リアルタイムfMRIを用いたバイオフィードバック法による精神科ニューロリハビリテーションへの応用

文献情報

文献番号
200929034A
報告書区分
総括
研究課題名
リアルタイムfMRIを用いたバイオフィードバック法による精神科ニューロリハビリテーションへの応用
課題番号
H21-障害・若手-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松田 哲也(玉川大学 脳科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 英彦(京都大学 医学部)
  • 久保田 雅也(国立成育医療研究センター 神経内科)
  • 松浦 雅人(東京医科歯科大学大学院 保健衛生学研究科)
  • 大久保 善朗(日本医科大学 精神医学)
  • 渡邊 克巳(東京大学 先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオフィードバックとは、被験者が自らの脳活動をモニタリングしながら、自らその活動を思い通りに変化させていく方法である。近年、リアルタイムfMRIが開発されたことにより、脳の深部領域を含めリアルタイムに脳活動をモニターできかつ脳の高次機能に関連する領域の活動を直接モニタリングできるようになった。そこで本研究では、これまで薬物療法では治療効果が得られにくかったうつ病と高機能自閉症・アスペルガーを対象にリアルタイムfMRIによるバイオフィードバック法を用いたトレーニングによってえられる感情機能や社会認知機能の改善・回復の有用性を調べ、臨床応用の可能性について検討することを目的とする。
研究方法
リアルタイムfMRIのシステムを整備し、1)情動機能に関連する課題、2)社会認知に関連する課題を作成する。課題実行中の脳活動をリアルタイムfMRIでモニタリングし、その信号をもとにそれぞれの脳機能に関連する脳部位の活動を被験者自らが変化させる。その効果を心理テストや認知機能テストで評価する。またトレーニングの持続効果と反復効果を測定し、臨床応用の可能性についても検討する。また、簡易的バイオフィードバック方法の開発についても検討する。
結果と考察
本年度は、リアルタイムfMRIシステムの整備を中心に研究を行った。2009年度末までにシステムは完成した。システム構築と同時に、アスペルガーうつ病の認知機能異常を調べ、どのような課題をおこなえば良いかについて検討をおこなった。その結果、扁桃体領域の活動が両疾患ともの健常者を比べ特徴的な活動を示していた。
結論
本年度は、リアルタイムfMRIを用いたバイオフィードバック治療を行うための準備、基礎研究を行ってきた。リアルタイムfMRIによるバイオフィードバックシステムが完成した。また、モニタリングする脳領域については、自閉症・アスペルガー症候群、うつ病ともに、扁桃体をターゲットに行うことが決定した。また、それぞれの疾患の認知機能障害についても今後も検討を続け、よりフィードバック課題の最適化を目指す必要がある。簡易的バイオフィードバック法については、十分可能性が見いだされた。今後、fMRIデータとの付け合わせを含め、fMRIで行うバイオフィードバックの効果と簡易型のバイオフィードバック法で同じような効果を起こすことができるかという点についても検討をする必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-