医療現場における医療AIの導入状況の把握、及び導入に向けた課題の解決策の検討のための研究

文献情報

文献番号
202303010A
報告書区分
総括
研究課題名
医療現場における医療AIの導入状況の把握、及び導入に向けた課題の解決策の検討のための研究
課題番号
23AC1002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
竹下 康平(東京慈恵会医科大学 医学部 先端医療情報技術研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、画像・音声認識、自然言語処理、異常判定などのAI技術が進歩し、業務効率化や診療補助に役立つ医療AIが開発されている。厚生労働省の保健医療分野AI開発加速コンソーシアム(AIコンソ)では、AIの社会実装に必要な仕組みの重要性が認識され、医療現場でのAI導入に向けた課題等の実態調査について言及があった。2018年には国内で医療AI研究開発の現状と課題について報告があり、2022年には海外で一般開業医に対するAI対応システムの調査が行われているが、医療全体を対象とした報告は少ない。本研究では、既存のAI製品の医療機関への認知と導入実態を大規模アンケートで調査し、導入のハードルを明らかにすることを目的とする。これにより、医療AIの普及促進や医師の働き方改革、医療AI産業の発展を目指す。
研究方法
本年度は医療AIに関連する業界団体(日本医療機器産業連合会、保健医療福祉情報システム工業会、日本デジタルヘルス・アライアンス、医療AIプラットフォーム技術研究組合)から、実際に販売されているAI製品と当該製品の販売上の課題について情報収集を行った。合わせて、学会や展示会場で出展されているAI関連製品について調査を行った。実際に販売されている製品のうち、医療分野に機能が特化している製品を対象に、アンケート調査の対象製品群を選定した。導入課題については、業界団体からあげられた意見、既存で報告されているITに対する医療機関の課題を参考に、アンケート調査で把握するべき医療AIの普及課題を選定した。選定したアンケート調査の対象製品群と医療AIの普及課題は、医療AIに関連する業界団体、医療機関関係団体(日本医師会、日本病院会、全日本病院協会)、本研究班の研究者からなる会議で確認・議論し合意形成を行った。
結果と考察
議論ではアンケート調査の内容を回答者が理解できないのではないか(回答が可能な医療機関に送付先を絞るべきではないかといった趣旨)といった懸念が述べられた一方で、アンケート調査の内容を理解できないことこそが医療AIが普及しない原因であるとも考えられるので広くアンケート調査を行うべきといった意見も得られた。これを受け、研究班としてはなるべく多くの意見を収集するべく主には医療機関関係団体経由で約7万施設のパネルに対してWEBアンケート調査を実施し、240施設から回答を得た。同時に、WEBアンケートとすることでのITに関連の深い層のみが回答しバイアスがかかる可能性が想定されたため、医療機関関係団体に加入していることが確認できなかった医療機関5,000件を対象に紙で同様のアンケートを実施し、585施設から回答を得た。WEBアンケートの240回答について分析したところ、AI関連機能で利用率が高かったのは翻訳(52.0%)、転倒検知・見守り(35.5%)で、いわゆる診断補助AIについては7-11%の利用率であった。AI関連機能を導入しない理由としては、現状で運営できているという内容が最も多く、続いて費用に関する内容、買い替えタイミングに関する内容であった。
結論
初年度は医療AI製品の情報収集とアンケートを実施しデータを入手し、一部のデータで分析を行った。次年度、アンケート結果の全データ集計ととりまとめを実施し、医療AI産業の発展においてステークホルダーが取り組むべき課題を明らかにしていく。

公開日・更新日

公開日
2024-07-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-07-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202303010Z