154回WHO執行理事会で議題に取り上げられた結核終焉戦略についても、分析を行い、厚生労働省にフィードバックした。
若林班においては、OECDにおける保健分野に関する政府開発資金データベースを用いて、保健分野の国際機関・団体に対する効果的かつ戦略的な拠出と関与方法の提案を行うため、特にコロナウイルス感染症2019(以下、COVID-19)への拠出が他のセクターや他の保健分野への拠出への与える影響を検討した。
清水班においては、昨年度に引き続き、調査には医療製品の国際展開の7つのステップ(以下、7つのステップ)を分析フレームワークとして用いた。各ステップにおける国内外の主要ステークホルダーを同定し、デスクレビューと関係者インタビューによる情報収集を継続した。今年度は特に、日本政府が実施する公的支援事業の特徴と、日本企業による公的支援の活用状況を分析した。
結果と考察
第49回および第50回GF理事会に関して、日本から提言・発信すべき内容について、外務省・厚労省に提言した。COVID-19の世界的流行による負の影響から抜け出しつつあるも、2030年までに三大感染症の流行を終焉させるという目標は達成困難と見られた。各地での紛争や気候変動の影響もある中、今後も患者発生率や死亡者数を減少させ続けるためには、保健システムの強化を含め効率的な資金の使い方がますます重要になると考えられた。
保健分野における主要ドナー国(G7)と民間慈善活動団体(ビルゲイツ財団)の拠出について、2020年と2015年から2019年の過去5年平均とを比較検討した。2020年には、G7とビルゲイツ財団の合計では全開発援助の総拠出額が14%増加していた。ただし、G7中5か国では、26分野の内半分以上の分野で過去5年平均の拠出額と比べ、2020年は拠出額が減少したことも分かった。保健分野への支出額は相対的に増加したが、感染症分野のなかでの三大感染症等への拠出が5年間平均と比べ2020年では減額している国もあった。COVID-19の影響は、3大感染症や他セクターに対する拠出変化が少なからずあったと考えられた。低中所得国の保健ニーズに一貫して対応するためには、今後の保健分野への拠出動向について分析を行うことが重要である。
医療製品の国際展開の7つのステップに基づき日本企業による国内外の公的支援活用状況を分析した結果、公的支援を効果的に活用するには次の3点に留意すべきことが明らかになった。①現地渡航の機会を最大限活用する、②自社努力を補うために活用する、③政府支援事業であることの利点を活用する。これら公的支援の利点を最大限活用することで、国際展開に成功した日本企業は自社内や上層部への認知度を高める一方で、現地においては的確な情報収集や製品実証、キーパーソンとの人脈構築に努めていることが判明した。
結論
健康安全保障に資するグローバルヘルス・アーキテクチャーの構築に貢献することは、我が国のグローバルヘルス戦略の政策目標の1つである。我が国も含めて世界的に資金需給が逼迫する中、より効果的な資金拠出が求められ、政策立案の根拠となるような、拠出状況の変化やその影響の分析が必要である。GFはグローバルヘルス・アーキテクチャーにおいて核となる組織の1つであり、扱う金額の大きさからも、三大感染症対策だけでなく保健システム強化からUHC達成への貢献がこれまで以上に期待される。その活動がより効果的なものとなるよう、我が国からも理事会等で引き続き積極的に提言していくべきである。
日本の製品や技術の国際展開を推進するうえでは、企業側から見た場合に複数の公的支援の組み合わせや効果的な機会の活用などのTipsがあり、関係者へ広く情報提供が必要である。

公開日・更新日

公開日
2025-05-26
更新日
2026-06-09

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202305001B
報告書区分
総合
研究課題名
保健分野における、新型コロナウイルス感染症や、三大感染症等に関する国際機関への我が国からの戦略的・効果的な資金拠出と関与に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21BA1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
蜂矢 正彦(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
研究分担者(所属機関)
  • 駒田 謙一(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 運営企画部)
  • 若林 真美(国立国際医療研究センター グローバルヘルス政策研究センター)
  • 藤田 則子(国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
  • 清水 栄一(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 連携協力部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、日本が国際社会の一員として「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けて貢献していくために、新型コロナウイルス感染症や三大感染症(エイズ、結核、マラリア)を含む感染症対策に焦点を当て、グローバルファンド(GF)や世界保健機関(WHO)等の国際機関・団体に対する、日本の戦略的・効果的な国際保健分野における関わり方について研究する。
研究方法
 研究班全体として、情報収集・分析を継続しつつ、新たな話題・課題にも対応し、得られた知見をもとに我が国の国際保健政策に還元すべきものについて、厚生労働省や外務省に対して提言を行った。
 駒田分担班においては、第45~50回GF理事会や第150、154回WHO執行理事会に関して、これらの機関による三大感染症対策やその他の感染症対策の現状や課題を把握しつつ、日本から提言・発信すべき内容について、外務省・厚労省に提言した。
 若林分担班においては、新型コロナウイルス感染症に関する国際的な枠組みであるACTアクセラレータ(Access to COVID-19 Tools Accelerator)を中心とした国際的な新型コロナ対策への枠組みへの拠出金、及び感染症分野も含めた保健医療分野への日本からの多国間援助に関する拠出について検討した。また、OECD開発援助委員会加盟国(29か国)における保健分野に関する政府開発資金データベースを用いて、2011年から2019年における政府開発援助(ODA)の流れを可視化して検討した。さらに保健分野における主要ドナー国(G7)と民間慈善活動団体(ビルゲイツ財団)の拠出について、2020年と2015年から2019年の過去5年平均とを比較検討した。
 藤田分担班においては、日本の製品や技術を国際展開するうえでの7つのステップ(現状分析から研究開発・認証登録・選定と優先付け・調達・流通・保健医療サービスまで)を分析フレームワークとして使用し、マラリア・結核・COVID-19関連製品に関して、現状や国際公共調達に成功した企業について、情報収集とボトルネック分析を行い、日本企業の抱える課題や存在する支援の状況についても分析した。
 清水分担班は、藤田分担班を引き継ぎ、7つのステップに基づき日本企業による国内外の公的支援活用状況を分析した。
結果と考察
GFに対しては、三大感染症対策だけなく、その他の感染症の世界的な流行に対する備えや、保健システム強化を含め横断的な取り組みに対する期待が年々大きくなっており、資金スキームの効果的な活用と他パートナーの連携が不可欠であり、それらを効率的にモニタリング及び評価する仕組みや体制も必要である。
政府開発援助(ODA)の流れを可視化して検討したところ、2019年における保健一般に対する拠出おいて、日本はOECD加盟29か国中第3位であり、基礎的保健に対する拠出においては第5位、非感染症疾患に対する拠出に関しては第2位であった。日本の「グローバルヘルス戦略」で掲げるUHC達成に向けて日本の存在感を発揮するためには、国際保健分野への拠出金に関して省庁間を超えた集中投資が重要であると考えられた。
公的支援の利点を最大限活用することで国際展開に成功した日本企業は、自社内や上層部への認知度を高める一方で、現地においては的確な情報収集や製品実証、キーパーソンとの人脈構築に努めていることが判明した。日本の製品や技術を国際展開するうえでは、政府・国際機関、アカデミア(ARO)などの支援プログラムの活用、そのためにインフォーマルなネットワークやキーパーソンを通じた情報収集が重要である。
結論
新型コロナ感染症の世界的流行や世界的な経済状況の停滞の影響を受け、関連する国際機関や民間に期待される役割はまずます大きくなっている。三大感染症対策だけでなく、その他の感染症の世界的な流行への備えや対応にも資する、保健システム強化を含めた横断的な取り組みが求められるようになっており、これらは日本の「グローバルヘルス戦略」における政策目標と合致するところである。関係機関が策定する新たな戦略や行動計画等に対しては、これらがより効果的に実施されるように、内容に関する議論や資金的支援、進捗の評価に我が国として積極的に加わるべきである。また、世界的に資金需給が逼迫する中、日本の存在感を発揮するためには、国際機関・団体に対する効果的な資金拠出、それらの資金が効果的に使われるための日本からの積極的な提言が重要であり、そのための根拠となるような拠出状況の変化やその影響の分析も必要である。
日本の製品や技術を国際展開していくうえでは、先を見据えた判断や戦略的な取り組み、効果的な支援が必要であり、企業側から見た場合も複数の公的支援の組み合わせや効果的な機会の活用などのTipsがある。これらは関係者へ広く情報提供が必要である。

公開日・更新日

公開日
2025-05-26
更新日
2026-06-09

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-26
更新日
2026-06-09

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202305001C

収支報告書

文献番号
202305001Z