文献情報
文献番号
202303001A
報告書区分
総括
研究課題名
標準化クリニカルパスに基づく、医師行動識別センサや問診AIなどのICTを用いた医師の業務負担軽減手法に関する研究
課題番号
21AC1002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
中島 直樹(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院 医療情報学講座)
研究分担者(所属機関)
- 中尾 浩一(済生会熊本病院)
- 岡田 美保子(一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)
- 羽藤 慎二(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター) 消化器外科)
- 杉田 匡聡(NTT東日本関東病院 産婦人科)
- 若田 好史(独立行政法人国立病院機構九州医療センター 医療情報管理センター)
- 井上 創造(九州工業大学大学院生命体工学研究科)
- 的場 哲哉(九州大学病院 循環器内科)
- 佐藤 寿彦(株式会社プレシジョン)
- 山下 貴範(国立大学法人 九州大学 病院 メディカル・インフォメーションセンター)
- 平田 明恵(国立大学法人九州大学 大学病院)
- 奥井 佑(九州大学 病院)
- 野原 康伸(熊本大学大学院先端科学研究部)
- 横地 常広(一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会)
- 井口 健(大阪医科薬科大学 情報企画管理部)
- 内海 健(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 検査技術科)
- 松本 晃太郎(久留米大学 バイオ統計センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
23,647,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、医師業務負担軽減のあるべき姿を広い視野から考察すると同時に、標準型クリニカルパスシステム(ePath)、医師行動識別アプリ、問診支援システムなどのICTを用いて、データに基づいた医師の業務負担軽減の実証を行う。解析の結果で業務削減、他職種へのタスクシフト、あるいはICTへの置換をePath改定で実施する実証試験を行い、医師の業務負担軽減全体の医療への影響、つまり医療の質や安全性に関しての影響や、他職種の業務への影響(看護師の業務量、検査技師の病棟業務の拡大)について検証する。3年間で実施する本研究の最終目的は、それらの成果を合わせて、クリニカルパスを用いた医師の業務削減に関するガイドライン案もしくは提言書を策定することである。
研究方法
九州大学病院MICに設置した研究事務局(担当:山下貴範)で研究事業の進捗管理を行う。また、日本医療情報学会と日本クリニカルパス学会の合同委員会が継続的に月に3~4回開催しているePath会議で毎回進捗を報告し、各学会との連携を取る。
WGとして以下の7つを構築する。括弧内はリーダである。
WG1(中島直樹):倫理対応、全体の進捗管理
WG2(的場哲哉):医師行動識別アプリ対応
WG3(佐藤寿彦):問診AI対応
WG4(的場哲哉):研究用ePath開発対応
WG5(横地常広):検査技師業務拡大対応
WG6(若田好史):解析対応
WG7(岡田美保子):提言・ガイドライン策定対応
各WGは、R5年度年度に以下を行う。
WG1:月2回事務局会議を開催し、各WGの進捗管理を行う。また、全体会議やシンポジウムなどの企画を行う。
WG2:医師が行動識別センサを活用し、データ収集するための管理をする。
WG3:医師や看護師などのヒアリングに基づき、AI問診システムの運用を行い、さらに患者用の説明動画を作成し、アンケート調査などを行う。
WG4:2023年6月に循環器科3病院で、循環器領域パス(経皮的冠動脈形成術(PCI)パス、経皮的心筋焼灼術(アブレーション)パスを改定し、呼吸器外科3病院で胸腔鏡下肺切除術(VATS)パスの改定を行い、症例を蓄積する。また、循環器科3病院で急性心筋梗塞(AMI)パスを新規に導入し、症例を蓄積する。
WG5:済生会熊本病院で臨床検査技師が行動識別センサを活用し、データ取得を行う。さらに、臨床検査技師が病棟で業務を行うことによる効果を調査する。
WG6:PCIパス、アブレーションパスおよびVATSパスの可視化/解析を実施し、パス改定案を策定する。
WG7:本研究成果を取り纏め、諸外国でのタスクシフトに関する情報も含め、提言およびガイドライン案を策定する。
WGとして以下の7つを構築する。括弧内はリーダである。
WG1(中島直樹):倫理対応、全体の進捗管理
WG2(的場哲哉):医師行動識別アプリ対応
WG3(佐藤寿彦):問診AI対応
WG4(的場哲哉):研究用ePath開発対応
WG5(横地常広):検査技師業務拡大対応
WG6(若田好史):解析対応
WG7(岡田美保子):提言・ガイドライン策定対応
各WGは、R5年度年度に以下を行う。
WG1:月2回事務局会議を開催し、各WGの進捗管理を行う。また、全体会議やシンポジウムなどの企画を行う。
WG2:医師が行動識別センサを活用し、データ収集するための管理をする。
WG3:医師や看護師などのヒアリングに基づき、AI問診システムの運用を行い、さらに患者用の説明動画を作成し、アンケート調査などを行う。
WG4:2023年6月に循環器科3病院で、循環器領域パス(経皮的冠動脈形成術(PCI)パス、経皮的心筋焼灼術(アブレーション)パスを改定し、呼吸器外科3病院で胸腔鏡下肺切除術(VATS)パスの改定を行い、症例を蓄積する。また、循環器科3病院で急性心筋梗塞(AMI)パスを新規に導入し、症例を蓄積する。
WG5:済生会熊本病院で臨床検査技師が行動識別センサを活用し、データ取得を行う。さらに、臨床検査技師が病棟で業務を行うことによる効果を調査する。
WG6:PCIパス、アブレーションパスおよびVATSパスの可視化/解析を実施し、パス改定案を策定する。
WG7:本研究成果を取り纏め、諸外国でのタスクシフトに関する情報も含め、提言およびガイドライン案を策定する。
結果と考察
令和5年度は、データ解析に基づく医師の業務負担軽減を実現したePath改定を6月に行い、問診AIや説明動画システムの導入、臨床検査技師の病棟配置を部分的に行い、蓄積した症例を解析した。ePath改定前後の比較で、医師の業務削減は充分に実証できた一方で、医療の質の指標の悪化はほぼ見られなかった。また、医師の業務をタスクシフトする受け皿として臨床検査技師を病棟配置したところ、医師の業務負担軽減のみならず、インシデントレポート解析で良好な結果が見られた。これらは健康医療の改善サイクルであるLearning Health System(LHS)の手法とみなされ、これを用いることにより継続的な改善が期待される。
結論
令和5年度の成果により、本研究の目的である、継続的な医師の業務負担軽減の手法を確立することができた。また、臨床検査技師の病棟配置の効果が検証できた。令和6年3月末にこれらの結果を「標準化クリニカルパスに基づいた医師の業務負担軽減に関する提言」として取り纏めた。
公開日・更新日
公開日
2024-07-17
更新日
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