脊髄損傷後の歩行機能回復のための新たなニューロリハビリテーション方法の開発

文献情報

文献番号
200929024A
報告書区分
総括
研究課題名
脊髄損傷後の歩行機能回復のための新たなニューロリハビリテーション方法の開発
課題番号
H21-障害・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
赤居 正美(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 中澤 公孝(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 (途中で転出))
  • 飛松 好子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院 )
  • 神作 憲司(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 梅崎 多美(国立障害者リハビリテーションセンター 学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
体重免荷によるトレッドミル歩行は「正常な歩行動作を再現することにより種々の求心性感覚入力を脊髄パターン発生器(CPG)に与え、その活動を改善する」と考えられているが、その歩行機能の再獲得に至る神経生理学的機序は未だ明らかではない。本研究では、歩行機能再獲得の鍵と目される脊髄CPGに着目し、その活動を励起させる神経生理学的機序を検索し、それを基に新たな神経リハビリテーション方法を開発する。
研究方法
本研究では、麻痺領域に発現する歩行様筋活動の変化に着目し、各種感覚情報(荷重、股関節求心系など)との関連、重畳的な神経情報との関連を調べる。具体的には、動力型歩行補助装置(Lokomat)による外的な歩行キネマティクスの形成を軸として、歩行運動出力を促通すると考えられる種々の末梢性感覚情報、異なる体肢からの神経情報、付加的な電気刺激による感覚入力、脳からの随意神経指令を組みあわせた新たな手法を検討する。今年度の研究成果は、2年目以降の歩行機能回復のための神経リハビリテーションプログラムの開発・評価の理論的根拠を担う。
結果と考察
Lokomatを用いて脊髄不全損傷(不全対麻痺)患者のトレーニング実験を行い、介入効果の評価法としての経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation; TMS)と下肢筋の誘発運動電位(motor evoked potential; MEP)、とりわけ前脛骨筋との関連性を見ることが出来た。また足底を中心とした荷重情報の有無や上肢運動の付加、被験者の集中力などの、いいかえればactive assistive trainingの重要性が証明された。
近年注目されている免荷式歩行トレーニングを含む新たな歩行リハビリテーションは、専門的な知識と高度に習熟した技術が必要で、広くリハビリテーション方法を普及させる際には大きな障害となる。Lokomatは簡便な操作方法のもと、対象を選ばず正常な歩行動作の再現が可能である。本研究を通して歩行機能再獲得の神経機序の解明と、効果的に歩行再獲得を促す方法が開発されれば、多くの運動機能障害者が効果的な歩行リハビリテーションを行う環境を整備することになろう。
結論
3年計画の初年度として、皮質脊髄路を中心とした神経生理機能の定量的把握と介入手法の絞り込みを行った。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-