文献情報
文献番号
202303004A
報告書区分
総括
研究課題名
スマートフォンアプリケーションとビーコンシステムを活用した医師の客観的かつ効率的な労働時間管理による勤務実態の見える化
課題番号
21AC1005
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
猪俣 武範(順天堂大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 和久(順天堂大学 医学部)
- 西崎 祐史(順天堂大学 医学部)
- 中村 正裕(東京大学 大学院工学系研究科)
- 岩上 将夫(筑波大学 医学医療系 ヘルスサービスリサーチ分野)
- 猪俣 明恵(順天堂大学 医学研究科病院管理学)
- 奥村 雄一(順天堂大学 大学院医学研究科)
- 山路 健(順天堂大学 医学部 膠原病内科)
- 新井 一(順天堂大学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
23,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、医師勤務管理用スマホアプリを開発・運用し、ビーコンシステムとの連動により医師の勤務実態関連ビッグデータを客観的・効率的に収集する。また、収集したデータから医師の時間外労働延長因子の解明ならびに改善提案アルゴリズムを開発し、医師の労働時間短縮に資する知見を創出する。
研究方法
令和5年度は、順天堂大学医学部附属順天堂医院の勤務医および初期臨床研修医を対象として、スマホアプリを用いて医師の勤怠管理実態収集のための臨床研究で2022年9月1日から2023年8月31日の期間に収集したデータに対し解析を行なった。
スマホから検知したデータは、同エリア内における「スマホ検知終了時刻 – スマホ検知開始時刻 = エリア滞在時間」、エリア滞在時間1分未満は移動時間、24時間以上はスマホ非携帯として除外した。
解析方法は、①ビーコンを設置場所ごとに勤務区分グループ(外来、病棟、手術、処置・検査、その他)および自己研鑽区分に分類し、研究対象者の属性毎の勤務時間を評価した。
また、②研究対象者基本情報、ビーコンの勤務区分毎の勤務時間を独立変数、勤務管理システムの勤務時間を従属変数とした重回帰分析を行い、勤務時間延長のリスク因子を評価した。
本スマホアプリと連動する勤怠管理システムの要件定義を実施した。
スマホから検知したデータは、同エリア内における「スマホ検知終了時刻 – スマホ検知開始時刻 = エリア滞在時間」、エリア滞在時間1分未満は移動時間、24時間以上はスマホ非携帯として除外した。
解析方法は、①ビーコンを設置場所ごとに勤務区分グループ(外来、病棟、手術、処置・検査、その他)および自己研鑽区分に分類し、研究対象者の属性毎の勤務時間を評価した。
また、②研究対象者基本情報、ビーコンの勤務区分毎の勤務時間を独立変数、勤務管理システムの勤務時間を従属変数とした重回帰分析を行い、勤務時間延長のリスク因子を評価した。
本スマホアプリと連動する勤怠管理システムの要件定義を実施した。
結果と考察
順天堂大学医学部附属順天堂医院(1036床)に勤務する医師1,364名、初期臨床研修医87名を対象に2022年9月1日から2023年8月31日まで勤務データを収集した。研究参加同意者数は418名(45.0%)であった。そのうち解析対象者として398人を同定した。398人から収集したビーコンデータは12,323,151件であり、そのうち2,735,360件を対象とした。
解析対象者の内訳(図2)は、常勤310名、非常勤27名、研究医61名であった。平均年齢は40.9±9.9歳で、男性280名(70.4%)であった。職位の内訳は、教授41人(10.3%)、准教授125人(31.4%)、講師2人(0.5%)、助教86人(21.6%)、助手83人(20.9%)、症候性研修医41人(10.3%)、シニアレジデント20人(5.0%)であった。
アプリ(ビーコン)による勤務時間は11.5±4.6時間/週、自己研鑽時間は10.1±3.3時間/週、勤怠管理システムにて確認した勤務時間は13.0±11.6時間/s週、自己研鑽時間は12.2±17.6時間であった。アプリの位置情報から収集された労働時間は、現在の労働時間管理に利用している実際の勤怠システムにて確認した労働時間より少なく算出された。
また、ビーコン設置場所毎に勤務区分に分類し、各勤務区分における勤務時間に基づき次元削減アルゴリズム(UMAP、HDBSCAN)を用いて解析対象者層別化した。UMAPから解析対象者は11群のクラスターに分類し、階層型クラスタリングにて個別化を行なった。
解析対象者の内訳(図2)は、常勤310名、非常勤27名、研究医61名であった。平均年齢は40.9±9.9歳で、男性280名(70.4%)であった。職位の内訳は、教授41人(10.3%)、准教授125人(31.4%)、講師2人(0.5%)、助教86人(21.6%)、助手83人(20.9%)、症候性研修医41人(10.3%)、シニアレジデント20人(5.0%)であった。
アプリ(ビーコン)による勤務時間は11.5±4.6時間/週、自己研鑽時間は10.1±3.3時間/週、勤怠管理システムにて確認した勤務時間は13.0±11.6時間/s週、自己研鑽時間は12.2±17.6時間であった。アプリの位置情報から収集された労働時間は、現在の労働時間管理に利用している実際の勤怠システムにて確認した労働時間より少なく算出された。
また、ビーコン設置場所毎に勤務区分に分類し、各勤務区分における勤務時間に基づき次元削減アルゴリズム(UMAP、HDBSCAN)を用いて解析対象者層別化した。UMAPから解析対象者は11群のクラスターに分類し、階層型クラスタリングにて個別化を行なった。
結論
医師勤務管理用スマホアプリを開発・運用し、ビーコンシステムとの連動により医師の勤務実態関連ビッグデータを客観的・効率的に収集した。また、収集したデータから医師の時間外労働延長因子の解明ならびに改善提案アルゴリズムの開発に向けた解析を実施した。
公開日・更新日
公開日
2024-07-17
更新日
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