文献情報
文献番号
200929033A
報告書区分
総括
研究課題名
ワンセグ放送を用いた聴覚障害者に対する講義場面での情報保障に関する研究
課題番号
H20-障害・若手-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
塩野目 剛亮(国立大学法人 筑波技術大学 産業技術学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
聴覚に障害がある人たちは,情報の取得にバリアがあるといわれており,筑波技術大学では,聴覚障害学生に対する講義中の情報保障を継続的に行っている.このような情報保障にかかわる取り組みに対する人的,機器的なコストは無視できる大きさではない.ワンセグ放送は近年,特定の範囲に存在するユーザを対象とした情報提供手段として利用されている(エリアワンセグ).また,映像,字幕,データ放送といった複数の情報を同時に提供することができる.情報保障の提供機器をワンセグ放送によって代替すれば,機器設置の労力を低減し,学生個人の手元にモニタを設置することができるというメリットもある.
研究方法
本研究では,ワンセグ放送を用いた提供に適した情報保障画面の構成や受信機の特性を検討するために,聴覚障害学生を対象としたアンケート調査を行なった.さらに,実際の講義場面でエリアワンセグを利用した情報配信実験を行なった.
30名の聴覚障害学生を対象として,ワンセグ放送受信機の評価,字幕の提示方法に関する評価,情報保障画面の構成要素(手話通訳,スライド,キーワード)の配置の最適化,ノートの取りやすさの評価を行なった.
また,ワンセグ放送を用いた遠隔情報保障配信システムを構築,実験試験局免許を取得した.当該システムを講義場面で使用し,Nintendo DSのワンセグ放送受信機を利用した学生の感想を集めた.
30名の聴覚障害学生を対象として,ワンセグ放送受信機の評価,字幕の提示方法に関する評価,情報保障画面の構成要素(手話通訳,スライド,キーワード)の配置の最適化,ノートの取りやすさの評価を行なった.
また,ワンセグ放送を用いた遠隔情報保障配信システムを構築,実験試験局免許を取得した.当該システムを講義場面で使用し,Nintendo DSのワンセグ放送受信機を利用した学生の感想を集めた.
結果と考察
情報保障画面の見やすさに関しては,適切な受信機の選定,明るさやコントラストの調整,画面配置の最適化によって見やすさを向上できることがわかった.また,複数行の字幕提示が講義のノートテイクに有効であることも示唆された.
実際の講義場面でワンセグ放送を用いた字幕情報配信実験・アンケート調査からは,字幕履歴の表示可能な受信機を使用することで,ワンセグ放送が有用な情報保障配信ツールとなりうることがわかった.
実際の講義場面でワンセグ放送を用いた字幕情報配信実験・アンケート調査からは,字幕履歴の表示可能な受信機を使用することで,ワンセグ放送が有用な情報保障配信ツールとなりうることがわかった.
結論
本研究をまとめると,ワンセグ放送を用いた情報保障には,システムの構築から電波利用のための実験試験局免許の取得など,現状では多くの困難があることがわかった.他方では,字幕配信実験の際の履歴機能に対する好意的な評価から,ワンセグ放送を用いた情報保障の有効性が確認できた.
今後,免許取得手続きの簡略化や,免許不要の電波の利用などの行政施策,情報保障配信に特化した受信機の開発によって,限られた範囲での情報保障の配信において,エリアワンセグがより広く利用されることを期待している.
今後,免許取得手続きの簡略化や,免許不要の電波の利用などの行政施策,情報保障配信に特化した受信機の開発によって,限られた範囲での情報保障の配信において,エリアワンセグがより広く利用されることを期待している.
公開日・更新日
公開日
2010-09-22
更新日
-