文献情報
文献番号
200929030A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者の自立支援のための移乗システムの研究
課題番号
H19-障害・若手-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小林 裕介(独立行政法人国立高等専門学校機構 長野工業高等専門学校 機械工学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
車いす使用者が車いすやベッドなどへ移る動作”移乗動作”は車いす使用者にとって日常生活を送る上で必要不可欠な動作であるが、一人で移乗を行う際には非常に負担となる。既存の移乗装置は介助者を要することが多く、あるいは大がかりな物が多いため敬遠されている。こういった事から現在、多くの車いす使用者は移乗装置を使わずに負担のかかる動作により移乗を行っている。
こういった現状を打開するために移乗動作時の人間にかかる負担、障害の度合いと可能な動作、能力と移乗動作の関係を明らかにし、人間工学的に移乗を容易に行えるシステムの開発を行う。システムとしては、一人で移乗を行える(自立支援)、携帯性に優れ外出先でも使用可能、移乗をスムーズに行える形状、手指に障害を持つ人でも問題なく使える、といった特徴を持たせる。
こういった現状を打開するために移乗動作時の人間にかかる負担、障害の度合いと可能な動作、能力と移乗動作の関係を明らかにし、人間工学的に移乗を容易に行えるシステムの開発を行う。システムとしては、一人で移乗を行える(自立支援)、携帯性に優れ外出先でも使用可能、移乗をスムーズに行える形状、手指に障害を持つ人でも問題なく使える、といった特徴を持たせる。
研究方法
補助具の使い易さの改善として前輪と補助具の干渉の改善、移乗時の負荷を減らすために拡張座面の表面特性の調査と改善を行った。そして移乗補助具の効果を確認するため車いす使用者によるモニター評価を行った。その際に感圧センサーシートによって移乗時にかかる力の測定も行った。 また展開収納を容易に行える機構の検討ならびに詳細な力学解析の検討を行った。
結果と考察
補助具と前輪の干渉については部品を追加することで改善を行えた。また、表面特性については数種類の洋服素材と摺動素材の摩擦係数を測定し、高分子ポリエチレンが良好であるという結果となった。モニター評価においては4名中3名が移乗を行え、うち1名は横移乗が可能となった。また、センサシートにより移乗中の負荷変動を測定した結果、トランスファボードと同程度の負荷で移乗が行えることが確認できた。展開を容易に行える機構については一部部品の干渉、動作に大きな力を要するという問題があったが、展開動作に関してはレバー1本の操作だけで行える事を確認できた。詳細な力学解析として実態に近い負荷形状で解析を行ったが、応力分布に不連続な箇所が発生した。
結論
使い易さの改善として補助具と前輪の干渉の改善、表面特性の改善、展開を容易に行える機構の試作を行い、開発しているシステムに実装した。そして車いす使用者によるモニター評価によって、システムの効果を確認した。その結果、一人での移乗を安定して行える事を確認できた。また、移乗中の負荷変動の測定も併せて行い、大きな力を要しない事が確認できた。
公開日・更新日
公開日
2010-05-25
更新日
-