在宅遷延性意識障害者のQOL向上を目的とした支援の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200929028A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅遷延性意識障害者のQOL向上を目的とした支援の在り方に関する研究
課題番号
H21-障害・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
日高 紀久江(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 紙屋 克子(静岡県立大学大学院 看護学研究科)
  • 林 裕子(北海道大学大学院 保健科学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,612,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、在宅で療養している遷延性意識障害者(以後、意識障害者とする)の在宅生活の継続と生活の質の向上を目的に、意識障害者と介護者への包括的な支援の在り方について多角的に検討することを目的とした。
研究方法
意識障害者に関する文献や実態調査結果等から、在宅における支援施策の方向性を明らかにするための分析を行った。その結果、1)意識障害者の身体・精神機能の維持・向上を目的とした支援、2)介護者の介護負担および介護力向上を目的にした支援、そして3)両者の生活を支える医療・福祉サービスの充実が重要であり、これらの観点から在宅支援の在り方について検討することとした。そこで、今年度は意識障害者の社会参加を視野に入れたモデルケアプランの開発と、介護者の介護負担の軽減と介護力の向上を目的とした介護教室に関する研究を行った。医療・福祉サービスのモデルケアプランの開発では、意識障害者と介護者を対象にサービスの種類、時間数、内容等についての聞き取り調査とインタビューを実施した。また、介護教室に関しては、意識障害の知識、ケア、リハビリテーションの講義と、体位変換、口腔ケア、摂食嚥下等に関する介護技術の指導による評価を行なった。
結果と考察
医療・福祉サービスの利用実態は、障害の種類や程度というより、介護者の方針や地域等による相違がみられたが、全体的に通所型サービスの利用は少なかった。また、環境の変化による脳への刺激という面からも、意識障害者の社会参加を考慮したケアプランの必要性が示唆された。介護教室では、講義・演習内容に関する評価は高かったものの、障害の種類や程度には個人差が大きく、個別指導への要望が強かった。したがって、平成22年度は遷延性意識障害の専門外来を実施し、意識障害者の身体および精神機能の向上を目的にした技術指導による効果に関する検証を行う予定である。
結論
介護者の不安を最小限に、また在宅への移行をスムーズにするためにもモデル的なケアプランが必要である。そのためには事例の分析数を増やし、利用している制度や意識障害者の年齢、地域などに応じた体系化が必要である。また、「障害者ケアガイドライン」では、相談受付とアセスメント、ケア計画書の必要性を示唆しているが、専門職の存在なしにケア計画の立案は介護者にとって困難である。したがって、障害者自立支援法の障害程度区分6の障害者にはケアマネジャーのような専門職の存在が必要でないかと考える。

公開日・更新日

公開日
2010-09-22
更新日
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