精神障害者の生活機能と社会参加の促進に関する研究

文献情報

文献番号
200929031A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の生活機能と社会参加の促進に関する研究
課題番号
H19-障害・若手-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 深雪(山形大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成21年度の目的は,デイケア通所者の生活機能の変化を明らかにし,生活支援という側面から精神科デイケアの社会参加促進の効果を検討することであった。
研究方法
 対象者は,平成20年度と同様である。つまり,病名が統合失調症である者で,かつ,精神科デイケア(26施設)に登録する通所者1176名,精神障害者小規模作業所(71施設)に登録する通所者1014名,精神病院(6施設)に通院する外来患者(デイケア,作業所に通所しない)916名の3106名である。
 郵送法による質問紙調査を実施した。質問紙の内容は,平成21年度と同様である。具体的には,個人因子に関すること(年齢,通所目的,施設利用期間など),自己評価式精神障害者生活機能評価尺度(36項目)(以下,生活機能評価尺度とする),日本語版Rathus assertiveness schedule(30項目)(以下,J-RASとする)である。倫理的配慮は,厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」を遵守した。
 平成20年度と平成21年度の調査で,生活機能評価尺度とJ-RASに未回答(欠損や重複回答)のない者を分析対象に,統計的に分析した。

結果と考察
 年齢は,デイケア通所者が46.0±11.7歳,作業所通所者が42.1±9.9歳,外来患者が53.7±11.2歳であった。
 平成20年度と平成21年度の生活機能点を比較すると,デイケア通所者と作業所通所者の生活機能点は変化がなかったが,外来患者の生活機能点は低下傾向にあった。また,平成20年度と平成21年度のアサーティブネス得点を比較すると,デイケア通所者,作業所通所者,外来患者とも変化はみられなかった。
 平成20年度と平成21年度の生活機能を比較すると,デイケア通所者と作業所通所者は生活機能を維持していたが,外来患者は生活機能が低下傾向にあった。コミュニケーション能力は,デイケア通所者,作業所通所者,外来患者とも変化はみられなかった。精神障害者の障害は変化するものであるにも関わらず,デイケア通所者は生活機能を維持できていたことはデイケアの生活支援の効果である。つまり,デイケアには精神障害者の社会参加を促進する効果がある。
結論
 デイケア通所者は一年前の生活機能を維持していたが,外来患者の生活機能は低下傾向にあった。これは,デイケアの生活支援の効果であり,デイケアは精神障害者の社会参加を促進する効果がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200929031B
報告書区分
総合
研究課題名
精神障害者の生活機能と社会参加の促進に関する研究
課題番号
H19-障害・若手-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 深雪(山形大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 精神科デイケアは,精神障害者に生活支援を行っている。しかし,精神障害者の社会生活能力を把握することが困難であったため,精神科デイケアのその機能が適正に評価されていない問題点があった。そこで,本研究(平成19-21年度)の目的は,精神科デイケアの生活支援の機能を適正に評価し,社会参加の促進について検討することであった。
研究方法
 平成19年度の対象者は,精神科デイケア(30施設)の通所者で,かつ病名が統合失調症である1272名である。郵送法による質問紙調査を実施した。
 平成20-21年度の対象は,病名が統合失調症である者で,かつ,精神科デイケア(26施設)に登録する通所者1176名,精神障害者小規模作業所(71施設)に登録する通所者1014名,精神病院(6施設)に通院する外来患者(デイケア,作業所に通所しない)916名の3106名である。郵送法による質問紙調査を実施した。
 倫理的配慮については,厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」を遵守し,調査を実施した。
結果と考察
平成19年度では,肯定的側面から精神障害者の社会生活能力をみる,自己評価式精神障害者生活機能評価尺度(36項目)を開発した。この尺度は,課題や行為の個人による遂行する能力と,生活・人生場面への関わる能力をみるものである。
平成20年度では,精神障害者の生活機能の実態を明らかにした。精神障害者の生活機能は個人差が大きかった。デイケア通所者と作業所通所者は,外来患者より生活機能が高かった。また,デイケア通所者と作業所通所者の生活機能は,コミュニケーション能力と通所目的数に関連していた。
平成21年度は,精神障害者の生活機能の変化を明らかにし,生活支援という側面から精神科デイケアの社会参加促進の効果を検討した。平成20年度と平成21年度の生活機能を比較すると,デイケア通所者と作業所通所者は生活機能を維持していたが,外来患者は生活機能が低下傾向にあった。コミュニケーション能力は,デイケア通所者,作業所通所者,外来患者とも変化はみられなかった。精神障害者の障害は変化するものであるにも関わらず,デイケア通所者は生活機能を維持できていたことが精神科デイケアの生活支援の効果である。つまり,精神科デイケアには精神障害者の社会参加を促進する効果がある。
結論
精神科デイケアの生活支援の機能を適正に評価し,精神障害者の社会参加を促進することを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200929031C

成果

専門的・学術的観点からの成果
専門的・学術的観点からの成果は,国際生活機能分類(ICF)を参考に,精神障害者が社会で生活する能力を測定できる生活機能評価尺度を開発したことである。この尺度は,自己評価式で肯定的視点から社会で生活する能力を評価する点が特徴である。課題や行為の個人による遂行する能力と,生活・人生場面への関わる能力をみるものである。
臨床的観点からの成果
精神科デイケアは,再入院の予防や症状安定などの医療の提供と,生活技能を身につけるなどの生活支援を行っている。精神障害者の社会生活能力を把握することが困難であったため,生活支援に関するデイケアの機能を適正に評価することも困難であった。生活支援という側面から精神科デイケアの社会参加促進の効果を示した点が臨床的観点からの成果である。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-