在宅重度障害者に対する効果的な支援技術の適用に関する研究

文献情報

文献番号
200929027A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅重度障害者に対する効果的な支援技術の適用に関する研究
課題番号
H21-障害・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
森 浩一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 丸岡 稔典(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最重度の身体障害者は、意思の自発表出が困難なことでも生活の質(QOL)が低くなる。近年、筋活動がなくても意思伝達を可能にする「脳インターフェース」(BCIないしBMI)が実用段階に近づいている。我が国では人工呼吸を行うことが多いこともあり、最重度身障者はコミニュケーション障害を伴いやすく、脳インターフェースを在宅環境で使えるようにする研究開発が必要である。本研究は、重度身障者が在宅で容易に文字を使ったコミニュケーションができるようにするためには何が必要であるのかを明らかにする。
研究方法
(1)視覚刺激による脳インターフェース装置(P3Speller)を構築し、性能を確認する。(2)在宅重度身体障害者を被験者とし、患者宅で実験し、問題点を抽出する。(3)知識普及のため、技術講習会とデモンストレーションを実施し、講習会用のシラバスとマニュアルの一次案を作成する。(4)運用に必要となる人的、物的資源を明らかにするため、既存の意思伝達装置のサポートの現状を調査する。
結果と考察
(1) 脳波によって文字選択が7割以上の正答率で可能という基準を採用すると,健常成人被験者の8割が初回の実験でこの基準を越えた。先行研究でも同様な成績が示されているので,技術水準は先端他施設と変わらないと考えられる。(2) 在宅環境で商用交流電源から混入するノイズレベルは実験室と変わらず,開発した装置が在宅でも使用可能であることが示された。しかし、今回の被験者(59歳男性、筋萎縮性側索硬化症ALS発症後12年、8年前より人工呼吸)においては、頻繁に誤動作するナースコールを停止する等,被験者が集中できる環境を作る必要があった。これによって正答率が大きく改善したが、それでも基準の成績(7割の正答率)を越えず、かつ疲労も大きいため、健常者と同じ設定では実用が困難である。(3) 脳インターフェースの講習会、デモンストレーションを4回実施した。(4) 身体障害者のITサポートを実施しているNPO団体の在宅サポートの人数と回数,担当者数と費用等を調査した。
結論
在宅で使用可能な脳インターフェースを開発し、在宅重度身体障害者に応用し、ノウハウの蓄積を開始した。技術講習会を開き、サポート要員用講習会のシラバスとマニュアルの初稿を作成した。重度身体障害者用の意思伝達装置のサポート状況の調査を開始した。

公開日・更新日

公開日
2010-08-20
更新日
-