文献情報
文献番号
202301020A
報告書区分
総括
研究課題名
レセプト情報・特定健診等情報を用いた医療保健事業・施策等のエビデンス構築等に資する研究
課題番号
23AA2004
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
- 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
- 西岡 祐一(奈良県立医科大学 公衆衛生学講座)
- 福井 次矢(東京医科大学 茨城医療センター)
- 宮脇 敦士(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
23,262,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、都道府県は医療費適正化計画を策定し、住民の健康保持や医療の効率的提供を推進することが求められている。2024年度から始まる第4期計画では、効果的・効率的な医療資源の活用を新たな目標とし、これに関連する実態の分析が必要とされている。本研究の目的は、2024年度から始まる第4期医療費適正化計画に向けて、効果が乏しい医療、地域差のある医療、特定健診等の効果について、諸外国の文献レビューやNDBデータを用いた実態調査と分析を行うことである。
研究方法
本研究では、効果が乏しい医療(LVC)、医療資源の投入量に地域差がある医療、特定健診等の効果について検討を行った。さらに、NDB特別抽出データの提供申出申請を行い、データ提供後にDB作成を進めた。
LVCについては、国内外の文献レビューに基づき、効果が乏しいと指摘される医療行為をリストアップし、モニタリング可能なLVCを同定し、レセプトデータ分析のための測定アルゴリズムを作成する手順を進めた。具体的には、先行文献に基づき、確実に効果がないという臨床的エビデンスが存在する医療行為をリストアップし、臨床の立場からモニタリング可能なLVCを同定し、レセプトデータ分析に基づき測定アルゴリズムを作成することであった。
医療資源の投入量に地域差がある医療については、専門家へのヒアリングを行い、地域差のある医療行為を特定し、分析対象を絞り込むための意見を収集した。具体的には、日本臨床衛生検査技師会や日本診療放射線技師会などの職能団体や、呼吸器内科や消化管外科等複数の専門家へのヒアリングを行った。
特定健診等の効果測定については、費用対効果などについて指摘があり、健康増進の観点から、NDBを用いた疾病罹患状況や重症疾患の発生状況の分析を行い、特定保健指導の実施状況等のデータと組み合わせてエビデンス評価を行った。具体的には、奈良県KDBや商用データベースを用いた試行分析を行った。
そしてNDB特別抽出データについては、上記に必要な分析を行うため、NDB特別抽出データの提供申出を行い、DB化を試みた。
LVCについては、国内外の文献レビューに基づき、効果が乏しいと指摘される医療行為をリストアップし、モニタリング可能なLVCを同定し、レセプトデータ分析のための測定アルゴリズムを作成する手順を進めた。具体的には、先行文献に基づき、確実に効果がないという臨床的エビデンスが存在する医療行為をリストアップし、臨床の立場からモニタリング可能なLVCを同定し、レセプトデータ分析に基づき測定アルゴリズムを作成することであった。
医療資源の投入量に地域差がある医療については、専門家へのヒアリングを行い、地域差のある医療行為を特定し、分析対象を絞り込むための意見を収集した。具体的には、日本臨床衛生検査技師会や日本診療放射線技師会などの職能団体や、呼吸器内科や消化管外科等複数の専門家へのヒアリングを行った。
特定健診等の効果測定については、費用対効果などについて指摘があり、健康増進の観点から、NDBを用いた疾病罹患状況や重症疾患の発生状況の分析を行い、特定保健指導の実施状況等のデータと組み合わせてエビデンス評価を行った。具体的には、奈良県KDBや商用データベースを用いた試行分析を行った。
そしてNDB特別抽出データについては、上記に必要な分析を行うため、NDB特別抽出データの提供申出を行い、DB化を試みた。
結果と考察
LVCについては、国内外の文献レビューを通じて、感冒に対する抗菌薬、甲状腺機能低下症に対するT3測定、腰痛に対するプレガバリンなどがLVCに該当することが判明した。また、諸外国のプライマリケア領域や外科手術領域、日本のunpublished dataにも新たなLVCのリストアップ項目が存在することが明らかになった。
医療資源の投入量に地域差がある医療については、迅速病理診断、ゲノム病理診断の地域差、RI内用療法や放射線治療施設数、抗線維化薬の投与状況や喘息の増悪率を低下させるための重症喘息に対する抗体製剤の地域差などが挙げられた。また訪問診療における超音波検査と、直腸肛門機能検査の地域差が政策的介入の余地があるとの意見も出された。
特定健診等の効果測定については、次年度以降の研究デザイン・分析手法を検討し、特定保健指導対象者の階層化基準や疾病発症リスクの算出を行った。さらに、奈良県KDBを用いた医療費や糖尿病発症率の比較分析を実施した。
NDB特別抽出データについては、データ提供を受け、データベース化を進行中である。データ提供とDB化が完了し、間もなく分析環境が整う見込みである。
医療資源の投入量に地域差がある医療については、迅速病理診断、ゲノム病理診断の地域差、RI内用療法や放射線治療施設数、抗線維化薬の投与状況や喘息の増悪率を低下させるための重症喘息に対する抗体製剤の地域差などが挙げられた。また訪問診療における超音波検査と、直腸肛門機能検査の地域差が政策的介入の余地があるとの意見も出された。
特定健診等の効果測定については、次年度以降の研究デザイン・分析手法を検討し、特定保健指導対象者の階層化基準や疾病発症リスクの算出を行った。さらに、奈良県KDBを用いた医療費や糖尿病発症率の比較分析を実施した。
NDB特別抽出データについては、データ提供を受け、データベース化を進行中である。データ提供とDB化が完了し、間もなく分析環境が整う見込みである。
結論
本年度は、NDB特別抽出データの提供・DB化を待ちながら、文献レビューやヒアリング、既存のデータベースを用いた初期分析を実施した。多くの医療行為がLVCに該当する可能性があることが確認された。地域差のある医療については、放射線関連の一部がNDB分析に困難であることが判明したが、その他のデータを用いた分析を進める予定である。特定健診等の効果測定についても、分析手法の検討を経て、次年度以降にNDBを用いた本格的な分析を実施する予定である。
公開日・更新日
公開日
2024-07-01
更新日
-