ICD-11の我が国における普及・教育に資する研究

文献情報

文献番号
202302001A
報告書区分
総括
研究課題名
ICD-11の我が国における普及・教育に資する研究
課題番号
22AB1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
末永 裕之(一般社団法人日本病院会 執行部)
研究分担者(所属機関)
  • 須貝 和則(国立国際医療研究センター 医事管理課)
  • 住友 正幸(徳島県立三好病院)
  • 瀬尾 善宣(社会医療法人医仁会 中村記念病院 診療部 脳神経外科)
  • 高橋 長裕(千葉市立青葉病院)
  • 塚本 哲(日本保健医療大学 保健医療学部 看護学科)
  • 牧田 茂(埼玉医科大学 国際医療センター)
  • 松本 万夫(埼玉医科大学国際医療センター心臓内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ICD-11は令和4年1月1日発効され、2年が経過し、本邦導入前の準備を進める必要がある。本研究「ICD-11の我が国における普及・教育に資する研究」も2年目となり、「ICD-11の認知度を広め、また内容の理解を深めること」を目的とした。
研究方法
1,初級研修:従来の講習会とコーディング体験実習を仙台・名古屋・大阪の3会場で行った。またYouTube配信を行い知識の普及に努めた。2,中級研修:中級者を対象としたグループワーク形式の研修会を開催し、ICD-11に関する知識やコーディング技術の深化を目的とした。特に、コードから症例状況を復元する「逆引き」を行うことで、コーディング体系としての再現性をみた。3,地域セルフ研修会:ICD初級研修修了者(中級研修者)にICD-11のセルフ研修会開催を要請し、教材(『ICD-11 TEXT 2023』)を提供した。協力者を中心とし初心者教育の可能性を検討した。4,各学会への普及活動:診療情報管理士だけでなく他の医療職種、とりわけ医師によるICD-11の普及と教育を目的に、班員の所属する学会を中心にICD-11の教育講演などを行い、ICD-11の認知度・理解度も検討した。
結果と考察
初級研修では188名の参加があった。研修を受講した経験がある者が3会場平均で38.1%、受講経験者の割合が3会場でもっとも高かった大阪会場でも59.1%であり、参加者の多くが今回初めてICD-11に触れたこととなり、初級研修会として有用であった。またYouTube視聴の数は2024年1月22日時点で2,554回であった。中級研修では93名(対面41名、WEB52名)が参加した。グループに分かれ、通常コーディンググループ、逆引きグループに分かれ4症例について検討した。その結果、症例による個々の問題が指摘されたほか、グループ研修は中級者にとり有用であることが示唆された。地域セルフ研修会では自己学習的意味がある。参加者の研修前知識がないと研修が難しい、WEBに慣れない、疾患の知識が乏しいなどが問題点として挙げられた。各学会への普及活動では国際統計分類について「初耳である」との回答が18.8%、「聞いたことがある」との回答が32.8%で、合わせて51.6%となった。医師の間では国際統計分類についての知識がまだまだ不足していると思われた。ただし、講演後興味を持ったとの回答が多かった。
結論
ICD-11の普及・教育には対面による研修会、YouTubeなどインターネットツールの開発普及、中級以上の経験者にはグループワークなどの研修が有用であり、「可逆性検証」の研修は実際の疾病状況を正確に想起することが可能かを検証していく必要がある。地域におけるセルフ研修では事前の知識の習得など手法と教材に工夫が必要である。各学会におけるICD-11への関心は低く、日本医学会・日本医学会連合などを先頭に、各学会がICD-11の普及教育により積極的になることを期待する。

公開日・更新日

公開日
2024-04-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202302001Z